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古本屋日誌

2018-06-07 00:24:00

先日朝日新聞に小熊英二の月一の論考が載っていて昨今の外国人観光客の増加を取り上げて客の総数ではまだまだ大して多くはないがその増加ペースが際立っているという。その理由として小熊があげるのが日本の物価の安さで吉野家とか松屋とかなら美味しい牛丼が300円くらいで食べられるし、店は清潔だしサービスも行き届いているとする。なんでもタイのバンコクでコーヒーとドーナツで日本円で1000円くらいすることもあるそうで、私はびっくりしました。まあ確かに日本の最低賃金は安くて大阪でも909円に過ぎず、欧米は軒並み1200円を超えているわけだから際立って低い。その程度の金でアレヤコレヤと扱き使えるんだから資本家にはたまりませんな。バイトにせよ職員にせよ体調不良で休むこともあるのは当たり前ですがね、このところラインを使って「私は予定のシフトの日に用事で入れなくなりました、すみませんが誰か入れる人はいませんか?」と従業員自身が入れるメンツを探していることがあります。そういうことはそもそも会社がやるべきであって時給950円とかの従業員がやるべきことではない。

それにしても今の学生は真面目でよう働いてくれますね。遅刻もしないし、怠けないし、嘘もつかない、まあそういう流行なんでしょう。60年代から70年代には真面目にやらないこと、丁寧にやらないこと、崩してやることが流行でした。左翼の全盛だった時とも重なり既成の価値観を疑い、自分の思いをぶつけてみることがブームでした。これはこれで単なるバカや無神経なガキを増産しただけに終わってしまい、考えただけでアホらしくなります。私もお金をもろて佛教大学の図書館の屋上に出向いて夏の暑い盛りにコールタールの固まりをカンカンに入れて下から炊いてとろとろにしてから流す仕事をしていました。防水加工なんですね、おそらく学生が夏休みで人通りも少ないことを狙って8月に依頼したんでしょうが、あまりにも暑うて、かてて加えてはなからやる気もなくベテランの職人の目を盗んでは下の階に降りて涼んだり、寝そべったりしていたら、ものすごい勢いで怒られました。お昼は気をつこてかまどやで鰻丼をおごってもろてたし、前の日は上がった後サウナの完備した風呂にまでつれてもうてたのに、この始末で今から思うと情けない。

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2018-06-06 00:48:00

幻冬社から上原隆の「君たちはどう生きるかの哲学」が出て、無名の普通の人の人生をうまいタッチで描く人だけに早速買い求め期待を裏切らない健筆ぶりを感じました。その中に鶴見俊輔の話があってこの高名な評論家が自らの出自を気にして親の七光りだとか、上流階級だとか言われるのを極端に嫌ったとある。そのために主催していた雑誌「思想の科学」の運用資金に付いて親の家を売った金を日本銀行の出身である評論家のいいだももに運用を頼んでそれをあてたという。親がかりでない証を立てようとして敢えて資金の話をしたんだと上原隆は書いているが、でも親の家を売った金なんだから、完全に親がかりでしょう。ちょっと例としては不適切だと思いました。
でもまあかつてマルクス主義が全盛だった頃文化大革命では親の出自を問題にして裕福なものには自己批判を求めたり、連合赤軍のいわゆる総括でも同様のいわれなき批判が加えられたようだ。
私の周りでも学生時代バイトをして金があるのに、なぜかちゃんとした晩御飯を摂らずにパン屋からただのパン耳をもうてきてかじり、翌日の昼ごはんもそれにすると言ってわざわざ経済学部の教室まで持って行き、講義が終わった後教授が「このパンの耳はあんたのんか?」とひょいと持ち上げて彼の方にほうり投げたところえらい怒り出した。「貴重な昼メシをほうるてなんや」と先生に食ってかかったからあきれた。他にも家庭教師とか予備校で教える仕事がいくらでもあるのにわざわざそれにはつかず、新聞配達のバイトをしてるやつとかもいた。他にも琵琶湖疏水に出向いて釣り糸を垂れて入れ食いであるブラックバスを釣ってきて刺身にして食べようとしていた農学部の友人がいたが、においがきつくて果たせず、結局塩焼きにして食べていた、これは金がない本当にない男だった、なぜかというととにかく働くのが嫌な男だったからだ。さらにマクドにバイトに行ったはいいが、すぐに鉄板で火傷してしまい、もうバイトは面倒だと公園に出向いていくらでも群れているハトを捉えて焚き火で焼いて食おうとしていた友人もいたが、これは面白かった。まあトロツキストの太田龍なんかは動物の権利とか言い出してはては家畜を解放するべきだとおかしな主張をしていたから当時の流行だったんだろう。


