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2011-03-25 22:47:00

オーストラリア  2011年3月25日(金曜日)

農業研究開発公社(RIRDC)はこのほど、ニューサウスウェールズ(NSW)州産業投資省、コメ生産者協同組合サンライスと共同で、低温に耐性のある中粒米の新品種「YRM69」の開発に成功したと発表した。既存の品種と比較して収穫率を大幅に引き上げることが可能だという。

豪州のコメ生産地は現在、NSW州南西部リベリナ地区にほぼ限定されている。温暖な気候に恵まれているものの、内陸部は温度差が激しいため生育期に「コールド・スナップ」と呼ばれる一時的な寒波に見舞われることがある。

RIRDCによると、既存の品種は受粉の時期に冷害を受けると単収が40%以上下落し、収穫量の著しい減少につながるため、生産者にとって悩みの種となっていた。

新開発したYRM69は、既存の中粒種に比べ摂氏2度低い気温にも耐えることができることから、より安定した収量が期待できる。試験栽培では、極端な温度変化があった場合、既存の中粒種と比較して1ヘクタール当たり2~4トン多い収穫量を確保できた。また、7年間にわたって27カ所で栽培したところ、単収は中粒種「アマルー(Amaroo)」よりも平均13%高いという結果が出た。

豪州のコメ生産はかんがい用水の供給に大きく左右されるが、新品種はより少ない水で育つことも大きなメリットとなっている。整粒歩合や色合い、味わいなどは既存の品種と同等の品質を実現したという。

RIRDCの上級研究マネジャーを務めるマジニック氏は「非常に画期的な研究成果であり、生産者の期待は高い。干ばつの年でも気温に極端な変化があっても安定した収穫が望めるだろう」としている。干ばつの打撃からV字回復を目指す豪コメ産業にとって力強い後押しとなりそうだ。(豪州農業ニュースより)