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2016-03-18 23:52:00

香港  2016/03/17(木曜日)
神戸市が食材・観光PR、インバウンド狙う[経済]

神戸市は15日、神戸産の食材と観光をPRするイベントを香港の九龍・尖沙咀で行った。同市は本年度から農水産物をはじめとした食の海外展開に取り組んでおり、今回のイベントもその一環。「神戸いちご」や郷土料理「いかなごのくぎ煮」などの食材の試食を通じて、本物の味や情報を知ってもらうことでインバウンドにつなげる。

 



KADOKAWAの香港法人で、PR事業の実施者である香港角川がイベントを開いたもので、商社や小売、旅行会社の関係者ら約70人が集まった。神戸市の関係者が市の概要や商品の説明を行った後、農水産物やチョコレート、クッキーなどのスイーツ、日本酒、ワインの試食・試飲を通じて交流を広げた。

神戸市はこれまでにいちごなどを香港に輸出した実績がある。神戸市産業振興局農政部の清水義一部長はNNAに対し、「プロモーションでの反応を見ながら、今後も食品の輸出を拡大していきたい」と述べた。同市ではいちご狩りや、生産者・飲食店が出店するファーマーズマーケットの開催を計画しており、海外での食材のプロモーションと併せて観光客の誘致体制も充実させることで集客につなげる狙いだ。

試食では特にワインや日本酒、いちごが人気だった。香港での神戸市の認知度について、参加した地場旅行会社の女性は「神戸ビーフが広く知られている。大阪を訪れた際に夜景を見に神戸に立ち寄るコースがあるが、滞在時間は短いのが現状だ」と指摘した。

■モノが持つストーリーを

イベントを開催した香港角川は同日、神戸市を取り上げた雑誌「香港ウォーカー」を発売した。香港角川の居駒昭太社長は、「神戸は香港では有名だが、もう一歩踏み込んだところにあるストーリーまでは知られていない。写真と活字を通じて、生産者の思いを伝えた」と紹介した。

神戸市をPRする一環として、料理教室や鍋パーティーも企画した。このうち、料理教室は事前告知がなかったにもかかわらず、16人の枠に1分間で300人が応募するなど大きな反響があった。居駒社長は、外食文化の香港では日本食が浸透しているが、健康ブームなどを受けて、家庭で料理をする人が増えていると分析。香港ウォーカーでも今年からレシピの連載を始めたという。

香港ウォーカーの月間発行部数は7万部となっている。

■洗練されたイメージを打ち出す

神戸市は食を軸とした、本年度から2020年までの都市戦略構想「食都神戸2020」を推進している。昨年4月には農業、漁業、流通事業者など4つの業界団体から成る「食都神戸」海外展開促進協議会を立ち上げた。

同協議会の会長で、神戸市漁業協同組合の理事も務める前田勝彦氏は、「自身も生産者の一人。生産者自らが商品をアピールした方がより思いが伝わる」と組織の意義を語った。神戸市はいかなごのくぎ煮のほか、のりやしらすが有名という。

市が取り組む構想の一環としては、昨年8月に香港で開かれたアジア最大級の食品見本市「フードエキスポ2015」に出展した。

神戸市は、「日本」や「和」を掲げたブースではなく、「日本国内で知られているような洗練された、おしゃれな街のイメージを打ち出した」(前田会長)。スタッフもはっぴなどではなくスーツを着用したほか、ブース内の装飾もモノトーンでまとめ、「高級ブティックのように」陳列した。ターゲットを絞った戦略で、試食も関心のある人を対象にした。

前田会長は、展示会最終日にバイヤーや関係者から「周りのブースとは一線を画していた」との評価を得たと明らかにした上で、コンセプトが伝わったという意味では成功だったとコメント。今後も高級感を打ち出して展開していく方針を示した。

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