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2011-08-28 09:57:00

 今回も引き続き「マ-ケティング関係の新しい考え方」について説明しよう。

 

マ-ケティングの役割⑥

 

[3]マ-ケティング関係の新しい考え方(2)

(4)消費者運動

 「消費者運動(Consumer Movement)」について、宮本みち子が「現代商業・流通辞典」で、次のように説明している。

 消費者は、財やサ-ビスを購入する際取引上の相手である企業と対等でない。経済力、技術力、情報収集力などにおいては企業は圧倒的に有利である。ここに消費者問題が発生する基盤があり、また消費者運動が生まれる原因がある。わが国で本格的に消費者問題が登場するのは、1950年年代後半以降であり、資本主義の高度化にともなって、大量生産、販売、消費が一般化する過程で発生をみた。

 消費者問題への対処には、大きく消費者運動、消費者(保護)行政、消費者教育がある。消費者運動は「資本主義経済システム下の市場における売り手と買い手のアンバランスな力関係の修正を目標に、売り手との関連で買い手の権利と力の強化を求める社会運動」(コトラ-:Kotler)である。圧倒的に強い企業に対して消費者の台頭性を回復し、消費者の主権を確立するためには、消費者がバラバラは不可能であることから、団結し、学習し、自衛し、抗議し、行動する運動が形成されるのである。

 消費者運動には大きく分けると三つのタイプがある。

 

1.アメリカを中心とする情報提供の運動

 高度大衆消費社会が他国に先駆けて成立したアメリカでは、消費生活用品の高度化と複雑化についていけないだけでなく企業の販売攻勢にさらされ、虚偽・誇大広告によって粗悪な商品を買わされるということが相次いだ。1936年に設立された消費者同盟(consumer union)は、商品テストを行い、その結果を、機関紙「消費者レポ-ト」(Consumer Report)に掲載した。購買部数(会員)は、1950年代に50万部、80年代には300500万部、現在は400万部に達している。

 

2.消費者生活共同組合型の運動

 生協は一般消費者を組合員として、彼らにより品質のより安い価格商品を供給する活動を主眼としている。生協は、184412月にイギリスのロッチディ-ル(Rochdale)公正開拓者組合の労働者によって設立された消費者の協同組合を源流とする。わが国最大の生協は兵庫県の灘神戸生協で、その基礎は1921年(大正10年)に作られた。戦後全国各地で生協が生れるが、70年代前半のオイルショック後の狂乱物価のなかで、とくに都市部の主婦層の班を単位とする共同購入によって飛躍的に組織が拡大した。このように商品テストを中心とする情報提供型、生協を中心とする生協型と、世界の消費者運動の潮流は大きくは、この二つに分けられる。

 

3.ラルフ・ネ-ダ-の運動

 1960年代アメリカ消費者のリ-ダ-であるラルフ・ネ-ダ-(R.Nader)の運動に代表される告発型の運動がある。わが国でも1975年に結成された日本消費者連盟は、従来の女性を中心とする消費者運動とは異なり、指導部に男性を多く含み、鋭く問題を告発し、企業と対決していく点できわだっている。近年消費者運動は、エネルギ-、環境、経済政策、税制、情報公開制度、原子力発電、労働環境など様々な問題へと広がっている。

 

 1962年にアメリカの故ケネディ大統領が宣言した、「四つの基本的な消費者の権利」というのは、次の内容である。

①安全である権利(the right to safe

        =健康や生命に有害な商品から保護される権利

②知らされる権利(the right to be informed

        =詐欺的ないし著しく誤解を与える表示から保護され、かつ情報を選択するに必要な真実のデ-タが与えられるべきこと

③選択する権利(the right to choose

        =どこでも競争的な価格で多様な製品・サ-ビスを正しく選択できる

         ことが保証されるべきこと

④意見を聞いてもらう権利(the right to be heard

        =消費者の意見が政府・行政に反映され、適正迅速な処置が保証され

         ること

 これに「国際消費者機構(IOCUInternational Organization of consumer’s Union)」では、「救済を求める権利、消費者教育を受ける権利、健康な環境を求める権利」の三つを加えて、消費者の最低限七つの権利としている。また教書の発表された315日を「消費者の権利の日」としている。

 このような社会的情勢に対応して、生産者と消費者の協議機関としてBBBBetter Business Bureau)が、企業関係機関としてHEIBHome Economists In Business)などが生まれた。

 

⑤ 消費者保護基本法

 「消費者保護基本法」というのは、消費者の利益を擁護し増進するため、国・地方公共団体、事業者及び消費者が協力して、諸対策の総合的推進をはかろうとする法律で、1968年(昭和43年)530日に施行され、さらに1983年(昭和58年)に改正されている。

 

⑥ 製造物責任法

 「製造物責任法」というのは、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に被害が起きた時、製造業者等の損害賠償の責任に関する法律で、1995年(平成7年)71日に施行された。