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今回は、「日本企業の将来像」の「日本の職業倫理」について紹介しよう。
日本企業の将来像(4) |
(5)日本の職業倫理
日本には、「企業の社会的責任」をかかげるまでもなく、日本の企業には、「最初から、ただたんに自己の利益を追い求めるだけでなく、お客様の利益の実現を最優先」という思想である「商人道」が存在していたことを忘れてはならない。
「商人道」というのは、たんにお客様とじかに接する店とかスタッフばかりでなく、これに関連する人が持たなければならない。
「商人」というと、なにかしら古風なイメージが存在するので、なかなか理解されないが、「商い」は、商品の売り買い全般を指していて、人と人とが接する「場」において行われる行為で、何も昔の古い話でははない。
商人の意味
商人というのは、生活者の「ハイ・クォリティ・オブ・ライフ」を実現するために、生活者の「要望」を発掘して、商品やサービスをお客様に提供するべく生産者、加工業者や
配送業者、店のスタッフや本部のスタッフ全員が「商人」として位置づけなければならない。
②商いの心
1.お客様のために
「商い」というのは、「お客様のためにある」ということである。どんな時代でも、お客様が店に来てくれなければ「商い」にはならない。
お客様は、雰囲気の良い店で、欲しい商品を考えていた価格で置いてあって、さらに素晴らしい「おもてなし」を受けられることがわかったときに来てくださる。
2.お客様が来られない店
お客様が求めている商品が店になく、どこでもあるような商品を売っていたのならば、お客様にはそっぽを向かれてしまう。
お客様は、自分の個性に合ったものだけを求める「自己実現意欲」が高いのに、別のものを用意していては、「商い」とはいえない。
3.店と文化
店というと、何か生業とか零細とかのイメージをもたれているが、実はお客様に新しい生活の提案をする大事な役割を担っている。
つまり、「商い」は、「文化の創造者」でなければならない。したがって、店は「生活の価値創造」を行っていると誇りを持つことが重要なのである。
商人として
「商人」として正しく生きるには、「自分の意思」で、お客様に積極的に「責任」を果たせるように努力をしなければならない。
つまり、「目標」を定めて仕事に真剣に取り組むことであるが、特に次の事項を心に秘めることである。
1.商人としての誇りを持つこと
2.文化のために、お客様発の立場に立つこと
3.店の発展が社会の発展につくすこと
4.店の損得よりお客様の損得を優先すること
5.赤字は社会悪、適正利潤の確保をすること
6.人の心に響く「おもてなしの心」で商いに徹すること
7.笑顔が景品である商いをすること
8.街の発展に貢献すること
9.自分の店という意識を持つこと
10.「好きこそものの上手なれ」を忘れないこと