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2020-02-22 22:17:00

外食産業も休み方改革 くら寿司、年2回10連休を義務化

働き方改革
小売り・外食
関西
大阪
2020/2/20 11:30
日本経済新聞 電子版
 
 
 
 
 

 

店長以上の社員に年2回の10連休取得を義務化した(くら寿司の店舗)

店長以上の社員に年2回の10連休取得を義務化した(くら寿司の店舗)

人手不足に悩む外食各社が社員の「休み方」の改善を進めている。くら寿司は現場で働く店長以上の社員を対象に、年2回の10連休の取得を義務化した。ロイヤルホストなどのファミレス業態でも5連休以上の取得を推奨する取り組みが進む。「外食業は休みが取りにくい」とのイメージを払拭し、人手の確保や優秀な人材の呼び込みにつなげる狙いだ。

くら寿司は2020年10月期から、店長以上の社員約600人に年2回の10連休の取得を義務化した。有給休暇などを充てる。くら寿司単体の社員の約半数が対象となる。現場社員はシフト制で勤務しているため、土日や2日連続の休日を取得することが難しかった。会社側が義務化することで、連休を取得しやすい環境を整える。

このほか、従業員の士気向上をめざし、今期から店長以上の基本給を10~12%引き上げた。3月末には社員約250人を対象に譲渡制限付き株式報酬を付与する。今後は段階的に全社員に付与していく方針。「第2次新卒など優秀な若手社員の獲得につなげたい」(くら寿司)という。

 

休みやすい環境づくりに取り組むのは、店舗運営の核となる正社員に定着してもらうためだ。ロイヤルホストでは1店舗あたりで働くパート・アルバイトの人数を1割近く増やしている。スタッフの増加で正社員の労務負担を減らしたうえで、7連休を年に2回取得するよう正社員に促している。19年は45%の社員が2回取得したという。

「デニーズ」を展開するセブン&アイ・フードシステムズでも、正社員が17年度から5連休を年2回とるように促している。これを19年度には「7連休を2回」か「5連休を3回」に拡大した。取得率は100%近くになる見通しだ。

店舗の休業などで社員が休みやすくする動きも広がる。「ガスト」などを運営するすかいらーくホールディングスは、20年4月までに24時間営業を全廃する。スシローグローバルホールディングスは、19年から試験的に2日間の一斉休業日を導入した。年末年始の時短や店休日を設ける外食チェーンも増えている。

厚生労働省の調査によると、対象企業が17年に社員に付与した年次有給休暇日数の平均は18.2日。このうち業種別の取得率をみると、「宿泊業・飲食サービス業」が32.5%と全16業種の中で最も低かった。

飲食店では人手不足が深刻で、店長を務める社員などは現場のスタッフが不足している場合、休みを返上して出勤することも珍しくない。こうした状況が離職率の高さにもつながっているとみて企業は改善を急ぐ。コスト増加につながる面もあるが、人手の確保のためには不可欠との認識だ。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55850140Q0A220C2MM0000/?n_cid=NMAIL007_20200220_Y