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2016-07-29 23:27:00

多くのレストランやバーが軒を連ねるニューヨークでは、休日前ともなれば
どの店も大変な賑わいを見せています。ビール、ワイン、カクテルは比較的ど
この店でも用意されていますが、日本で定番の日本酒や焼酎は、いわゆる「ス
タメン」ではありません。それでも和食の浸透により、「Sake(日本酒)」を
扱うレストランやバーが増え、日本食レストランに限らずとも、気軽に「Sake
」を楽しむ機会が増えたように感じます。

 2015年の酒類(日本酒・ビール・焼酎など)の海外への輸出量は約390億円と、
前年と比較して1.33倍増加しています。マンハッタンでは、「Sake Expo」など
日本酒を紹介するイベントが定期的に開催され、日本酒が広く浸透してきたの
も、ニューヨークを訪れ、あるいは実際に住みながら地道な営業活動を重ねた
日本酒の蔵元やメーカーの努力の賜物だと思います。

 山口県産の日本酒「獺祭(だっさい)」は、ホワイトハウスで公式晩餐会が
開催された際に、オバマ大統領と安倍首相夫妻の乾杯に使用されたことをご存
知の方も多いと思いますが、日本酒は、和食を海外に広めるだけでなく、日米
の友好の架け橋としての役割も担っています。日本酒に加えて、焼酎や梅酒な
どの日本の酒が海外で広く浸透すれば、酒の肴として日本産の農産物や水産物
、漬物などが普及するチャンスも生まれます。先日、筆者が訪れたチェルシー
地区の日本料理店では、日本酒以外にも焼酎がなんと90種類以上も取り揃えら
れ、店内では日本のメーカーが梅酒の試飲会を行うなど、大変な賑わいでした。

 ニューヨークの酒市場ではまだまだ新規開拓の余地があり、焼酎や梅酒など
は「Sake」に続いて広く普及する可能性を秘めています。冬の寒いマンハッタ
ンでも、仕事帰りのビジネスマンがカウンターで熱燗や焼酎のお湯割りを一杯
飲んでから帰宅するという日本の居酒屋のような光景が見られるのもそう遠く
ないのではないでしょうか。

                 (ニューヨーク事務所 建道所長補佐)