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2016-06-03 09:59:00

タイ  2016/06/01(水曜日)
福島県が桃20トン輸出へ、前年比15倍[食品]

 



福島県の内堀雅雄知事は5月31日、タイの首都バンコクで会見し、7月下旬からタイ向けに県産の桃を20トン輸出すると発表した。前年から約15倍の輸出量となる。バンコク中心部の商業施設「サイアム・パラゴン」など13カ所で、9月中旬まで販売する。

高級商業施設を運営するザ・モール・グループと協力し、ターゲットとなる富裕層への販売を強化する。販売期間中は、各店舗で福島県産の桃フェアを開催。1店舗で1日当たり約150個の販売を見込んでおり、期間中に合計6万個以上を販売する計画だ。

内堀知事によると、タイ食品の輸入販売を手掛けるアライドコーポレーション(横浜市)との提携により、輸送コストの大幅な削減に成功。輸送方法を従来の空輸からCA(大気調整)コンテナを利用した海上輸送にすることで、大玉1個当たりの販売価格を従来の300バーツ(約1,000円)前後から200バーツまで安くした。

県の担当者によると、タイへの桃の輸出は2012年9月に再開。東京電力福島第1原発事故後、県産の果物を輸出する初のケースとなった。それ以降は13年に1.9トン、14年に2.0トン、15年に1.3トンを輸出。震災以前に輸出をしていた香港や台湾では、今も福島県への食品輸入規制が続いている。

内堀知事は「福島県はいまだ風評被害に苦しんでいる。タイの人に県産の桃をおいしいと食べてもらうことは風評を払拭(ふっしょく)し、震災復興への道につながる」とコメント。CAコンテナを利用した他の特産品の輸出も積極的に行っていく考えを明らかにした。

アライドコーポレーションは、タイで茨城県産のメロンなども販売。氏家勇祐社長によると、タイでは中間所得層の拡大を受け、日本産果物の人気が高まっている。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、15年の日本産農林水産物・食品のタイ向け輸出額は、前年比3%増の358億円と6年連続で拡大した。