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2016-07-29 23:20:00

今回から、ふたたび「マーケティング戦略」に戻り、企業成長の重大な柱となる「個性化戦略」について、アメリカの事例を交えながら説明をしよう。

 

個性化戦略(1)

 

 「新しいビジネス・プランの企画開発」が成功すると、必ずといって良いほど、追随する企業が登場する。この追随を許されないためにも、他社が真似のできない「個性化戦略」を確立しなければならない。

 

[1]マーケティング・ミスティクス

 

(1)マーケティング・ミスティクスを学ぶ目的

 

 「新しいビジネス・プランの企画開発」の成功のカギは、「お客様の立場に立つマ-ケティング戦略」を的確に確立することであるが、多くの場合「成功事例」を学ぼうとする。このケースでは、「創造的なマ-ケティング戦略」を確立するのを忘れ、ついつい「成功事例」を模倣してしまい失敗に終わることが多い。

 逆に、「失敗事例」を学ぶと、失敗の轍を踏まないことを先人が教訓として残してくれている。しかし、「失敗事例」は、企業の恥として、あまり資料として残っていないが、アメリカのフ-ドビジネスの企業での事例が参考になるので紹介していこう。

 また、「失敗事例」の共通の内容として、熊沢孝が、次のようにまとめているので、とても参考になろう。

 

1.保守謝儀が原因の誤り

 

2.過大な成長による誤り

 

3.マーケティング戦略の誤り

 

4.社会制約を無視した誤り

 

(2)バ-ガ-・キングの事例

 

① 創業年度

 

 「バ-ガ-・キング」は、いまでもアメリカのハンバ-ガ-・ビジネスにおいて、「マクドナルド」に次ぐ大チェ-ンである。「バ-ガ-・キング」の創業が1959年で、「マクドナルド」は1955年の創業とわずか4年のスタ-トの違いであるが、売上高ランキングこそあまり変化はないが、売上高の格差は開くばかりである。

 

② エリア・フランチャイズ・システムの採用

 

 「バ-ガ-・キング」の創業者であるジェ-ムス・W・マクアモアとディビット・R・エッジャ-トンは、全国展開のスピ-ドをあげようとして、「エリア・フランチャイズ・システム」を採用した。

 その内容としては、「エリア・フランチャイザ-」に店舗開発の裁量権を与えた。その対価として1店舗について2万5,00ドルの「イニシアル・フィ-」は徴収したが、「ロイヤリティ」はわずか売上高の1%というものでした。この結果、「バ-ガ-・キング」の収入は少なく「マクドナルド」に追いつくための成長力はつかなかった。

 

③ エリア・フランチャイザ-のパワ-

 

 「エリア・フランチャイザ-」の「チャ-ト・ハウス」の例では、独自の経営力によって急成長し、他の「バ-ガ-・キング」を買収するほどになり、失敗こそしたものの、「バ-ガ-・キング」の本体を買収しようとしたように、相当なパワ-を持ち、本体を凌駕し、独自の「組織」をつくり、「教育訓練」や「物流システム」を確立するほどになった。

 

④ マクドナルド・システムの採用

 

 「バ-ガ-・キング」は、食品会社「ピルスベリ-」に1967年に買収されたが、1977年に「ビルスベリ-」ウイリアム・H・ス-プア会長は、「マクドナルド」のNo.3のドナルド・N・スミスをスカウトした。

 スミスは、「マクドナルド」の「システム」を持ち込み、「広告戦略」を洗い直して、お子様をタ-ゲットにし、「フランチャイジ-」に店舗の改装を勧め、チェ-ンのイメ-ジの刷新を図った。

また問題とされていた、「エリア・フランチャイズ・システム」を「マクドナルド」の「システム」に改定した。この「システム」というのは、本部自身が土地・建物を所有し、「フランチャイジ-」にリ-スするという「ライセンス・システム」である。

 さらに、「チャ-ト・ハウス」のような巨大な「エリア・フランチャイザ-」とは、協調路線を確立して「マネジメント」の安定を図ったが、スミスは1980年に「ピザ・ハット」に移ってしまった。

 

⑤ 失敗の要因

 

 その後、「バ-ガ-・キング」は、「バ-ガ-・ウォ-ズ」といわれたチャレンジ「広告戦略」を展開し、マ-チャンダイジングをはじめとする積極策を展開した。確かに売上高は増えたものの、コストの増大をカバ-しきれず、結局は利益を減少させるばかりであった。しかも、「マクドナルド」を追従できるどころか、格差はますます開く結果になってしまった。

 この要因は、当初の「エリア・フランチャイズ・システム」で急成長を図ろうとした失敗策が、ここまで尾を引いたことであった。かつて、「マクドナルド」も「エリア・アランチャイズ・システム」を採用したことがありましたが、不利な点をいち早く察知し中止をした。