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2017-04-07 17:11:00

2017/04/06(木)

ハラル見本市、日本パビリオンは4社出展

ハラル(イスラム教の戒律で許されたもの)製品見本市「第14回マレーシア国際ハラル見本市(MIHAS)」が5日、マレーシアのクアラルンプール・コンベンションセンター(KLCC)で開幕した。今年のMIHASには、33カ国580ブースが出展した。日本ハラール協会がとりまとめた日本パビリオンには、4社が出展した。8日まで4日間の日程で開催される。

初日には日本ブースで、愛育フィッシュ輸出促進共同企業体(愛媛県)によるマグロの解体ショーが行われ、さばいたばかりのマグロの切り身が来訪者に振る舞われた。マグロはハラル認証を受けたエサで養殖し、同じ日本パビリオンに出展した日本通運による「ハラル輸送」で日本から運んだ。

日本ハラール協会のレモン史視理事長によると、天然魚はハラルだが、養殖魚は人間の手が生育に加わるため、与えている飼料がハラルかどうかが問われる。同理事長は「イスラム教の戒律に沿ったえさで育てることで、ハラル認証が取得できる」と説明した。

ハラル養殖マグロの価格は、1匹約78万円。コストの大半をハラル対応の輸送費用が占めており、通常の養殖マグロの4倍近い価格になる。

■ハラル事業の出口戦略必要

日本パビリオンの出展企業は、日本通運、愛育フィッシュ輸出促進共同企業体のほか、しょうゆメーカーの丸十大屋(山形県)、食品添加物の有機合成薬品工業(東京都中央区)の2社だった。

昨年のMIHASには、日本パビリオンを含め日本企業13社が出展していた。今年は日本からの参加企業が低迷したことの理由として、レモン氏は年度初めにMIHAS開催時期が重なったことが要因のひとつとした上で、「中小企業を中心にハラル事業の『出口戦略』が見つけられない企業が増えている」との問題を指摘した。

中小企業は、既に取引先がある大手企業と異なり、ハラル対応の製品を自前で開発、認証を取得してから、マレーシアなど現地の市場で販売業者を探すプロセスをとるケースが多い。信頼のおける現地パートナーを一から探すのは容易ではなく、レモン氏は「政府系機関が海外取引先を探す支援などの対策が必要だ」と話した。

■Eコマースが今後の鍵=貿易産業相

今年のMIHASでは、従来の食品など製品中心の展示から、ライフスタイルやサービス分野まで展示カテゴリーを拡張している。ライフスタイル分野は、ファッション、教育、アート、音楽などが含まれる。また、ハラル電子商取引(Eコマース、EC)には「アラジン・ストリート・ドットコム」などが出展した。

開会セレモニーの後に記者会見したムスタパ・モハメド貿易産業相は、「ハラルECこそが、今年の目玉だ」と話した。マレーシアでは先月、EC中国最大手の阿里巴巴集団(アリババ、中国・浙江省)が先ごろ、地域ハブを設立する計画を明らかにしたところだが、ムスタパ貿易産業相は、「アリババのような国際的なECプラットフォームで商品展開することが、中小企業を中心としたハラル産業の発展には不可欠だ」と強調した。

 

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日本ブースのハラルマグロの解体ショーを見守る来場者たち=5日、クアラルンプール(NNA撮影)