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2013-03-30 17:37:00

パン・洋菓子製造販売のエーワンベーカリー(香港)は、タイで「グーテ・ベーカリー」をチェーン展開する。東南アジア進出は初めて。日本人居住区のスクンビット通り・ソイ49にある1号店で28日、正式オープンイベントを開いた。楊井元伸社長はあいさつの中で「年内に8店、来年はさらに10店を出し、計18店舗としたい」と意欲を示した。店では、パティシエの柴田武氏が手掛ける洋菓子も販売。高品質のパンとともに普及させる。

 



エーワンベーカリーは大阪市北区を本拠とし、海外では香港でベーカリー、レストランなど61店舗を展開。タイの「グーテ」は、エーワンベーカリー(香港)とパティシエの柴田氏がオーナーのシェ・シバタ、タイでトヨタ車代理店トヨタ・フレンドシップなどの事業を手掛けるソムサック氏の3者による合弁会社、グーテ・インターナショナルが運営する。

1号店は飲食スペースも併設。2号店は高架電車(BTS/スカイトレイン)エカマイ駅構内にキオスク型の「グーテ・エクスプレス」を開いた。4~5月にBTSサラデーン駅、スクンビット通り・ソイ33、BTSナナ駅近くに出店することも決まっている。まずは鉄道駅など人通りの多い場所に出店して認知度を高める戦略で、「将来は香港並みの店舗数とし、(高級商業施設の)サイアム・パラゴンにも出店したい」(楊井社長)としている。

品質を重視しつつ、価格は先発のベーカリーチェーンと同水準に設定。菓子パン一個30バーツ(約96円)程度に抑える。競合となるのは、山崎パンや、シンガポール系のブレッドトークなど。

当初から多店舗展開を見据え、バンコク東部ラクラバンに工場・人材育成拠点を設置した。現在は工場でパンを焼き上げ、店舗に配送する。工場に日本人職人を配してタイ人を育て、いずれはパン焼き、ケーキのデコレーションなど仕上げ段階の作業を各店舗に移管する考え。工場は20店舗程度まで対応でき、拡張も可能という。

タイ進出を決めた背景には、香港で店舗家賃などのコストが上昇し、事業拡大の余地が狭まってきていることがある。タイは親日的で市場成長が見込める上、原材料も調達しやすい。タイ地場のパートナーにも恵まれた。柴田氏とは香港でも手を組んでおり、「株主3者はいずれもオーナー企業で意思決定が早い」(関係者)と期待する。

タイ進出では、事前に綿密に調査を重ねた。2010年に深セン市に進出したものの、香港の経営手法をそのまま展開したこともあって苦労した経験があるからだ。日中関係悪化のあおりも受け、昨年末には持ち株を合弁相手に譲渡。中国本土事業からは手を引いた。タイ以外の国からも引き合いを受けているが、最適な形態やパートナーを慎重に探す方針だ。

http://news.nna.jp/free/news/20130329thb003A.html