2018-06-05 12:43:00

今朝も過ごしやすうてよかったんですが、次第に蒸し暑なってきました。9つになるメス猫が大あくびしてるのを見てたら向かって左上の犬歯というか牙が抜けてるのがわかりました。そういう年齢なのか、以前嫁が実家でこうてた猫もしばらくうちカリカリを食べにくそうにしていたので医者に見せたら歯がグラグラしてるとの診断で抜いてもうたら、調子よう食べれるようになり20過ぎても元気だったそうなので、吉兆とみる。

先日お客さんから再び糸井重里の対談集「話せばわかるか」(角川文庫)をお譲り頂きました。今回は少し焼けはありますが、カバーもきれいだし、黄色いカバーにぴったりのブラック帯が付いています。糸井と14人の論客との丁々発止ですが、やはり白眉は村上春樹とのもので、村上は今はヤクルトファンなんだがそれは今住んでるところに近い球団だからで、元々は芦屋に住んでいたからタイガースファンで村山、小山、バッキーの名前をあげる。宿替えも好きですでに9回やっているがその度に新しく来た今の家が好きになるんだ、女も別れてまた別のに出逢うたらそっちがよかったと思うんだそうで、執着がないようでいて、そういうスタイルにこだわっているようにも思えた。学費値上げ阻止をきっかけに始まった早稲田大学の紛争には同情的だったが「大学解体!」を唱えていたのに、バリケードから出て来た友人が「田舎のお袋が心配しているから」という理由で運動から離れていったのには違和感を感じもう距離を置こうと思ったという。

確かに何事にもこだわるタイプの村上からしたら理屈で話を進めず、浪花節のようなおかしな演歌の理屈を持ち出してくるゲバ学生に違和感を覚えたのは無理からぬところだが、実は対談をしている糸井重里は法政大で積極的に運動に加わり、佐世保の米空母エンタープライズ寄港阻止闘争に参加していることは有名な話だ。さてこの村上春樹の発言に糸井重里がどう答えたのか!

それはぜひ読んでくださいね。


2018-06-04 15:23:00

今朝も過ごしやすく快適でしたが次第に日差しが強まり動くと汗ばむ陽気です。

先日百万遍の交差点で京大の院生がおこたに入ってパフォーマンスした件で逮捕されていましたが、ああいうバカなことをするのが学生なので一々逮捕するというのは愚かしい。京都市内なら蔓延しているマイカーなどを規制する方が真っ当な考えだと思うがトヨタや日産に慮ってやらない。東京帝大との野球の定期戦がある際に東一条などの交差点を長きにわたって占拠して応援したり、東京帝大の応援団と乱闘騒ぎを毎度のように起こしていたことはよく知られています。学生はバカの集まりですからそれでいいわけですよ。

