ゴールデンウイーク明けの初日に、体の動きにややキレがないなと感じつつ、歩きながらPodCastで米国のニュースを聞いていると、妊娠前の食事が妊娠に与える影響についての話題が耳に入ってきました。「妊娠前には妊娠後の胎児への影響を考慮して、なるべく栄養があるものを食べておくべきなのでは?」というところまでは、誰もが考えることでしょう。

 それでは早速、その情報の中身について詳しく見ていきたいと思います。私が聞いたニュースの元になっていた研究は、オーストラリアのアデレード大学のチームによって行われ、医療雑誌のHuman Reproductionに2018年5月4日付で掲載されたものでした。

ファストフードは妊娠の敵

 医学的な介入が必要な場合を除き、妊娠を望み試みる中で1年間妊娠することができないような状態を不妊症と呼ぶことになっています1)。不妊症は妊娠を望む世界中の多くのカップルに影響を与え、経済的、感情的な問題を生じさせます。ところが、この研究の前書きによると、妊娠前の母親の食生活が妊娠に与える影響については、これまでほとんど研究されていなかったそうです。そこで同チームでは、果物や野菜、魚など、より健康的な食品の摂取量が高く、ファストフードの摂取量が少ないほど妊娠に至るまでの時間が短くなり、不妊症率が低くなるのではないか──との仮定を立て、研究を行いました。

 この研究に用いられたデータは、2004年11月から2011年2月にかけて、オーストラリア(アデレード)、ニュージーランド(オークランド)、アイルランド(コーク)、英国(リーズ、ロンドン、マンチェスター)の4カ国6都市において登録された5628件の妊娠を対象に行われた、前向き多施設コホート研究によって得られたものです。具体的には、妊娠15±1週において、妊婦から受胎直前の1カ月間の食事摂取量を項目別に整理し、そのデータを分析しています。

 この研究の結果、「妊娠にダメな食事」として、週4回以上ファストフード(ハンバーガー、フライドチキン、ピザなど)が挙げられました。週4回以上ファストフードを食べていた妊婦の群(グループ)が妊娠するまでに要した時間を1とした場合、週に2回以上4回未満のグループは0.89、週に2回未満のグループは0.79、一度も食べなかったグループは0.76という結果が出たそうです。妊娠にファストフードが良くないというのは、一般的なイメージ通りではないかと思います。