藤田 香
日本マクドナルドはMSC認証マーク付きフィレオフィッシュを2019年11月から販売する。東京五輪を契機に若い世代に認証を知ってもらい、未来の顧客を取り込む。
日本マクドナルドは、海の環境を守って漁獲した魚であることを証明する「MSC(海洋管理協議会)」認証のロゴマークを付けたフィレオフィッシュを2019年11月末から販売する。
フィレオフィッシュに使用している魚はアラスカ産のタラ。これまでも資源量を管理するなどMSCの漁業認証を取得していたが、日本の流通段階で認証水産物を非認証品と分別管理する「CoC認証」が取れていなかった。仕組みを整え、2019年8月に店舗と流通拠点で審査に合格してCoC認証を取得。マークを付けられるようになった。
欧州ではMSC認証マークを付けたフィレオフィッシュが広く市場に出回っている。環境五輪をうたった2012年のロンドン五輪をきっかけにマクドナルドが認証取得に取り組んだ結果だ。日本でも東京五輪を2020年に控え、市場への普及を狙う。
日本マクドナルドはCoC認証取得に当たって、1年かけて仕組みをつくった。もともとMSC認証のタラと非認証のエビを混在しないよう袋の色やフライバスケットの大きさを変え、納品数や保管量などのデータ管理を行っていた。それに加え、リスク管理マニュアルを作るなどマネジメントシステムを構築。MSCの教材を充実させて全国15万人のアルバイトへの教育も徹底した。
同社は他にも認証製品の採用に取り組んでいる。袋やカップなどすべての紙にFSC(森林管理協議会)認証紙を採用。ポテトやフィレオフィッシュの揚げ油に使うパーム油には、油脂メーカー3社に要求を出し、2019年1月からRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証油を使っている。2019年10月からはコーヒーをレインフォレスト・アライアンス認証のものに切り替えた。
今回の取り組みは、スケール(規模)を利用して環境や社会への配慮を進めるマクドナルドの持続可能性方針「Scale for Good」の一環だ。一方で「先行投資でもある」と日本マクドナルドCSR部マネージャーの岩井正人氏は話す。「認証への認知度は子供の方が高い。彼らを啓発することで未来の顧客となり、未来の雇用にもつながる」と期待する。
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