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2013-03-30 23:22:00

今回は「戦略」と「戦術」の区分について説明しよう。この課題は結構誤解されていて、会社の趨勢までも影響があるので、本質を学んでほしい。

 

マ-ケティング戦略の確立(2)

 

④ 戦略と戦術の相違

 「戦略」と「戦術」という言葉が使われるが、これは軍事用語からきているものであるが、「戦略」というのは、「戦争の総合的計画」であり、「戦術」というのは、「実際の戦争を行うための計画」をいうのであるが、この境界はあまり明確でないので、次のように考えると理解しやすい。

 

【戦略と戦術の区分】

 

 

  考  え  方

 期 間

担 当

 事      例

戦  略

総合的・大局的な考え方

長 期 的

トップ

全体的な商品の方向

戦  術

部分的・実践的な方法

短 期 的

ミドル

個別商品の開発方向

このように考えていくと、「戦略」というのは、戦争に勝つためには、全体をどう考えていくのかという問題を考えるのに対して、「戦術」というのは、個別の戦いをどう勝ち抜いていくかの問題を考えて実際に戦っていくことである。

 つまり、企業における「戦略」や「戦術」は、「企業観競争」にどのよう勝ち進んでいくと置き換えられる。したがって、「戦略」というのは、熾烈な企業間競争に勝ち続けていくために、長期的な目標を描くことであり、「戦術」は、期間のための計画で、「戦略」に適合させていくことである。

 

 「戦略」について、佐川幸三郎は「新しいマ-ケティングの実際」で次のように説明している。

 本質的な問題として、戦略がもつべき革新性をあげなければならない。戦略はこれからの新しい産業社会のありようを洞察し、これに対処する創造的なアイデアと技術を伴った総合的な計画でなくてはならない。局所的な戦闘に勝つための戦術においても、発想における独創性を必要とするものである。

 戦略は組織の長期的大局的な活動計画であるから、企業の哲学(philosophy)並びに目標と密着している。哲学は基本的な考え方であり、目標は成果の具体的な指標戦略は、そのための方向づけと方法論である。この三者は三点セットになっていて、切り離すことはできない。

 戦略が非常に優れたものであっても、組織の哲学が社会的責任から逸脱したものであったり、組織の成員を動機づけることができない場合は、その戦略は機能しない。また、目標が非現実的で単なる期待値にすぎない場合は、かえって組織の活力を著しく低下させる。

 企業の長期計画で、過大な売上、利益、マ-ケットシェアを明示して、それが実現できず、下方修正を繰り返し行なって社員のやる気を喪失させるケースが、特に飽和・成熟の業界にみられることが多い。

 このような時代には、市場創造と商品革新に関わる優れた戦略が特に重要で、結果はそれについてくるものであり、決してその逆ではないことに注意する必要がある。

 

 (社)中小企業診断協会編「現代企業診断用語辞典」で、「マ-ケティング戦略」について、次のように説明している。

 企業におけるマ-ケティングの長期的路線、政策を与件、戦略、環境変数などの最適結合を通じて標的市場を選定し、その標的市場に対する適切なマ-ケティング・ミックスを開発することをいう。

 マ-ケティング戦略の特長は、

①長期的計画であり、長期的企業の路線である。その路線を形成していく策、つまり戦術とは区別される。

②長期的計画であるので企業の目標、ポリシ-に対して影響を及ぼす要因の分析が必要となる。

③計画はマ-ケティングの総合力によって実施される。したがって、マ-ケティング・ミックスの最適化が重視される。

④マ-ケティング戦略はシステムとしてとらえられ、常にフィ-ドバック機構にかけられる。アウトプットされた情報は、次の戦略計画のためにインプットされる。

⑤マ-ケティング戦略は未来志向であり、かつ動態的である。

 以上のようにまとめることができるが、市場標的の設定とミックスの最適化が主要な業務である。