インフォメーション

2011-05-17 17:54:00

【生体牛価格が下落】

過去最高の牛肉小売価格やパッカーの在庫状況など牛肉市場の動向を受けて、生体牛の現金取引価格は5月1週早々に下落している。カンザスとテキサスの生体牛価格は前週比2ドル安、枝肉では3~4ドル安になっている。また、処理頭数の急減や取引の少なさへの懸念も加わって、5月2日の生体牛先物相場は急落した。価格リスクをヘッジしているサザン・プレーンズの肥育業者達は、現金価格と先物価格の有利な関係を生かして安値を受け入れている。メモリアル・デーの連休に向け、生体牛価格はパッカー在庫の状況次第で5月1~2週に若干持ち直す可能性もあるが、その後夏場に入ると例年通り下降するだろう。

【食肉小売価格、過去7年で最大の上げ幅】

肉牛頭数の減少と国内外の需要増のため、2011年度の食肉価格は前年比で6~7%上昇し、8.4%を記録した2004年以来最大の値上がりになると米国農務省(USDA)は予測している。特に生体牛頭数は、1950年代以来最低値になっている(USDA経済調査局)。またドル安で輸出に拍車がかかり、一部の海外市場で米国製品に割安感がでている。一方で燃料の値上がりもあり、生産・輸送費に加えて飼料コストが増加している。

家庭消費用の食品全体で、3.5%~4.5%の値上がりが予想されており、食肉カット別でみると、3月度はいずれも前年比でボンレス・ポークチョップは15%、ベーコンは24%、チョイス・ボンレスサーロインも15%、赤身牛挽肉は9%(インフレ未調整)値上がりした。

牛肉小売価格は過去最高の値上がりで、消費者は豚肉や鶏肉に流れている。特にガソリンが4ドル以上値上がりすると、その傾向はいっそう強まるため、直近の月だけでなく、夏季を通じて売り上げに影響するのではと懸念が広がっている。

【牛肉卸売高値、フードサービス業への影響】

牛肉卸売価格の値上がりを受けて、一般レストランからハンバーガーチェーンを含む外食業界は値上げ、分量カット、他のビーフアイテムへの切り替え、チキンメニューの追加など、それぞれ対応を余儀なくされている。マクドナルドは4月4週に牛肉、乳製品等食材の値上がりを予測して、顧客の来店を維持するためにも値上げは慎重に行うと述べている。

あるエコノミストは「牛肉需要の動向は不透明だ。燃料、食品の値上がりで消費者はすべての支出で倹約を迫られるだろう。これまでの調査で牛肉小売価格の上昇は、豚肉、鶏肉と比べて需要への影響が大きい。食肉全体が値上がりすると、消費者は牛肉をあきらめる傾向が強い」と述べている。

※2011年5月2日 Cattle Buyers Weekly