インフォメーション

2011-11-19 15:46:00

質の高い生活を求める機運

「改革・開放」の申し子・新中間層

 

 今日の中国消費市場を牽引しているのは、1990年代に徐々に存在感を増し、現在も規模が拡大しつつある新しい社会中間層である。62年から75年までは中国のベビーブームの時代。わずか14年間に約2.5億人も生まれた。この2.5億人が中国のベビーブーマー世代である(中国の人口統計は中国国家統計局「中国人口統計年鑑」歴年版を参照)。

[画像のクリックで拡大表示]

 78年に中国では「文化大革命」の混乱で廃止となった大学教育が回復され、教育を重視する新しい時代となった。ベビーブーマー世代の一部は、厳しい進学競争をくぐりぬけ大学に進学。他は急速に普及した職業学校や技術学校に進んだ。この世代は、80年代に経済成長に必要な知識を学び、社会人になった90年代以降は文化大革命に振り回された前の世代を取って代わり、瞬く間に高成長の担い手となった。そして急速に拡大する大衆消費の主役にもなったのである。

 近年、新中間層の「行け行けドンドン」の勢いにも徐々に変調が見えてきた。「行け行けドンドン」という量的な成長ではなく、質の高い生活を求めたいという機運が高まっている。中国で環境や食品の汚染の摘発案件が激増していることには、まさにこうした社会背景があるのだ。

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20111102/289361/?rt=nocnt