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2022-07-30 21:53:00

I cover quick-service, fast casual and pizza restaurants.

Getty Images

今や米国ではどのブランドもチキンサンドイッチをメニューに載せているが、次のメニューカテゴリー「戦争」の場はチキンナゲットかもしれない。

この商品は長い間McDonald’s(マクドナルド)やWendy’s(ウェンディーズ)、Chick-fil-A(チックフィレ)などのベストセラーだが、骨なしチキンの需要が高まり続け、チキン全体の需要も同様に伸びている中、チキン・チェーンの大手たちもナゲット市場のシェアを狙って戦っている。

最新の事例がKFC(ケンタッキーフライドチキン)だ。今週同社は、新しいケンタッキーフライドチキンナゲットをテストしていることを発表した。同社のナゲットは、100%ホワイトミートとブランドの特徴である11種類のハーブとスパイスで差別化をはかることになる。

「ナゲットが小さいパッケージに入っていることは、フレーバーも小さいという意味ではありません。オリジナル・フライドチキンのエキスパートとして、当社の伝統に沿ったフレーバーと材料を使ってナゲットを作ることにしました」と最高マーケティング責任者のニック・チャベスが声明で語った。

今回のテストは、KFCのチキンサンドイッチ導入の成功に続くものだ。同商品は順調に売れ行きを伸ばし、2019年末にPopeyes(ポパイズ・ルイジアナ・キッチン)がサンドイッチを発売して以来競争が激化する分野に自社ブランドを注入した。

ポパイズといえば、同社もサンドイッチのデビューに続きチキンナゲットを昨年発売した。Boston Market(ボストンマーケット)も昨年クリスピーBLTサンドイッチを新発売し、つい先週、ロティサリー・チキンナゲットをデビューさせた。

ポパイズやKFC、ボストンマーケットといったチキンチェーンがこれまでナゲットを売っていなかったことに驚くかもしれない。ライバルたちが大きな成功を収めていることを考えるとなおさらだ。

たとえばウェンディーズ)の場合、同社のスパイシー・チキンナゲットは大きな注目を集め(ツイッターでは200万のいいね!を集め同ブランドの「史上最多いいね!ツイート」を達成した)、発売以来既存店舗売上高を押し上げている。スパイシー・ナゲットは同チェーンの数十年来の看板メニューである伝統のナゲットから自然派生した商品といえる。
マクドナルドのチキン・マックナゲットは1980年以来販売されており、ビジネスインサイダーによると同チェーンの売上ランキング7位に入っている。

チックフィレイは、日曜休業にもかかわらず、1店舗平均800万ドル(約11億円)以上を売り上げており、同社のチックフィレイナゲットはこの圧倒的数字の主要な要因だ。この商品はどの地域でも人気がある。

KFCがこの可能性を利用しないわけがない。

これまでナゲットは、魅力的な主役になるメニュー項目になったことはないが、客を動かすパワーを持っていることは間違いない。ミレニアル世代を中心とする子を持つ忙しい消費者については特にそうだ。KFCは、「ブランドの若返り化」を試みていることで知られており、チキンナゲット拒否権の提案はそのひとつだ。

しかし、これが同社史上初の「ナゲット」(ファストフード評論家の定義による)だからといって、これまでKFCが骨なしチキン分野に足を踏み入れたことがない、という意味ではない。実際、昨年同チェーンは、テンダーなどの骨なしチキン製品の広告をサプライチェーンの調達難のために一時中断したが、ポップコーンチキンは長年人気の主要メニュー項目だ。同社は植物由来のビヨンドフライドチキンを初めて発売した会社でもあり、同製品はナゲットの形態で販売されている。

KFCはプレスリリースで、同社のナゲットはおやつでも出先で食べるのにもおつまみとしても楽しめると述べている。商品にはKFCソース、ハニーBBQ、クラシック・ランチまたはハニーマスタードのソースが付き、8個入り、12個入り、36個入りがある。価格は3.49ドル(約480円)から。

新しいナゲットは、当初ノースカロライナ州シャーロット周辺地域で期間限定で販売される。果たして今後他の市場にも展開していくのか、KFCの既存ナゲット製品のような強力商品になるのか、それは今後を見守るしかない。メニューの定位置を獲得するだけに人気が証明できれば、チキン分野の新たな興味深い競争は激化していくだろう。