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2011-08-06 10:24:00

今回は、「マ-ケティング関係の新しい考え方」について説明しよう。

 

マ-ケティングの役割⑤

 

[3]マ-ケティング関係の新しい考え方

 「マ-ケティング」が、企業の競争が激化してきて、企業の「企業ミッションやドメイン(生存領域)」を明確にし、「個性化戦略」を確立することによって、戦略事業単位の遂行するベ-スが「企業戦略」のレベルに位置づけることが必要になり、「戦略的マ-ケティング」というものが注目されてきた。

 つまり、「マ-ケティング」をより「戦略経営」的に展開しようとするものであり、「マ-ケティング」をより良く思考していく源泉となるものである。

(1)マネジリアル・マ-ケティング

 「マネジリアル・マ-ケティング」というのは、トップ・マネジメントの観点から「お客様の立場に立つ」全社活動を「マ-ケティング」の目からとらえることである。

 「マネジリアル・マ-ケティング」は、「経営者的マ-ケティング」とも言われるように、トップマネジメントの観点から「お客様の立場に立つ」企業の総合的活動として「マ-ケティング」を展開するものである。

したがって、「マネジリアル・マ-ケティング」は、「創造的破壊とイノベ-ション」による創造的・長期的・計画的な戦略を主軸とした「最適なマ-ケティング」の各機能を統合し、お客様に「ニ-ズ」や「ウォンツ」に適応するものである。

特に、利益重視から「社会環境重視」「社会的責任」や「コンプライアンス」といったように、社会やお客様を中心とした「マ-ケティング」を「戦略的な思考」で展開することである。

 

(2)エリア・マ-ケティング

 「エリア・マ-ケティング」というのは、地域の特性に合致する「マ-ケティング」展開を行うことである。

 「エリア・マ-ケティング」というのは、店舗や販売網を展開する場合、地域のもっている特性を分析し、その固有性に合った「マ-ケティング」を展開する戦略をいう。

多くの場合、地域全体を一つのマーケットとしてとらえがちであるが、例えば日本全国を見ると北と南では習慣、風土、文化は異なるし、ましてや食べ物の味については、味噌や醤油でも味の差がかなりある。

これを一つのマ-ケットとして捉えることは、まったく無意味であり、その地域の特性にあった「マ-ケティング」、つまり「お客様の立場に立ったマ-ケティング」活動が必要なのである。つまり、地域を行政地域で分類するのではなく、店舗や販売網の商圏特性志向という考え方によって「マ-ケティング」を展開することである。

① チェ-ンの出店パタ-ン

 チェ-ンストアの場合は、出店戦略として、「ロ-カル・チェーン(1つの商勢圏の中に10店舗以上あるチェ-ン)」から、「リ-ジョナル・チェ-ン(ロ-カル・チェ-ンが2つ以上あるチェ-ン)」に、さらに「ナショナル・チェ-ンが2つ以上あるチェ-ン」)へと発展していく。

② 商圏戦略の位置づけ

 チェ-ンストアの出店戦略は1つの商圏(ご来店されるお客様の大多数がおられる地域)を積み重ねていくものではなく、まず「商勢圏戦略」があって、その中で「商圏戦略」が確立されていくのである。

③ 地域特性

 「商勢圏戦略」が確立されていても、店の商圏ごとに地域特性は、すべて異なっている。このため、マ-ケティングの画一化は避けるべきであり、個店による「インストア・マ-ケティング」を行うことが不可欠であり、これを「エリア・マ-ケティング」という。

 

(3)ソ-シャル・マ-ケティング

 「ソ-シャル・マ-ケティング」というのは、社会との関わりや、社会的志向のマ-ケティングということである。これは「マネジアル・マ-ケティング」が社会性の面が不足しているので生まれた。

 「マ-ケティング」そのものは、お客様に限定した企業の事業活動の一要素であるが、「ソ-シャル・マ-ケティング」というものは、企業活動は「社会貢献」「文化支援」「環境保護」などについても考慮に入れなければならないということである。

特に、最近の企業の不祥事は、企業利益の優先から起きていることであり、自社の置かれているものが何なのかの「社会的貢献」が不明確になっているからである。

 したがって、企業は本来あるべき「社会的責任」がどこにあるのか、社会全体を視野において「共存共栄」を目指すべき方向性とか、公害問題への対策、欠陥商品の絶無、過剰包装の排除、誇大広告の減少化に向けての企業倫理の確立が必要になってきた。

つまり、「お客様の立場に立った」社会的責任や社会的貢献を行うマ-ケティング活動を行うことである。

① 社会的責任の喪失

 企業というのは、社会全体の中で共存しなければならないが、往々にして「マ-ケティング」の目標や成果は、企業の売上、利益、シェア-率で示されるために、市場競争優先が主体になってしまい、企業が本来あるべき社会的責任がどこかに置き忘れてしまっているばかりでなく、「経営者」自身のあり方が問われている。

② 社会全体との共存共栄

 「マ-ケティング」というものは、「マ-ケティング」目標と成果を達成しながら、生活者の真の利益を提供し、さらに社会全体を視野において共存共栄を目指す「マ-ケティング」として、「ソ-シャル・マ-ケティング」を確立しなければならない時代になってきた。

③ 社会問題の噴出

 生産技術、科学技術、ソフト技術の革新が進み、「マ-ケティング」上も進展はしたものの、工業社会が実現すると生産者本位が社会的問題として出現したのであった。公害問題、欠陥商品、過度のモデルチェンジ、メ-カ-本位のマ-ケティング・セグメンテ-ション、誇大広告に対する批判が噴出した。

④ コンシュ-マリズムの台頭

 アメリカにおいては、1930年代の初め頃に、生産者本位に対抗して、消費者を守る運動として、コンシュ-マユニオン(消費者連盟)が生まれ、独自の商品テストを発表する月刊誌「コンシュ-マレポート」が発刊され、生産者を糾弾する運動として、ラルフ・ネーダーの攻撃がきっかけとなり、「コンシュ-マリズム」という考え方が起こった。