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2012-11-17 10:18:00

上海市の上海新国際博覧中心で14~16日の3日間、東アジア最大規模の食品・飲料の見本市「FHCチャイナ2012」が開催された。今年は世界各国から昨年を上回る、1,340を超える企業・団体が出展。巨大な人口を抱え、市場規模で日本をはるかに上回る中国での市場参入を狙い、日系からも30社超の企業が参加した。

FHCチャイナは毎年開催されており、今回で16回目となる。

日本貿易振興機構(ジェトロ)は今回、日系企業による共同ブース「ジャパンパビリオン」を設けた。ジェトロ担当者によると、中国では東日本大震災に伴う原発事故の影響を受けて現在も日本の一部地域産の食品輸入を禁止していることが影響し、今年の出展応募企業数は例年を下回った。ただ今後の輸入禁止措置の解除をにらみ、地元企業の商品PRに栃木県や青森県といった地方自治体も参加したほか、本格的な中国進出を目指し応募してきた企業など、中国での売り込みに高い意欲を持つ企業・団体が集まったと述べた。

■量より質、味で勝負

「揖保の糸」で知られる乾麺メーカーのカネス製麺(兵庫県たつの市)は、中国の展示会には今回が初参加。同社は米国など世界各国で既に海外販売を行っているが、中国市場ではまだ本格的な展開を果たしていない。今回は市場視察を兼ね、現地バイヤーを捜すため参加した。

同社の大谷聖社長によると、訪れたバイヤーらはそうめんに代表される同社商品の試食後、誰もがおいしいという声を上げているという。実際に商品を取り扱いたいと申し出るバイヤーも多く、具体的な交渉にはまだ至ってないものの上々の反応を得ていると話す。

中国市場に対する見方に関しては、「中国でも乾麺は一般的な食品として普及しており、人口も多いことから有望視している」と述べる。その上で、「中国に流通している乾麺と比べても自社の乾麺は味で勝っており、量より質で勝負していきたい」として、自社製品の品質に強い自信をみせている。

ただ実際に中国市場で販売していく上で、流通路をどのように確立するかを課題として挙げた。商品の日持ちを考慮した上、巨大な国土を持つ中国でどのように安定的に商品を供給していくかを今後バイヤーと詰めていく必要があると考えており、まずは上海を中心とした沿岸部の大都市から展開を始める予定であると明かした。

■食べてもらうまでが難関

うどんを中心とした製麺メーカーの明和(兵庫県姫路市)は既に昨年から中国での販売を開始している。中国での販売量はまだ小規模であるものの、今後の成長市場として強い期待感を持っている。

同社営業本部の糴川(せりかわ)弘和部長は、「取り扱っている商品は品質の高い高級麺で、中国を含めた海外販売先では一度購入した業者からは続けて選んでもらっている」と述べる。今回の展示会でもバイヤーからは好反応を得ており、中国の百貨店で不定期に実施している試食・即売会では完売することも多いという。

9月以降の日中関係悪化に伴う販売への影響に関して糴川部長は、「商品自体が富裕層向けの高級品であることもあってほとんど影響はない」と断言する。今後拡販を進める上での課題に関しては、「一度食べてもらった方からは引き続き選んでもらうことが多いが、価格が地場メーカー製と比べ高いことから手に取りづらく、最初に食べてもらうまでが難関になっている」と述べ、今後も試食会などPR活動を進めていく必要があるとしている。

■日系小売業の進出が追い風

京都府南丹市に本拠を置く豆腐メーカーの男前豆腐店は、今回が中国の展示会に初参加。同社も米国や香港などで海外販売を行っているものの、中国本土ではまだ展開していない。

同社が今回出展したのは、日本国内でも販売している自社製豆腐と豆乳。地場系メーカー製品と比べて濃厚な味が特徴で、試食するバイヤーは後を絶たなかった。

同社営業本部の大上雅也部長は、日本国内で取引のある多くの日系小売企業が中国へ既に進出していることを挙げ、「流通に当たってこれらの小売企業を通すこともでき、彼らの進出が中国展開に当たって追い風になる」と述べている。富裕層を主な販売のターゲットとする方針で、沿岸地域にある大都市のスーパーマーケットから販売を展開する方針。

このほか中国市場に対し大上部長は、「当初は日中関係が悪化していることから厳しい環境を心配していたものの、来場するバイヤーらの反応は悪くなく、実際に来てみて安心した」と話した。

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