春先はいろんなお客さんのお宅に伺って本をお売り頂いたんですが、結構どの辺りまで売るのかを決めておられないお客さんがおられました。本棚に私の好きな小林信彦や田中小実昌、野坂昭如、向田邦子、井上章一、谷岡ヤスジ、呉智英、宮崎哲弥、花輪和一、いしいひさいちなどが並んでいるときはとりわけ積極的に営業しています。「お客さん、こういういい本はすぐに売りましょう、欲しい人がたくさんいますから。コンディションも良さそうですし、高う買いますから」と申し上げるとだいたいは「そんなことゆうたかて、めっさとあらへんもんやさかいに、もったいないやないかいな」まあひと昔前ならこの発言は正しい。しかし今は全然違います。「いやいや、それは違います。きょうびネットで何でも検索できますし、見当たらん本なんかありませんよ、だからね、仮に今日この本を売ってしもて、後でまた読みたなったら私にご一報ください、たちどころにお探しして持参しますから、だからね、今とりあえず現金に変えておきましょうよ、形が本から金に変わるだけです、その方がスリムですよ」と申し上げることにしています。実際1年もして見つからない本は基本的にありません。これは間違いないです、まあ入手するのにかなり金がかかったり、抽籤に外れて手に入れるのに失敗することはあるかもしれませんが、それでも所在が分からないとか幻の本だとかいうことはないです。というわけで、みなさまどんどん本をお売りくださいますようお願いいたします。

先日深夜の3時になじみのお客さんからお電話頂いて、すまんけどいまからすぐに模擬試験を作らなあかんようになって、せいてせかんねんけど小学館の訳文が下についてる古典全集の「枕草子」を持ってきてくれへんかということでした。もちろんすぐにお持ちしました、ついでにこうてもらえそうな本も段ボールいっぱい持参いたしました。せいてせかんは違うやろーと思いましたが。


2018-06-03 11:22:00

昨日の晩は仕事が終わってから梅田に出て久しぶりに大学の友人と宴会をしました。中には35年ぶりくらいで会う人もいました。学生は勉強が本分であるにせよ存在がまあいてもいなくても誰も困らないところもあるので非常識な振る舞いや言動に及びがちです、それで構わないんですが、世間にはもっとちゃんとせなあかんゆう馬鹿も、たくさんいますね。東京芸大の学園祭では学生が全裸で公道をデモのように練り歩く伝統がありましたが今はどうなのかなあ。やってほしいものだ。

ずいぶん前のはるか昔の学生の時に学校の寮に住んでいた頃、2月の底冷えする雪まで降り添えた時に寮の玄関にかなり年かさの黒いコートや、その下に白衣を着た爺さんが来て今日はなんたらの学会で来たんだが、後の宴でささを過ごして宿を取り損ねたからしばらく休ましてくれないかという。われわれもヒマなので居室に招き入れて爺さんが金を出してかしわの水だき、酒もしこたま買い揃えてあれこれ初対面の人とお話しました。われわれの話は勉強のことをゆうわけにもいかず、身内のどうでもいい与太話になります。女子学生がいうには、「この寮には女もエリアを区切って住まわしているんですけど、何かの時のために防犯ブザーをもたしてもらっているねんけど、ひょっとまちごうて押してしもて慌てて外に出て「すいませーん、今のはまちごうて押してしもたんです」とゆうたのにだあれも出て来てない。やはり私がブスだからですよね」まあその通りなんだな。この後はかなりおかしなことになって来て「ここで酒を飲むことも多いんですが先輩がいうには手洗いに立って中座したら、せっかくの話の腰をおることになる、だから並べてあるビール瓶に小用を足したら誰も困らないからそうしなさい、なるほどと思って使用した瓶は並べてあります」とか非常識なことのお話となり、その爺さんは全く話にはのってこず、「おれは飛騨の高山で開業してるんやが、立原正秋が贔屓で、デビュー前から家に書生として入れてやって飯も食わせてやるし、小遣いもやって、お前には才能がある、頑張れよと励まして来たんや、その甲斐もあって直木賞をとったわ」という。われわれはそもそも立原正秋のことはだあれも知らないので、反応のしようもないんだがまあそういう篤志家も医者ならおるんやろなてな感じで「それはすごいなあ、俺もあやかりたいもんですわ」とゆうてたら「ほしたらあんたらにも(そこには4人のバカな学生がいましたが)10万ずつやるわ、それでちゃんと勉強せーよ」というので夜おそうまで酒を飲んで、翌朝爺さんがお小遣いのことをなーにも言わないので尋ねてみたら「そんなことゆうたかなあ〜」で終わりました。酒の上でとはいえアホな野郎だと思いましたが、立原正秋の話はどうなんだろうか?