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2012-01-27 13:47:00

酒造業界を取り巻く環境が大きく変わりつつある。景気低迷やデフレなどを背景に、消費者の低価格志向が強まり、若年層を中心にアルコール離れが進んでいる。あらゆる酒類販売が伸び悩むなか、特に凋落が目立っているのが日本酒だ。国税庁によると、日本酒の製造量は1968年の1,421千キロリットルをピークに減少を続け、2009年は469千キロリットルまで落ち込んだ。

 2010年度の日本酒メーカー523社の売上高は3,161億700万円(前年度比3.8%減)にとどまり、372社(構成比71.1%)が減収だった。売上高100億円以上の6社(売上高合計1,254億1700万円、前年度7社)が業界シェアのほぼ4割(構成比39.6%)を占める寡占状態で、売上高5億円未満の小規模メーカーは442社(同84.5%)に達した。

 だが、売上高の上位20位までの大手メーカーでも増収はわずか1社にとどまり、日本酒業界の苦境は深刻だ。日本酒業界は市場縮小のなかで、ブランドや知名度、過去の歴史に依存するだけでは経営が厳しくなっている。日本酒カクテルなど新しい飲み方の提案や積極的な海外市場の開拓など、これまでの概念から脱却した新しい営業戦略が急がれる。

 今回の調査は、東京商工リサーチの企業データベース(tsr-van2 提供社数254万社)から日本酒メーカーを抽出し、分析した。

調査結果の概要

◆日本酒メーカー523社の2010年度売上高合計は3,161億700万円(前年度比3.8%減)。増収は151社(構成比28.9%)、減収は372社(同71.1%)。

◆税引き後収益の判明した228社のうち、2010年度利益合計は44億800万円(前年度比226.5%増)。増益は98社(構成比42.9%)。黒字は168社(同73.6%)、赤字は60社(26.3%)。

◆日本酒メーカー523社の2010年度売上分布は、「1~5億円未満」が246社(構成比47.0%)で最多。次いで「1億円未満」が196社(同37.4%)、「5~10億円」が42社(同8.0%)の順。「100億円以上」は6社(同1.1%)にとどまった。

◆県別メーカー数では、新潟県が41社(構成比7.8%)でトップ。次いで、山形県、福島県の各29社、長野県26社の順。東北や信越地方など寒冷地が上位を占めている。

◆県別売上高は、兵庫県が1,152億3,400万円(構成比36.4%)でダントツ。2位は京都府433億7,400万円(同13.7%)で、メーカー数トップの新潟県は289億7,800万円(同9.1%)で3位。

◆売上高伸長率は、「0.0%~4.9%減」が147社(構成比28.1%)で最多。次いで、「5.0%~9.9%減」122社(同23.3%)、「10.0%~99.9%減」103社(同19.6%)。

◆売上高トップは、白鶴酒造の340億4,700万円。2位は月桂冠294億100万円。3位は大関の225億7,700万円。

http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/2012/1216330_2004.html