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2021-08-27 21:58:00

在日中国人が“太鼓判”日本食品店、広州に 全品試食もOK

 【北京・坂本信博】中国広東省広州市に9月上旬、福岡・九州産をはじめ取り扱う日本の食品をすべて試食できるセレクトショップが開店する。福岡市の総合プロデュース会社「シーアンドイー」(魚住昌彦社長)が運営し、日本で暮らす中国人たちによる商品テストで高評価を得たものだけを中国に輸出。在日中国人による商品レビューを添え、実店舗だけでなく、市場規模10億人超の中国の電子商取引(EC)や会員制交流サイト(SNS)でも販売する新たな取り組みだ。

 同社によると、独自の日中マーケティングシステム「Tousen(トウセン)」を構築。日本の食品メーカーが無償提供したサンプルを、九州各地で子育て中の女性を中心とする在日中国人が試食。高い評価を得た場合は工場見学などを経て商品レビューを書いてもらい、中国でテスト販売をする。現地での販売実績が重なれば同社が商品を買い取ったり、委託販売をしたりするという。

 広州市(人口約1530万人)は香港に近接する中国有数の国際貿易都市。福岡市の友好都市で「食は広州にあり」といわれるほど食文化への関心が高い。

 市街地に開店する実店舗「日嘗君(リーチャンジュン)」では、トリゼンフーズ(福岡市)が展開する博多華味鳥の水炊きスープ、酒商菅原(同市)のリキュール「菅原水鏡」、酒造会社「高橋商店」(福岡県八女市)の日本酒「繁桝(しげます)」など約300点を陳列し、全商品を店内で試食できるようにするという。

 将来的に、北京や上海など中国の大都市にも実店舗を構える予定だが、大手通販サイト「淘宝(タオバオ)」、通信アプリ「微信(ウィーチャット)」、動画配信を使ったインターネットの実演販売「ライブコマース」での展開を販売戦略の中心に据えている。

 かつて食品関連会社に勤務し、中国の人たちの「安心安全な日本食文化」への信頼の高さと、口コミを重視する国民性を知ったという魚住社長。「中国の人々にとって、単なる宣伝ではなく、日本にいる同胞から伝え聞く情報の方が信用度が高い。メーカーの開拓と中国での販売価格設定が今後の課題だが、来春までに50社程度との取引を目指す」と話す。

 新型コロナウイルス禍で日中の人的往来は制限されているが、物流は活発化しており、中国の日本産食品の輸入量は増加の一途。魚住社長は「中国のSNSで現地の消費者とつながって声を聞き取れる強みも生かし、中国で売れる商品の開発のサポートもしていきたい」と意気込んでいる。

在日中国人が“太鼓判”日本食品店、広州に 全品試食もOK|【西日本新聞me】 (nishinippon.co.jp)