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2023-07-31 18:54:00

【経営者のプロデュース化】【3】

 

[3]名プロデューサーとしての位置づけ

「経営者」が「名プロデューサー」として位置づけるには、「リアクション」「リスク」「ウォッチング」「インタビュー(お客様の声を聴く)」が効果的にできているかどうかにかかっている。

(1)リアクション

 いくら良い「企業戦略」を確立したとしても、確立した時点で即座に社会的経済的環境は変動している。つまり、いくら将来予測が素晴らしいものであっても、「乱気流とカオス時代」には、何が起こっても不思議でない。

したがって、「優れた経営者」は、「リアクション(reaction:反応))が絶対条件である。「朝令暮改」という言葉があって、あたかも「経営者」の独善と見られ、企業内では忌避される傾向にある。しかし、例えばコロナショックのような世界全体を揺るがすような場合には、「朝令暮改」は、さらに「優れた企業戦略」を確立していくのである。

(2)リスク

 どんなに「優れた経営者」であっても、「意思決定」は将来に関わるものであるために、不確実であるが、それだからといって「意思決定」を放棄する訳にはいかない。したがって、「不確実性」のレベルがどうかを評価しなければならない。

 つまり、「経営者」は「不確実性」のギャップを乗り越えていく「リスク(risk:危険)」が存在していることの覚悟を持たなければならない。そのためには、「想定外」をいくつか掲げ、その対応策を思考しておくことが必要であろう。この場合、過去の成功体験は、完全に放棄することが絶対条件になろう。

(3)ウォッチング

最近、「ビッグデータ」が話題を呼んでいるが、これを活用することは否定しないが、「ビッグテータ」はすでに過去のものであるとの認識をしておかなければならない。「ビッグデータ」は確かに重要な「データ」であるが、「経営者」自身が読み解くというのは、かなり至難の技であり、大問題でもあるし、しかもコストは非常に高いので、どこの企業も利用できるとは限らない。

 「優れた企業戦略」を確立するには、生活者の「ウォッチング(watching:観察)」である。これらは「ビッグデータ」には絶対ないものであり、これから読み取る「経営者」のセンスと予測力が、企業の成長に大きなパワーとなっていくのである。この場合、絶対避けなければならないことは、他社の動向であり、そこからは何も生まれてこないのに、多くの企業は依然として、この方法で逃げている。

(4)インタビュー(お客様発を聴く)

 「マーケティング・リサーチ」といって、市場の定量観察が行われていて、それをベースに「企業戦略」を確立している企業が多い。しかも、リサーチ会社に依頼するので、同業他社も同じデータによって「企業戦略」を確立している企業が圧倒的に多い。

このデータも否定する訳ではないが、参考程度にとどめたほうが賢明であろう。むしろ、このデータに足かせになってしまうので、利用しないほうが無難かも知れない。多くの企業では、「お客様主義」といっているものの、これはあくまでも企業の立場から考えていることである。

また、「お客様の立場」を思考していこうという考えを持っているものの、「お客様」の意見とか心の奥底に眠っているものを探ろうとしていない。「企業の将来像」をかかげて、お客様に「感謝」「至福」「共感」を届けるには、真の「お客様」の心を開く「お客様発」を聞くことが、「優れた企業戦略」を確立していき、「乱気流とカオス」が発生した時には、最大に役立つのである。

特に、日常発生しているお客様のクレームは、最大の「お客様発」であり、どんな些細なことでも、企業は即座に対応していくことが重要である。その対応時に、どんなことでも聞くことが肝心で、そこから「心の奥底」に眠っているものを引き出すことが可能になる。

「お客様発を聞く」ということで、「お客様」との「インタビュー」を行うケースがあるが、「お客様」すべての声としてとらえると失敗するケースがある。「お客様に聴く」を行っても、それが「真の心の奥底の課題と要望」かどうかの判断をすると同時に「企業の意思」と合致するかを検討しなければならない。