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2022-05-14 21:43:00

I cover the legal marijuana industry and its entrepreneurs

Erin Clark/The Boston Globe via Getty Images

米国では2022年、嗜好用や医療用に大麻を購入できる場所がかつてないほど増えており、大麻を解禁に踏み切る州は今後も増える見通しとなっている。ただ、大麻業界の最も厄介な課題はいまだ解決されていないのが実情だ。

米国の州ではここ数年、大麻の使用を合法化する動きが広がり、現在は18州と首都ワシントン、米領グアムで娯楽用の購入が可能になっている。医療目的の使用は大半の州で認められており、少なくとも処罰の対象からは外されている。大麻を全面的に非合法としているのは11州にとどまる。

新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が起きると、大麻の販売は急増し、医療用のみ合法化している州でさえ伸びた。たとえば、中西部のミズーリ州では医療目的の購入解禁から1年2カ月ほどの間に、販売所は180カ所、売上高は2億ドル(約220億円)超に達した。

州をまたいで事業を展開している大麻関連企業は、医療用のみ合法化されている州にも進出している。大麻関連の不動産投資信託(REIT)を手がけるニューレイク・キャピタル・パートナーズは最近、ミズーリ州で約6500平方メートルの不動産を購入した。同社が米国で不動産を取得したのは11州目だという。

とはいえ、大麻事業者にとっての大きな問題は残ったままとなっている。ひとつは資本へのアクセスだ。西部オレゴン州ポートランドの大麻栽培業者、チャリス・ブランズのメーガン・ミラー最高執行責任者(COO)は「大麻は連邦レベルではいまだに合法化されていないため、資本の流入が非常に制限されている」と話す。

大麻が連邦法では違法なものであるために、大麻関連企業は融資を受けたり、銀行口座を開設したり、クレジットカードをつくったりするのが難しくなっている。また、大麻関連企業による所得税の申告では、一般的には事業経費とされるものが控除できず、利益も出しづらくなっている。

さらに、米国では大麻の営業が難しいことも長年の障害になっていると、大麻濃縮カートリッジを製造するネバダ州ラスベガスの企業、キャンプのアーロン・ニーノCOOは説明する。

ニーノによると、グーグルやフェイスブックは自社のプラットフォーム上での大麻製品の営業に厳しい姿勢をとっており、米国では大麻関連のメールやショートメールを送ることは認められていない。広告する場所がないと、企業が消費者の間で製品の認知度を高めることは困難になる。

一方、ラスベガスの大麻販売店「ザ・ソースプラス」でブランド責任者を務めるティナ・ウルマンは、大麻をめぐる政治状況も変わってきているとみている。

ウルマンによれば、共和党では成人による大麻使用などへの支持がかつてないほど強くなっており、民主党では大麻業界での多様性を高める取り組みが引き続き支持されることが見込まれるという。実際、ニューヨーク州の知事は、大麻業界での公平性を促進する基金に2億ドルを拠出することを明らかにしている。

2022-05-14 21:41:00

 

Blue Titan / Shutterstock.com

米国の大麻販売・情報サイト「リーフリー(Leafly)」は、先月発表した大麻業界の雇用に関する年次報告書で、「合法大麻業界で職を得るのに今ほど適した時期はこれまでなかった」と指摘し、全米で大麻が合法化されれば国内で約175万件の雇用を生む可能性があるとした。

報告書によれば、米大麻業界で現在あるフルタイム相当の雇用は42万8059件。年間の新規雇用件数は昨年、初めて10万件を超えた。米国の金融業界全体の新規雇用件数は約14万5000件、建設業界では約16万5000件であり、大麻業界の急成長ぶりを物語っていると指摘している。

大麻関連の仕事は1年で33%増


大麻関連の新規雇用は21年、前年から33%増加。新型コロナウイルスの流行が続いている中でも、年間雇用成長率は5年連続で27%を超えた。比較して、ビジネス・金融関連の雇用の成長率は今後10年で8%にとどまると米労働省労働統計局(BLS)は予測している。

リーフリーのヨーコ・ミヤシタ最高経営責任者(CEO)は、大麻関連の雇用の成長は他の業界を上回っているのにもかかわらず、連邦法では大麻がいまだに違法とされていることから、連邦政府の労働統計では大麻業界がほぼ無視されていると指摘する。

ミヤシタは「成人向けに大麻を販売する米国初の店が2014年に開店して以降、大麻業界は数十万件の新規雇用を生み出してきたし、これからも多数の雇用を作り出すだろう」と述べ、「中間選挙の年である今年、選出された議員らが大麻は米国を先導する自国産業であるという現実を認識し、全員にとってインクルーシブ(包摂的)で利益性がある大麻業界を実現するという私たちの目標達成を支援することが必要だ」と主張した。

2025年までに5兆円規模に


リーフリーの調査によると、医療目的の大麻使用を合法化した27州と成人の大麻使用を合法化した11州では昨年、合わせて約250億ドル(約2兆9000億円)相当の商品が販売された。これは前年比で60億ドル(約7000億円)以上、33%の増加だ。

ニューヨークやニュージャージー、コネティカット、ニューメキシコなどの州では新たに大麻が合法化されており、大麻市場の規模は25年までに約450億ドル(約5兆2000億円)に達する可能性がある。さらに全米で大麻が合法化されれば、市場規模はこの4倍になる。そうなれば、雇用件数は現在の4倍以上に増え、150万~175万件となると報告書は推定している。

