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2020-06-13 22:30:00
コロナ禍において世界各地で食品の消費行動が変容している中、米国ではどのような変化が起きているのでしょうか。

 米国の大手市場調査会社によると、米国内の柑橘類売上高が3月は前年比で約50%増加しているといいます。背景として免疫力向上にビタミンCが効くと言われていることが影響していると考えられ、かつては糖度が高いために人気が薄れてきていた朝食の定番オレンジジュースの人気も再燃し、ニューヨークでは2月末と比較して先物取引量が13%増となっています。冷凍ピザやインスタントヌードルの購入も増加しており、米国冷凍食品協会の調査によると冷凍食品の売上は3月中旬に94%上昇した後、4月も前年比約30%の増加を維持しています。

 次に、各家庭のキッチンを覗いてみましょう。4月にGoogle検索されたレシピのうち、米国全体の傾向と比較して各州ごとに特徴的なレシピ一覧を見てみると、ハンバーガーのレシピ検索が計12州と最も多く、その他ケーキやパンなども家庭で作られていることが読み取れます。

 この自炊のニーズ増加に合わせるように、小売や飲食店などが工夫を凝らしています。一部のミールキット(食材セット)販売企業はパンデミック後急成長しており、大手ファストフードチェーンであるChick-fil-Aは5月4日からミールキットの販売を開始し、朝食やランチのピックアップついでに夕食用として購入してもらうことを狙っています。また、人気料理家のレシピ本が前倒しで販売になったり、キッチン器具の宣伝やセールも増えています。

 今回のパンデミックにより起きたライフスタイルの変化によって食品市場だけでなく、それを取り巻く業界も変化を求められており、この状況が長期化するほど人々は慣れていき、今の生活がNew Normalになっていくのかもしれません。

                  ニューヨーク事務所 所長補佐 藤原