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2023-09-01 16:10:00

【経営者のプロデュース化】【4】

 

[4]個性化戦略の確立

 「企業戦略」を確立する場合に多くの企業では、同業他社を競争企業として、競争戦略とか競争優位戦略を確立しようとしている。これらの戦略は、生活者やお客様をまったく無視する戦略であることに、気のついていない企業が多すぎる。つまり、「乱気流とカオス時代」には、これらの企業は何か大きな事件が起きると、共倒れ状態になってしまうことを繰り返されている。

 「企業戦略」の確立において、最も重要視しなければならないことは、「お客様の立場」や、「お客様発」「お客様の参加・共創」の「企業戦略」を確立しなければならず、競争企業に目をむける必要はまったくないのである。ここで、最も重要なことは、「競争相手はお客様」という「企業戦略」の大きな機能である「個性化戦略」を確立することである。

最近「ブルーオーシャン戦略」なる言葉が頻繁に聴かれるが、これは「レッドオーシャン戦略」に対するものとして使われているが、「個性化戦略」は、競争というものを意識しなくて、あえて使うならば競争相手は「お客様」である。

(1)全体像を描く

 「企業戦略」を確立するということは、「企業の社会的役割」「日本企業の将来像」と「企業ミッション」を描くことから始めなくてはならない。「企業戦略」というのは、言うまでもなく企業全体の「各戦略」の基幹となるもので、しかも、長期と短期との見通しを複数かかげていかなければならない。

 「全体像を描く」上に、重要なことは、「お客様発」を真剣に取り組むことである。多くの学者や企業は、お客様の声に耳を傾けるなと言っているが、世の中を無視していて、例えばコロナショックのような事件が起きると、これらの企業は「企業戦略」の転換ができなくなっている。

複数の「企業戦略」を確立するということは、「日本企業の将来像」を実現することを目指し、「企業戦略」を確立するのであるので、社会的経済的環境を分析するのではなく、社会的経済的環境の変化を「ウオッチング」しながら、近未来の経済的社会的環境を「複数予測」し、むしろ「創造」していくことである。

 これによって、「乱気流とカオス」が起きた場合には、その動向を見極めて、複数の「企業戦略」の中から、最優先の「企業戦略」は何か、次にはどの「企業戦略」が有効かを見極める「意思決定」が重要になる。

(2)ポジショニング

 「企業戦略」における「ポジショニング(positioning:位置づけ)」というのは、競争企業との位置づけでなく、「競争相手はお客様の価値観」である。「お客様の価値観」というのは、すべて同じという訳でない。食べ物で言えば、お腹を満たしたいだけの時は、「ニーズ(必要性)」、もっと美味しいものの時は、「ウォンツ(欲求性)」、さらに楽しく食事をしたい時は、「シーズ(種子)」というように、「三極分化」という価値観である。

 また、重要なことは、年齢層である。年代によって、「考え方」「感覚」「嗜好」などまったく異なっている。例えば、かつてはファミリー・レストランの場合、家族ずれのお客様が圧倒的に多かったが、今や単独客や年配客が多くなっている。

もちろん、低価格志向は、依然として継続しているが、最近の特徴としては、少し高くても家庭ではできない「価値のある料理」、単独客の場合には「店のスタッフ」と話したがったり、単身者の場合には、「健康志向」でサラダを食したいが、ス-パーマーケットで野菜を購入しても、カットする手間が大変だとか、残りの野菜をどうするかの問題などがあり、ファミリー・レストランに足を運ぶことが多くなっている。

(3)個性化としての位置づけ

 「個性化戦略」というのは、他に絶対真似のできない「商品」や「おもてなし」を提供することなのである。つまり、あの「商品」なら、あの「おもてなし」ならば、少し遠くても行きたい店のことである。しかも、他の店と比較して圧倒的な差があるということが最大条件である。

 このためには、「お客様発」「お客様の参加・共創」が最大の条件で、これこそ「お客様」はグローバルに世界最高の「商品」や「おもてなし」のレベルの情報を持っており、その期待を企業に求めていることを企業は認識しなければならない。

 「お客様」に意見を聞くなという企業が存在しているが、グローバル情報を持っている「お客様」の情報には勝てていない。さらに、日本国内においても、まったく同じで、特徴のある「商品」を提供していると豪語しているが、一度は購入するが二度と買ってくれないのは、「お客様」が飽きたと錯覚している。国内の最高レベルの商品は、いくらでも転がっていることを忘れてはならない。

 特に、「接客」は、企業がいくら「おもてなし」を良くしろといっても、現実の店では、「バイト用語」が当たり前のように使われていることを企業が認識していないことに問題がある。そういう企業の多くが現場主義を唱えているから笑止千万であるばかりでなく、世間がこの現象に染まってしまっている。

(4)企業戦略への意志決定

 「企業戦略」は、「長期」や「中期」の「企業の方向・行動」について、「経営者」が「意思決定」することなのである。このためには、あらゆる角度から「企業戦略」を確立するために思考しなければならない。

・適切な「意思決定」と「選択」を行うこと。

・「意思決定」の一つが企業の命運を左右するという認識を持つこと。

・「意思決定」は、あくまでも客観的に、かつ迅速に決定すること。

・「企業戦略」が効果的に実現できるかどうか思考すること。

・お客様に「未来価値創造」を提供できるか確認をすること。

(5)グローバル戦略化へ

 いまや「企業戦略」に不可欠な要素は、「グローバル戦略化」である。したがって、「企業戦略」を確立するには、「グローバル市場」を前提としているかどうかを検討しておかなければならない。

・グローバル市場を認識していること。

・企業のポテンシャル(potential:将来の可能性)を引き出すこと。

・最初に日本国内で「企業価値」を高めること。

・「グローバル戦略」で、日本国内戦略にも変化を起こさせること。

・進出先に「グローバル戦略」が浸透でき、さらに「ローカリゼーション戦略」を確立できるか。