インフォメーション

2018-08-30 09:43:00

今回は、「日本企業の将来像」の続きで、「日本型企業の特性」を紹介しよう。

 

日本企業の将来像(3

 

(4)日本型企業の特性

 

  1. アメリカ型マネジメントの脱皮

     

    失われた20年とかいって、バブル経済の狂騒的な経済を見ている人がいるが、それはあくまでも過去の産物を追い求めている形骸なのである。これを追い求めても、それは夢のまた夢の話しで、不況を嘆いている企業があまりにも多い。

     しかし、卑近な例では2008年9月に、突然起きたリーマン・ショックのような世界的にも例を見ない大不況にぶつかると、多くの企業はあたふたとしてしまい、人員削減や無理なコストカットと低価格競争に突入してしまうことは、いつの大不況にも同じことを繰り返している現象で、企業体力を弱体化させるだけの認識がまったくない。

     しかし、「未来価値創造」の企業は、「産みの苦しみ」をものともせずに、「長期的なビジョン」を持ちながら「短期ビジョン」を素早くかかげ、「新しいビジネスの企画開発」を行っている。

    このなかで、特質されることは「未来価値創造」の企業は、これまで世界のモデルであった「アメリカ型マネジメント」の踏襲から脱皮し、日本独自の「マネジメント体系」を確立し、「グローバリゼーション・マネジメント」に結びつけている。

     「新しいビジネスの企画開発」には、まったく世の中に存在しない「新しいビジネスの企画開発」もあれば、現在マネジメントをしているビジネスを「創造的破壊」による「イノベーション」の連続で、「新しいビジネスの企画開発」の姿に生き返らせることも含まれている。

     

  2. ピープル型マネジメント

     

    「アメリカ型マネジメント」の根本は「サイエンス」であり、人間の意志というものを無視して、「モノ」中心の考え方である。しかし、「日本型マネジメント」の根本は、「ピープル」であり、「人間の心」、つまり「おもてなしの心」によって「マネジメント」する「モノ」中心の「マネジメント」である。

     「未来価値創造」で重要なことは、「サイエンス」を全否定したのではなく、「サイエンス」一辺倒を脱皮し、「ピープル」を重視した「ヒープル≧サイエンス」のバランスをとっていることである。ただし、新しい技術については、継続的に科学を駆使し世界一を目指さなければならない。

     

  3. 過去を捨てる勇気

     

    「サイエンス」というのは、主観を排除するために、客観的なデータによって分析をしていくが、データというのはすでに過去のものであるということである。最近「ビッグデータ」が重要視されているが、どこの企業で活用することはできないものである。

    また「ビッグデータ」を否定するわけではないが、ある程度「将来予測」も可能であるが、「将来予測」を可能にする「分析力・予測力」の能力を持つ「人財」の育成は容易ではない。

    たとえ「人財」がいたとしても、「ビッグテータ」は過去が中心になっている傾向がまだまだ存在している。

     「イノベーシヨン」というのは、過去を捨て「現実」から未来を洞察していかなければならない。

    そのためには、「タウン・ウォッチング」とか「現場」の「暗黙知(現場の情報・ノウハウ)」を重視することから始めなければならない。

     日本には、「三現主義」という独自の考え方が存在する。これは「現場・現物・現実」という「リアリズム(realism)」を意味していて、日本企業が重要視してきた思想であるが、多くの企業では忘れられていることが、低迷した要因になっている。

     21世紀型企業の特性は、この思想を「行動指針」として、地道に実行していることによって、乱気流を乗り切っていることに気づいて、自信を取り戻すことがこれからの時代に不可欠である。

     

  4. 未来価値創造に挑戦

     

    現在の多くの企業の問題点は、「現在価値の創造」も行えていないことである。このままの姿で「企業マネジメント」を行っていれば、現在どんなに優れた企業とはいえ、自ずと限界に達してしまうことは自明の理である。

     企業の「サクセシイブ」のためには、「未来価値創造」に挑戦しなければならない。そのためには、「経営者がプロデューサー」となって、全スタッフに「起業家精神」を発揚させ、かつ垣根を超えた組織づくりをしなければならない。

    つまり、「タテ」とか「ヨコ」などをまったく意識させない「全員マネジメント」の新しい組織で、「情報・知識・暗黙知」を総合的に構築することによって、新天地が開かれていくのである。

     「未来価値創造」で、最重要視しなければならないことは、「帰属意識」の高い「個」を「全員マネジメント」という高度なチームワークによって統合していくスクラムを組むことで、各スタッフの能力を高め、さらに高度な「情報・知識・暗黙知」の持続的な蓄積を図ることである。

     

  5. 日本型マネジメントの特徴

     

    日本で起きた過去の震災や東日本大震災をつぶさに観察すると、被災地や事故現場で働く人々の「使命感」や「責任感」の強さは、日本人の底力を感じられずにいられない。

    これらの困難や苦境を我慢している強靭な「忍耐力」「互助力」「規律力」「協調力」というのは、外国から不思議がられるほどの「称賛」や「尊敬」をされている。

     実は、これらは日本の企業の特徴でもあるし、数多くの乱気流を乗り切った「企業マネジメント」をつぶさに分析すると、「企業文化」としいて存在しているのです。

    さらに、企業の「競争力」の中味を追求していくと、「個性化戦略」の原点になっていることが分かってくる。