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2013-08-30 18:27:00
    By
  • DAISUKE WAKABAYASHI

 

[image] REUTERS

都内のマクドナルド店で(2012年)

 【東京】1971年に米ハンバーガーチェーンのマクドナルドを日本に持ち込んだ藤田田氏(故人)は、同社があまりにも日本に溶け込んだため、多くの日本人は「Ma-ku-do-na-ru-do(マ・ク・ド・ナ・ル・ド)」と日本語で発音している同チェーンが実際は米国の発祥であることを知らないと自慢するのが常だった(米本社はMcDonald'sで、英語発音も「マクダーヌルズ」に近い)。

 魚と米を中心とした食生活を送っていた日本の消費者に日本マクドナルドがハンバーガーとフライドポテトを紹介してから40年以上たつが、そんな同社が初めて社長に外国人を指名した。サラ・カサノバ氏が原田泳幸社長の後任となる。原田氏は引き続き、日本マクドナルドを傘下に持つ持ち株会社の日本マクドナルドホールディングス(HD)を統括する。

 3280店舗を運営する事業会社の日本マクドナルドはHDの中核部門。HDの株式の50%は米国のマクドナルドが保有している。

 カサノバ氏はマクドナルドの日本事業が低迷するなかで社長に任命された。日本企業でトップに女性が起用されるのはまれだ。同社はマクドナルドのメニューより安い商品を提供するライバルに押されているほか、円安と原材料価格の上昇で利益率が圧迫されている。

 原田氏は、日本市場が非常に厳しく下降傾向にあることを指摘し、できるだけ迅速に最善の経営者を起用することが重要だと述べた。原田氏は2004年にアップルの日本法人からマクドナルドに移った。

 

 今年上半期の日本マクドナルドHDの純利益は前年同期比35%減、売上高は11%減少した。また、通期の売り上げと純利益の見通しを下方修正した。先月の既存店売上高は前年同月比2.7%減少した。客単価は7.5%上がったものの、客数が10%近く減った。既存店売上高は5月と6月にわずかに改善したものの、それまでは13カ月連続で前年割れしていた。

 同社は、より高級なハンバーガーの提供を始めた。「クォーターパウンダーBLT」の価格は520円と、同社で初めて500円を超えた。また、通常のLサイズの2倍の量となる「メガポテト」を490円で販売するキャンペーンを行って顧客の注目を集めようとしている。

 カサノバ氏はマクドナルドで22年の経験を持つベテランで、カナダ出身。同氏の起用は、日本法人で米国の親会社の影響力が増大していることを浮き彫りにしており、これまで独立志向を維持してきた日本法人の転機を表す。米マクドナルドの海外法人で上場しているのは日本法人だけだ。

 日本マクドナルドは創業当初から、米国の親会社とは違った成功の道を歩んできたと言える。創業者の藤田氏は、日本人は都会の人々の生活に影響を受けやすいと主張し、初期の店舗を郊外ではなく都市の中心に開く決断をした。

 原田氏はカサノバ氏について、04年から09年までマーケティングと事業推進の責任者を務めた経験があるため、日本市場を理解していると説明した。原田氏は会長にとどまる。

 カサノバ氏は、自らの計画の詳細は明らかにしなかったものの、同社の他の海外法人とのコミュケーションを密にし、日本の顧客体験を改善する道を探りたいと述べた。そして同社の新商品やサービスが海外発であることが多いと指摘、プレミアムコーヒーを提供する「マックカフェ」はオーストラリア、配達サービスはエジプト、アイスデザートの「マックフルーリー」はカナダが発祥だと説明した。

 カサノバ氏は直近まで、シンガポールとマレーシアの地域責任者を務めていた。