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2011-10-28 23:25:00

2011年1月~9月の飲食業倒産は606件 震災発生後の4月以降は2ケタ増で推移

 2011年1月~9月の飲食業の倒産は、前年同期比5.3%増の606件(前年同期575件)となった。


 特に震災発生前の2011年1月~3月が同9.8%減(223→201件)だったのに対し、震災発生後の4月以降は、5カ月連続で前年同月を上回り、同4月~9月では同15.0%増(352→405件)と震災後の増勢ぶりが目立った。このペースで推移すると年間ベースでは、過去20年間で最多だった2009年の789件に迫る勢いである。


負債額別 5千万円未満の小規模倒産が増加

 2011年1月~9月の飲食業倒産の負債総額は、同35.1%減の375億900万円にとどまった。これは負債10億円以上の大型倒産が6件にとどまる一方で、負債5千万円未満の小規模倒産が、同8.0%増の459件(前年同期425件)と増えたことが影響した。また形態別では、破産が同5.5%増の534件(構成比88.1%)と、全体の約9割を占め厳しい経営環境を浮き彫りにした。


居酒屋、焼肉店などの倒産が急増

 主な業種別では、居酒屋を含む「酒場,ビヤホール」が同11.1%増(81→90件)と増加が目立った。特に震災発生後の4月~9月では、宴会等の自粛に加え、「内食・中食志向」を背景に、外出を控えて自宅で食事や飲酒を嗜む「家飲み需要」が、震災発生後により高まりをみせ、同27.6%増(47→60件)と増勢が加速した。このほか、牛肉ユッケ食中毒事件や、国産牛肉のセシウム汚染問題が相次いで発生した影響もあって、焼肉店が同78.5%増(14→25件)と急増した


「震災関連」倒産が18件発生

 東日本大震災が影響した「震災関連」倒産は18件発生した。厳しい経営が続くなかで、店舗の被災による営業中止、計画停電実施の影響や自粛ムードの広がりで客足の減少を招いた企業が多かった。

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 2011年の飲食業倒産の増加は、東日本大震災の発生が影響した。歓送迎会シーズンに「宴会自粛」が広がったことや、計画停電、営業時間短縮、節電対応による看板消灯などで、夜間の外出客が減少した。また花火大会や夏祭りなど各種イベントが自粛され、人が集まる機会が減ったことも響いた。ただこうしたなか、一部企業のサマータイム導入を「午後4時開店」「飲み物半額」など夕方早い時間帯の集客に注力したところもみられた。

 業界全体では、大手飲食店チェーンなどは、震災による急激な売上の落込みから回復傾向にあるものの、小規模な業態では依然として業績が低迷するなど、バラツキがあることから今後も厳しい状況が続くとみられる。

 飲食業の倒産