米マクドナルドは2018年8月9日、本社があるシカゴに展開中のフラッグシップ店を刷新した。大規模な店舗の一つだったが、デザインを重視して従来のファストフード店にはない、気持ちよいくつろぎの環境を用意した点が特徴だ。

 外見はまるでアップルストアのようなガラス張りで、高い天井を持つ。総床面積は1万9000平方フィート(約1765平方メートル)と広く、インテリアは木目とスチールを中心にした。内部には植物のプランターやウォールも配置している他、最先端のキオスク端末も用意。アプリからの注文も可能だ。これまでの店内とは大きく異なる印象を与えている。さらに周囲には公園のような緑地を設け、ベンチもある。70本もの樹木を配した他、屋根もソーラーパネルで構成するなど、環境にも配慮した。

 マクドナルドといえば画一的な店舗デザインで、周囲の街並みとは相いれない場合も多かった。それが一気に先端的なデザインを打ち出した。マクドナルドを象徴する黄色い「M」マークは健在だが、フラッグシップ店のデザインを見た限りでは、新たなブランドとしてすっかりリメークされたようだ。

米シカゴにオープンしたフラッグシップ店の内部。建物はガラス張りで、多くの木が配置された広々とした空間となっている。デザインを手掛けたのは、ロス・バーニー・アーキテクツ

本社デザインも刷新

 マクドナルドが掲げているのは「未来のエクスペリエンス(Experience of the Future)」というテーマ。「お客様のエクスペリエンスをより高いレベルへ押し上げたい」という。

 デジタルやモバイルの時代も見据えながら新サービスを実現することが目標で、既に米国では四半期ごとに1000店舗をモバイル対応に刷新している。今回のフラッグシップ店のデザインも同テーマの一環であり、未来を予感させるイメージといえるだろう。

 これからは他の店舗にも新しいデザインを生かしていく予定で、現在は5000店が対象になっている。20年までに全店舗を見直す計画で、日本で実施される日も近いかもしれない。

 さらにマクドナルドは、フラッグシップ店の刷新と同じ時期に、本社をシカゴの郊外から市内へと移転した。本社デザインも、まるでシリコンバレーのスタートアップのようだと評判だ。

 内部は9階建てで、総床面積は50万平方フィート(約4万6452平方メートル)。大きなアトリウム空間に階段があり、屋外も含めていろいろな場所で仕事ができる空間にしている。

 店舗や本社でデザインを見直したことが今後、マクドナルドの収益にどんな影響を与えるか、多くのアナリストが注目している。「デザイン経営」の視点からも、これからのマクドナルドの動きには目が離せない。

シカゴ郊外から市内に移転したマクドナルド本社ビルは9階建てで、有名レストランが立ち並ぶ地区に立つ。まるでシリコンバレーのテクノロジー企業の本社ビルのようだと評判になった。デザインを手掛けたのは、ゲンスラー、インテリア・アーキテクツとO+Aスタジオの3社

(写真は米マクドナルドのサイトから)