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日本の「おもてなし」を語る上に、「ホスピタリティ」についても知る必要があり、その「原点」といわれる「帝国ホテル」について説明してみよう。
(5)帝国ホテルがホスピタリティの原点
日本における「ホスピタリティ」というのは、帝国ホテルの当時副総支配人で後に総支配人に就任した犬丸徹三によってもたらされたとされている。犬丸徹三は、世界に誇る超一流のアメリカ・ニュ-ヨ-ク「ウォルドフ・アストリア・ホテル」で、ホテル経営について多くのことを学んた。
そして、1919年(大正8年)に、帝国ホテルで日本のホテル史に残るライト館の開業に携わり、オ-プニングの1923年(大正12年)9月1日に起きた関東大震災に見舞われたが、犬丸徹三の陣頭指揮が効を奏して帝国ホテルを守り抜き、開業させた。
帝国ホテルでは、「理念」「行動指針」「帝国ホテル十則」が制定されていて、これが今日の帝国ホテルの原動力になっている。
【理 念】 帝国ホテルは、創業の精神を継ぐ日本の代表ホテルであり、国際的ベストホテルを目指す企業として、最も優れたサ-ビスと商品を提供することにより、国際社会の発展と人々の豊かでゆとりある生活と文化の向上に貢献する。
【行動指針】 1.私たちは、その伝統を十分認識し、お客様の要請を発想の原点として、提供する総てのサ-ビス、技術の向上改善に徹し、新しい価値の創造に努める。 1.私たちは創意工夫と挑戦の精神を尊重し、かつ協調と調和の態度を貫くことにより総合力の向上を追求する。 1.ホテル業が、人を原点とすることを正しく理解し、規範たるホテル十則の導く行動に徹する。
【帝国ホテル十則】 1.親切、丁寧、迅速(この三者は古くて新しい私共のモット-であります。) 1.協同(各従業員は所属係の一員であると同時にホテル全体の一員であります。和哀、協同をもって完全なるサ-ビスに専念してください。) 1.礼儀(礼儀は心の現われ、ホテルの品位です。お客様はもとより、お互い礼儀正しくしてください。) 1.保健(各自衛生を守り健康増進に努めてください。) 1.清潔(ホテルの生命であります。館内は勿論、自己身辺の清浄に心掛けてください。) 1.節約(一枚の紙といえども粗略にしてはなりません。私用に供することは絶対に禁じてください。) 1.研究(各自受け持ちの仕事は勿論、お客様の趣味、嗜好まで研究してください。) 1.記憶(お客様のお顔とお名前を努めて速やかに覚えてください。) 1.敬慎(お客様の全面でひそひそ話や、くすくす笑いをしたり、身装を凝視することは慎んでください。) 1.感謝(いつも「ありがとうございます」という感謝の言葉を忘れないでください。 |