インフォメーション

2017-02-26 11:22:00

今回は、「競争のながれ」で、前回の「差別化戦略」に次いで、「競争戦略」「複合的競争」「個性化競争」を説明し、今後必要とされる「企画力のある個性化戦略時代」を概観してみよう。

 

個性化戦略(8)

 

② 競争戦略

 「無差別戦略」が行き詰まり、そこに登場してきたのが、第2世代の「競争戦略」である。つまり、マ-ケットが成長期に入ると、企業だけの論理は通用しなくなってしまう。つまり、お客様は「消費者」から「生活者」に転換したので、企業側も「マ-ケティング戦略」も変えざるをえなくなった。

 つまり、企業は「お客様」に対応するべくお客様の方に顔を向けはじめるが、まだまだ企業の論理が若干残ってしまう。しかし、「差別化戦略」時代は、企業はすべてのお客様に対応しようとしているが、この時代になるとお客様のすべてに対応しきれなくなったことが判明し、「同質化競争」である「競合」の脱皮をはじる。

 「競争」の質としては、企業の方向性を明確にする競争で、「差別化戦略」とは確実に性格の違う「競争戦略」へと発展していくのである。つまり、新規参入は先発組の追随では、追いつくどころか参入障壁が出てきて、「差別化戦略」のさらなる深堀りを行う必要性が出てきた。

 その方向も「総合的なマ-ケティング戦略」から「相対的なマ-ケティング戦略」へ転換し、「マ-ケティング」のファクタ-ごとに明確な差別化である「競争戦略」が登場してきた。

 

③ 複合的競争

 競争も、「出店競争」「価格競争」「多角化競争」と業態間競争から、他業態との競争へと、量的な競争から質的な競争へと進展したり、商品競争やサ-ビス競争がからみあったりしてくると、たんに「競争戦略」だけでは対応できなくなってきた。

特に、生活者が画一化時代から個性化時代となり、しかも「自己実現」の時代となってくると、一人ひとりに対応していかなければならなくなった。

 こうなると「競争」の中味も「出店競争」「価格競争」「多角化競争」に、「品質競争」「サ-ビス競争」「価値競争」「アップスケ-ル競争」などが付加された。これらの「競争」は、それぞれ独立したものではなく、質的にからみあい「複合的競争」になっており、この「競争」に打ち勝った企業が生き残っていくようになる。

 

④ 個性化競争

 「複合的競争」というのは、「競争」というより、むしろ「戦争」といったほうが適切である。この「競争」の大きな特質は、他社との「競争」はもちろんのことであるが、お客様の変化に適応していく「競争」である。

 このサバイバル競争に打ち勝っていく最大の決め手は、優れた「経営戦略」と「マ-ケティング戦略」を的確に駆使し、お客様の立場に立った「個性化戦略」を展開しなければならない。

 このためには、トップの卓越した「リ-ダ-シップ」とスタッフの「創造的破壊」を行っていく「イノベ-ション」が絶えず行われていることである。つまり、絶対無理と思われている「ワン・ツ-・ワン・マ-ケティング」を目指すためには、どうあるべきかということから真剣に取り組む姿勢が大事なのある。

 

(2)企画力のある個性化戦略時代

 いまや、「お客様の立場に立つマ-ケティング」というのは、個人個人の「ニ-ズ」ばかりでなく、「ウォンツ」を提供しなければならない時代になっており、いわば「私だけ」という時代で、この傾向はますます顕著になっていく。

 これに「ヒドノミクス」「プライス・コンシャス+バリュ-・コンシャス」「セフティ・コンシャス+ヘルシ-・コンシャス+グルメ・コンシャス」「ナチュラリティ・コンシャス+フレッシュネス・コンシャス」「嫌煙+減脂+減糖+減塩+減コレステロ-ル+無アレルギ-」などが付加されて、複合的なトレンドになっていく。

 しかも、これらのトレンドは同一人によって起こるので、まさにTPOTimePlaceOccasion)時代になっている。つまり、「ワン・ツ-・ワン・マ-ケティング」時代の到来であることを告げている。

 このためには、「マ-ケティング・フラグメテ-ション」である「個性化戦略」が必須条件となっていく。このためには、たんなる「差別化戦略」や「競争戦略」ではお客様は「感動」されず、そこには企業の総力を結集するための「企画力」が不可欠な要素になっていく。