2022-05-08 11:15:00

世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

SMALL GIANTS REPORT 久世良太 サンクゼール代表取締役社長

長野県飯綱町を本拠地とする食のSPA(製造小売業)企業、サンクゼールが海外展開を加速させている。2017年から進出している米国では、コストコなどの小売店を通じた店舗販売に加え、新たにEC事業を手がける現地企業と業務提携。自社商品の販売をさらに拡大する構えだ。

サンクゼールは、味噌や醤油といった全国の食材を扱う「久世福商店」をショッピングモールなどで運営している。バイヤーが生産者のもとを歩き回り、地域にある「本当のうまい食材」を発掘して加工食品にしている点が評価され、「Forbes JAPAN SMALL GIANTS AWARD 2020」ではグローカル賞を受賞。「久世福商店」の店舗数は現在、全国132店にまで拡大しており、「22年3月期は、オープンから18カ月以上経過している店舗の合計の売り上げが前期比で23%成長しました。会社の売上高も140億円を超えています」と代表取締役社長の久世良太は語る。

米国には、オレゴン州の食品工場を買収し、子会社化するかたちで進出。当初は現地の特産である果物を使用したジャムなどを生産し日本向けに輸出するビジネスが主体だったが、現在は米国市場向けの商品展開に舵を切り、「Kuze Fuku&Sons」のブランドで販売している。日本の食文化をそのままもち込むのではなく、「ゆず味噌ドレッシング」など、現地にあわせた商品を開発することで、アジア系の小売店だけでなく、コストコなどの大手の販路を開拓。「進出して3年で米国事業は黒字化しました」と久世は胸を張る。

22年1月には、新たに米BOKKSUとの業務提携を発表した。同社は米国の富裕層を中心に、日本の菓子をサブスクリプションモデルで提供しているスタートアップで、新たに開始したECサイトでサンクゼールの商品を扱う。すでに「あんバター」「なめ茸」など一部商品の販売が開始しており、今後3年間で500アイテムに広げていく方針だ。久世は、「まずは海外売上比率を10%、20%と増やしていく。15年後には国内と同等の規模に拡大したい」と意欲を示している。


くぜ・りょうた◎1977年生まれ。2002年、電気通信大学大学院修了後、セイコーエプソン入社。05年、サンクゼール入社。経営サポート本部長などを経て17年より現職。「Forbes JAPAN SMALL GIANTSAWARD 2020」関東甲信越大会グローカル賞。

2022-05-08 11:13:00

I cover quick-service, fast casual and pizza restaurants.

ウィングストップのフライドチキン(Everything You Need / Shutterstock.com)

全米最大の手羽先チェーン、ウィングストップは4月18日、大麻(マリフアナ)を祝す日とされる4月20日を前に、期間限定フレーバー「Glazed & Blazed」(編集注:ハイになる、陶酔する、といった意味)を発売した。幻覚などを引き起こす大麻成分は含まれていないが、国内で大麻を合法化する流れが強まるなか、勢いづく大麻人気にあやかって販売を促進しようという動きだ。

ウィングストップによると、新フレーバーはテルペンやヘンプシード(麻の実)、ストロベリー、カイエンペッパー(唐辛子)を組み合わせたもの。大麻の成分で幻覚作用などがあるテトラヒドロカンナビノール(THC)や、有害な精神作用はないとされるカンナビジオール(CBD)は含まれておらず、「食べてもハイになることはない」と断っている。

米国では同社のように、商品の販促で大麻の風味や成分を呼び物にするのがトレンドになっている。背景にあるのが国内で進む大麻合法化だ。これまでに18州と首都ワシントンが嗜好用大麻を合法化しており、解禁する州は今後さらに増える見通しとなっている。

これにともない、米国の大麻産業の規模は2025年には現在の倍の420億ドル(約5兆3000億円)に拡大すると見込まれている。企業は大麻ブームに乗ることで、消費者、なかでも若者を引き寄せる大きなチャンスが生まれているというわけだ。ピュー・リサーチ・センターの調査によると、大麻の合法化には米国人の9割超が賛成している。

大麻を指す隠語にもなっている「4/20」に合わせた販促を展開しているのもウィングストップだけではない。ハンバーガーチェーンのスマッシュバーガーやファットバーガー、シェイクシャック、クッキーチェーンのインソムニアクッキーズなどもかねて、大麻好きにとって特別なこの日にあやかったプロモーションを行っている。

ウィングストップで最高成長責任者を務めるマリーサ・カロナは声明で「大麻産業が成長するにつれて、ウィングストップもその消費者を引き込みたいと考えるようになりました」と説明。「多くのブランドが4/20を認めるようになってきていますが、わたしたちは今回、ひとつのフレーバー全体をそれにちなんだものにすることで、これまで以上の高みをめざしています」と述べている。

ウィングストップの販促に他社と違う点があるとすれば、その規模の大きさかもしれない。新フレーバーのGlazed & Blazedは全米の1500店舗以上のメニューに登場した。これは裏を返せば、大麻が以前よりも広く受け入れられるようになった証しとみることもできそうだ。

Glazed & Blazedの追加には、大麻ブームに乗ること以外にも理由があるかもしれない。ダイン・ブランズのデリバリー専門店「コズミック・ウィングス」のチートス風味の商品や、バッファロー・ワイルド・ウィングスの新ソース「Doritos Spicy Sweet Chili」の人気からうかがえるように、消費者は手羽先にもっと刺激の強い味付けを求めているようなのだ。

Glazed & Blazedは4月22日までの期間限定で販売された。

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