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2018-05-30 10:04:00

今回は、「個性化戦略」のなかで、「サ-ビスの個性化」と「情報の個性化」について説明しよう。

 

個性化戦略(22

 

(7)サ-ビスの個性化

 一般のファ-ストフ-ド・チェ-ンは、お客様が商品を注文されてから、商品をお渡しするまで3040秒といったように提供時間の早さを競っている。これはけっして悪いことではないが、このためにあらかじめお客様のご注文を予測して、つくりだめをしておかなければならない。このために一定の時間が経過すれば廃棄しているとはいえ、商品の品質は多少劣化していることは否定できない事実である。

 「モスバ-ガ-」ではこの点に着目し、お客様が商品を注文されてから製造している。したがって、お客様は数分待たされてしまうが、番号札をもらいテ-ブルで待っていると、店のスタッフが運んでくれて、美味しいハンバ-ガ-を賞味することができるわけで、まさにお客様本位の「サ-ビスの個性化」である。

 「モスバ-ガ-」の基本哲学は、「お客様に喜びを提供しよう。お客様に楽しんでいただこう。お客様に安らぎを感じていただこう。お客様に満足をしていただこう」というもので、いわば「お客様に感動を提供しよう」というものである。

 したがって、「モスバ-ガ-」は、たんなる美味しいハンバ-ガ-を販売するための店を営業しているのではなく、ハンバ-ガ-という「商品」と「モスバ-ガ-」という「店」を通じて、「感動と喜び」を提供することによって、お客様が心から「ありがとう」と感謝されるビジネスを展開することを目標としている。

 多くのフ-ドサ-ビスのチェ-ンは、オペレ-ションの原理原則を「QSC」としている。「Q」は「Quality(品質)」、「S」は「Service(サ-ビス)」、「C」は「Cleanliness(清潔感)」としているが、「モスバ-ガ-」では、「HDC」運動といって「H」は「Hospitality(お客様を親切なおもてなしをする心)」、「D」は「Delicious(おいしい高品質な商品の提供)」、「C」は、「Cleanliness(明るくて清潔できれいな店)」である。

 特に秀逸なのはあのさわやかなスマイルのサ-ビスであるが、心のこもった「ホスピタリテイ」のあるサ-ビスで、しかもどこの店に行っても、あのさわやかな雰囲気があふれている世界をつくりあげている。「モスバ-ガ-」の人気が高いのは商品そのももの卓越性は高いが、その商品をさらに高めているのが「真心のこもったサ-ビス」にある。

 「サ-ビスの個性化」というのは、他社よりはるかに優れたサ-ビスの良さを提供しようというもので、「ホスピタリティ」度が高く、お客様に心から喜んでいただけるサービスを提供するものである。

 いまや、フ-ドビジネスの「接客サ-ビス」は、「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」に始まり「グッド・サ-ビス」が当たり前になっているが、さらに「ベタ-・サ-ビス」でお客様に感激を提供する努力がなされている。

 しかし、「サ-ビスの個性化」というのは、「ホスピタリティ+ヒドノミクス」によって

他が絶対真似のできない「ベスト・サ-ビス」によって、「感動」を提供できることである。 さらに「感動を倍加」させる「エクセレント・サービス」によって、心からファンになっていただくことである。

なぜ他が真似をできないかは、企業がスタッフに働く喜びを提供し、スタッフが心から1人ひとりのお客様が望んでおられるサ-ビスを提供しなければならないからである。

 このためには、企業の「経営理念」「ビジョン」「企業文化」が確立しているだけでなく、スタッフ全員に浸透でき、それを店で実現できるようなトップの「リ-ダ-シップの高さ」「ツ-・ウエイ・コミュニケ-ションの充実」「モラ-ルの高揚」と「モチベ-ションの向上」と「教育訓練」ができていなくてはならない。

 

(8)情報の個性化

 「情報の個性化」というのは、他社が追いつこうとしても、絶対追いつけない「情報システム」を構築することで、「店舗情報システム」のレベルの高いことをいう。

 「セブン-イレブン」の「総合店舗情報システム」というのは、他社には絶対真似のできないほどの卓越したシステムを構築しており、1店の平均売上高が高いのは、「情報システ」ムによって売れ筋商品を、お客様の欲しい時にそろっているからである。

 「セブン-イレブン」といっても、立地によって売れ筋がまったく異なるが、この情報システムによって、お客様の「ニ-ズ」を的確に把握すると同時に、小売業はお天気産業ともまで言われているが、地域の天気予報までもわかるシステムになっている。

 さらに、「総合店舗情報システム」が「ネットワ-クの個性化」にまでおよび、店舗の在庫管理、発注管理の精度が高まり、調達管理、生産管理、配送管理にいたるまでの流れがスム-ズに流れている。

つまり、商品開発から製造計画、そして店の品揃えまで、お客様の「ニ-ズ」をしっかりと反映させている。その意味するところは、加盟店・本部・メ-カ-・ベンダ-、そしてお客様の三者が一体となったト-タルな仕組みの中で、いまの時代の「ニ-ズ」に的確に対応し続けているが、これは、「情報システムの個性化」の賜物である。