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2017-03-26 12:01:00

今回は、「個性化戦略」の前提とする「競争戦略」について説明しよう。

 

個性化戦略(9)

 

[5]競争戦略の意義

 

 「競争戦略」というのは、基本的には「お客様の明確化」「商品の明確化」「店舗の明確化」「コストの明確化」「サ-ビスの明確化」などを「差別化戦略」よりはるかに、明確な「マ-ケティング戦略」であることは、次のような4つの戦略によるものである。

 

(1)マ-ケット・リ-ダ-戦略

 「マ-ケット・リ-ダ-戦略」というのは、当該対象市場内、つまりハンバ-ガ-・チェ-ンとか、コンビニエンスストア・チェ-ンといった市場内で、最大の「経営資源」があり、さらに当該市場内で最大のシェア-を持ち、総合的には他企業を圧倒する独特の優位性を発揮している。

 ファ-ストフ-ドでいえば、商品の種類は一番少ないのが一般的で、「プライス・リ-ダ-」の位置を保っている。また新商品や新しいマ-ケットの開拓も積極的であり、常に話題を提供し続けている。

 さらに、他の企業に対しては、常にその格差を広げる戦略をとり続けている。また他の企業が、価格や新商品や新しいマ-ケットの拡大でチャレンジをしてくると、確実にそれを退ける戦略を展開している。

 「マ-ケット・リ-ダ-」企業は、広告戦略も積極的で、特にテレビ・コマ-シャルの露出度が極めて高く、販売促進のキャンペ-ンや、新商品の発売には大々的に広告を打ち、認知度を高めている。

 

(2)マ-ケット・チャレンジャ-戦略

 「マ-ケット・チャレンジャ-戦略」というのは、当該市場内でリ-ダ-に次ぐ「経営資源」を持ち、さらに「リ-ダ-企業」に追いつくべき戦略があり、常にリ-ダ-に対抗する行動をとり続けている。しかし、「リ-ダ-企業」と比較して、総合的には他の企業を圧倒するほどの優位性は持ち合わせていない。

 ファ-ストフ-ドでいえば、商品の種類はリ-ダ-より多く販売しており、プライス的には、「リ-ダ-企業」に追随している。また新商品や新しいマ-ケットの開拓も積極的であるが、ヒットは「リ-ダ-企業」と比較して、少ないのが普通である。

 「リ-ダ-企業」に対しては、常に格差を縮小するべく戦略をとるが、とればとるほど格差が広がって行く傾向にあり、戦略上にも多少無理な戦略をとる場合もある。

 

(3)マ-ケット・フォロア-戦略

 「マ-ケット・フォロア-戦略」というのは、当該市場では経営資源にしろ経営意欲にしろ、「リ-ダ-企業」や「チャレンジャ-企業」の地位を脅かす位置にはなく、総合的にも他企業として比較して優位性をもっていない。

 ファ-ストフ-ドでいえば、「リ-ダ-企業」や「チャレンジャ-企業」がシェア-を高めていっても、決してあわてず自己のペースを維持している。商品の種類は割合と多く、新しいマ-ケットの開拓もあまり話題を提供していない。

 新商品では、時々他社との競争に関係のない商品を打ち出すことがあるが、カテゴリ-(部門)が若干異なるので、製造や販売の効率が低下することがある。販売促進面では、商品を中心としたキャンペ-ンだけで限定していることが多く、しかもマス・メディアを活用することができないので、店頭だけのための告知力が比較的に弱い。

 

(4)マ-ケット・ニッチャ-戦略

 「マ-ケット・ニッチャ-戦略」というのは、当該市場市場内では「リ-ダ-企業」の「経営資源」にまで及ばないが、「チャレンジャ-企業」とは比肩できるか、もしくはそれ以上のパワ-を持ち合わせている。経営意欲はきわめて高く、「リ-ダ-企業」や「チャレンジャ-企業」とは、まったく異なった独自性を持っている。

 「リ-ダ-企業」や「チャレンジャ-企業」が熾烈な競争を繰り広げ、「フォロア-企業」がこの競争に巻き込まれそうになっても、冷静にその行方を見守り自社の「経営理念」の再確認や「オペレ-ションの基本原則」の徹底化を図ることによって、混乱に陥らないような戦略をとり続けている。

 新商品の開発は積極的で、他社が真似のできない独自の商品で、お客様の人気を博している。もし他社が同類の商品を販売しても、「ニッチャ-企業」の名を一層高めてしまうくらいの独自性と優位性を確立している。

 販売促進の面は、新商品を発売する時に、ポスタ-による告知が最大のもので、通常はマス・メディアをあまり活用せず、口コミが中心であるが、この効用はきわめて高い。店舗開発の面では、他社が驚くほどの、不利と思われる立地条件でも利益を生む体質を持ち合わせている。

 「マ-ケット・ニッチャ-戦略」で陥りやすい点は、「ニッチャ-」という位置づけを忘れてしまい、いつの間にか「チャレンジャ-」の位置に移動していることである。つまり、成長という魔物に魅せられて、ついつい暴走をして、「ニッチャ-」の独自性が喪失してしまうことである。