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2021-06-27 10:22:00

外食閉店1.9倍の5230店 20年度、リーマン危機上回る

【イブニングスクープ】

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小黒一正さん他2名の投稿小黒一正中村直文高井宏章

 

ペッパーフードサービスの閉店が目立った(東京都内)

日本経済新聞が実施した2020年度の飲食業調査によると、閉店数が5230店に達したことがわかった。19年度の1.9倍に達しただけでなく、リーマン危機時の08年度(3859店)も大きく上回る。新型コロナウイルスの感染拡大が外食産業に大きな影響を与えており、新店や既存店改装などへの設備投資額も前年度比3割減と大きく減少した。(詳細は23日付日経MJに)

調査は外食主要557社を対象に、4月上旬から6月上旬までに実施。有効回答は311社だった。20年度の閉店数は新規出店(3465店)を大きく上回り、19年度調査の総店舗数の5.5%に相当する規模だった。閉店が多かった業態はレストラン(1249店)、パブ・居酒屋など(919店)で、企業別ではペッパーフードサービス(392店)やコロワイド(386店)、すかいらーくホールディングス(176店)などが目立った。

前年度と比較可能な292社の店舗売上高は前年度比15.9%減の6兆5420億円。減収は10年ぶりで、比較できる97年度調査以降では最大の減少率となり、7年ぶりに6兆円台に転落した。コロナ禍での休業や時短営業、酒類提供の自粛などで売り上げが大きく落ち込んだ。20年4月からの1年間で休業・営業時間の短縮をしたかとの質問に、回答企業の91.6%が休業を、95.4%が時短営業を実施したと回答した。

売上高を伸ばした業態は日本ピザハット(横浜市)やドミノ・ピザジャパン(東京・千代田)といった宅配(14.7%増)だけだった。酒類販売の自粛などの影響を受けた業態では、ホテル・宴会場(60.1%減)やパブ・居酒屋など(46.6%減)が大きく沈んだ。

97年度以降で閉店数がこれまで最大だった08年度(3859店)はファストフードなど低価格業態を中心に新規出店も5229店と多く、売上高は07年度比2%伸びていた。リーマン危機以降の09年度、10年度は、前年度の売上高を下回ったものの減少率はそれぞれ1%以下だった。

業界全体に資金力が乏しくなり、20年度の設備投資額は前年度比3割減の1758億円だった。改装店舗数も7年ぶりに2000店台を下回る1522店だった。

21年度の出店・閉店の計画を未定とする企業は多いが、回答企業(109社)の出店予定は510店舗。一方で閉店は637店が計画されており、21年度も閉店が出店を上回る可能性がある。売上高がコロナ前の水準まで回復する時期を聞いたところ、「22年4~6月」(29.6%)が最も多く、「戻ることはない」(28.7%)との悲観的な回答も続いており、コロナ禍での外食産業の疲弊が続きそうだ。

 

外食閉店1.9倍の5230店 20年度、リーマン危機上回る: 日本経済新聞 (nikkei.com)