新型コロナウイルス禍で多くの交通事業者が苦境に陥った一方で、米配車サービス大手ウーバーテクノロジーズは存在感を発揮している。海外では、電気自動車(EV)の利用を促す「Uber Green(ウーバーグリーン)」を始めたほか、アプリでレストランやコンサートなどの情報閲覧と予約ができる「Uber Explore(ウーバーエクスプローラー)」も開始。進化を続けるウーバーに日本の交通事業者が学ぶべきことは多い。

2022年4月22日のアースデーでは、Uber Greenプログラムを宣伝するイベントを実施(写真/ウーバーテクノロジーズ)
2022年4月22日のアースデーでは、Uber Greenプログラムを宣伝するイベントを実施(写真/ウーバーテクノロジーズ)

 米ウーバーテクノロジーズの2021年第4四半期の総予約数は、前年同期に比べ51%増、総利用額は259億ドル(約3兆3000億円)に達した。これは配車サービスやフードデリバリー「ウーバーイーツ」などの合算だ。内訳としては、配車サービスの予約数が前年同期比67%増の113億ドル(約1兆5000億円)、フードデリバリーは同34%増の134億ドル(約1兆7000億円)と、創業以来の記録的な数字となった。

 世界では、すでに配車サービスは新型コロナウイルス禍前の水準に回復しつつある。それに加え、コロナ禍でフードデリバリーが躍進した結果だ。まだ赤字体質からは抜け出せておらず、足元の株価は19年の株式公開時点の価格を大きく下回って推移している。

 それでも、コロナ禍で多くの交通事業者が厳しい利用状況となっている中で、ウーバーの躍進は目を見張るものがある。人とモノ、車両とドライバーをデジタルでマッチングする次世代の交通サービスの強さが実証された形だ。事実、ウーバーの総予約額は、フードデリバリーの大きな伸びも手伝って21年に904億ドル(11兆7000億円)に達し、コロナ禍前の19年の水準を40%も上回る結果となっている。

脱炭素化へいち早く脱皮するウーバー

 ウーバーは、2040年までに同社事業による二酸化炭素(CO2)の排出をゼロにする目標を掲げている。そんな中、21年に米レンタカー大手のザ・ハーツ・コーポレーションがテスラの電気自動車(EV)5万台を購入したことが大きな話題となった。同時にハーツは、21年11月1日からウーバーのドライバーに対してテスラ車両の貸与を始めている。

米UberはMaaSのお手本? レストランと移動をセットで予約可能に:日経クロストレンド (nikkei.com)