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2013-07-31 11:49:00

大人から子供まで日本人が大好きなカレーライス。「バーモントカレー」で日本の国民食になるきっかけを作ったハウス食品が、今目指すのが中国でカレーを“人民食”にすることだ。日本式カレーを中国で普及させるための知られざる戦略とは。

 日本人の国民食としておなじみのカレーライス。我が家でも食べ盛りの小学3年生と幼稚園児の2人の子供たちが大好きで、最初の日はカレーをご飯にかけて食べて、翌日はカレーうどんにすることも多い。

 今、日本式のカレーライスを世界に広めようとしているのが、ハウス食品だ。切り込み隊長はもちろん看板商品のバーモントカレー。「りんごとはちみつ恋をして、ハウス、バーモントカレー」といった歌が流れるテレビコマーシャル(CM)は、日本であまりに有名だ。CMには1973年から12年間、歌手の西城秀樹氏が出演。「ヒデキ、感激」といったキャッチコピーを記憶している読者の方も多いことだろう。

 バーモントカレーは日本にカレーライスが広まるうえで大きな役割を果たした。誕生したのはちょうど50年前の1963年。当時のカレーは辛くて大人の食べ物というイメージが強かったが、りんごとはちみつを使うことで、味や香りなどカレーの特徴を守りつつもマイルドな味に仕上げた。この結果、子供が食べやすいカレーとして爆発的な人気になり、夕食の献立としてすっかり定着した。

 ちなみになぜバーモントカレーという名前になったのかというと「米国東部の長寿で有名なバーモント州に民間療法として伝わるりんご酢とはちみつを使った『バーモント健康法』にちなんだもので、この健康法は当時日本でもブームになっていた」(ハウス食品)からだ。発売当初は「辛くないカレーなんて売れるわけがない」と販売店からも猛反発を受けたが、店頭での試食イベントなどを繰り返すことで受け入れられた。

 海外でも日本と同様に幅広い世代に支持される「食文化」としてカレーライスを普及させたい──。ハウス食品は最近になって海外展開を加速させている。

 とりわけ人口が13億人を超す巨大な中国市場の開拓に力を注ぐ。1960~1970年代の日本のような高い経済成長率を背景に、食文化の多様化が進んでおり、チャンスが大きいと考えたからだ。2004年に現地法人の上海ハウス食品を設立。2005年に「百夢多カレー(バーモントカレー)」を中国で発売した。

 「国民食ならぬ中国の“人民食”としてカレーライスを広めたい」。ハウス食品・国際事業本部の渡辺昭生次長はこう強調する。

 中国市場を開拓するために、ハウス食品は様々な工夫をしている。まずカレールウの色と香り。日本のバーモントカレーは褐色だが、中国では黄色だ。商品の開発前に、中国の多数の家庭を訪問して調査。使われている調味料を調べた結果、カレー粉を常備している家庭がかなりあることが分かった。カレー粉の色は黄色で、日本のようにルウを褐色にすると中国人にイメージが伝わりにくいためカレールウを黄色にした。

ハウスが中国で販売する「百夢多カレー(バーモントカレー)」

 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130724/251497/?n_cid=nbpnbo_mlt&rt=nocnt