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2017-06-10 16:26:00

2017/06/09(金)

気仙沼の男山本店、越に日本酒輸出

日本酒「蒼天伝」などの蔵元、男山本店(宮城県気仙沼市)はベトナムでの販売を開始した。菅原昭彦社長は、日本食レストランが急増しているベトナムを重点国とみており、市場の開拓に自ら取り組んでいる。

地場の輸入業者1社を通じてホーチミン市1区のレストラン「SORAE」などの飲食店で今月から発売されている。取り扱い店舗は近く5店舗になる。日本酒は関税の他に特別消費税が課され、リーファーコンテナ(冷凍・冷蔵コンテナ)を使って日本から輸送するため、ベトナムでの販売価格は日本の2倍余りとなる。

男山本店は1912年創業の老舗清酒メーカー。従来からヨーロッパやニュージーランドなどにも輸出していたが、海外市場は商社に頼っていた。転機となったのが東日本大震災だ。本社社屋が津波で全壊するなど大きな損害を受けたが、酒蔵は被害を免れて大地震翌日から業務を再開させた。日本だけでなく海外からも励ましや見舞いの連絡を直接受け、菅原社長は、自分たちが造る日本酒が遠くから支持されていることを肌身で理解した。以降、「自分たちの目で売り先を確かめたい」との思いでヨーロッパやアジアを直接回り、顧客とのつながりを重視したマーケティングを本格化させた。

蒼天伝は柔らかい飲み口とすっきりした後味が特徴で、外国人にも親しみやすいブランドだ。ここ2~3年でスペインやフランスのほか、香港などを開拓してきたが、今後は台湾とベトナムにも注力する。現在は3%程度の海外売上高については、向こう3年で5%、5年で10%に引き上げる目標だ。菅原社長はベトナム市場を「まだまだこれからPR活動する余地がある」と期待しており、試飲会などのイベントを開催してブランド浸透を図る方針だ。