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古本屋日誌
角川文庫は小ロットで重版をかけることで知られている。
西村賢太の文庫本もその要領で一定部数重版となり、大型書店にはこのところ平積みとなっていた。
特に「どうで死ぬ身の一踊り」は人気が高い。
今後だが、6月号の「本の雑誌」が追悼特集号になるほか、文藝春秋からは未完に終わった「雨滴は続く」が出るし、新潮文庫からも新刊が出る。
今日はお昼前に大阪の業者が来て、家の壁のひび割れなおしてくれた。
スライド式の梯子を使って壁面と同じ色のシリコンを埋めていく。
「ついでに瓦見ましたけど、かなりずれていて隙間ができてますね。白い漆喰もかなり剥がれて、隙間から雨水が瓦の下の土のところに達してしまって、土が流れ出てます」
との話で任してくれたら2日かけて漆喰を新しく入れた上に、ズレている瓦をなおして、またずれないようにフックを瓦一枚一枚にかける工事をする、費用はトータル66へーべーあるので消費税を入れて44万になるという。
たしかに強い雨が降ると2階の和室の天井にポツリポツリと雨滴が落ちる音がして、後で天井を見るとシミがあるから、瓦に問題があるのは間違いない。
修繕してもらうのはいいのだが費用が40万を超えるものなのかよくわからない。
妹の旦那がガス会社に勤務していて屋根の修理にも絡んでいるという話なのでちょっと相場を聞いてみることにする。
また今の家をこうたときに周旋屋は守口のシロヤ住宅だったのだが、そこにも電話して相場を教えてもらうことにした。
さらにネットで無料で見積もりを出してくれる業者も見つけたので、4月4日に来てもらうことにした。
先日飛び込みで工務店の営業が来た。
なんでも大阪市内に新しくオープンしたから、よろしく頼む、ついてはサービスで2000円で壁のクラックを埋めてあげるという。
うちの家は1981年に出来上がっていて、すでに築40年を閲している。
10年くらい前にこうたさいもすでに壁には何本ものひびが入っていた。
そこで「コーナン」に出向いて壁のひび割れを埋めるセメントを購入して父親と2人して埋めた。
しかしそれは2階の窓から手を伸ばして届く範囲に限られていて、一階から見上げるとまだまだひびがある。
ただこのところ近所ではちょっとした建築ブームとなっていて、今までは空き家で無残な姿をさらしていたところが更地となり、新しい分譲住宅に変わっていっている。
土建屋はどこも忙しそうなのだ。
それにもかかわらず、一々営業をかけて仕事を取ろうとするのは不思議な感じもする。
明日この工務店が来てくれて2000円でひびを埋めてくれるというので、どうなるか期待しているのだ。
いい店だったら2階の物干しのスレートの屋根の修繕も頼みたい。
高槻で仕事だ。
ここは中之島や箕面と並んで大阪の高額所得者がたくさん住んでいる町なのだ。
新刊書店は松坂屋の中にジュンク堂、JRの近にくまざわ書店、阪急百貨店に紀伊國屋がある。
古本屋は阪急高槻市近くに一軒あるのだが、ここは土曜日にだけ店を開けるあまりやる気のない店だ。
JR高槻の北側と摂津富田にはブックオフがあってかなり客を集めている。
ブックオフはさすがにいい本を並べているのだが、私にいつも本を売ってくれるから高槻のお客さんの話しはこうだ。
「ブックオフな、たまーにいくんやけどな、最近出た読みたい思う本もあるんやけどな、値段がな、定価から200円引きくらいなんや。
これでは食指が動かん」
昔のブックオフなら半値くらいで売っていた時期があったので、それに比べたら物足りないということなんだろう。
でもこれはない物ねだりというものだ。
阪急高槻近所にあったニッカウィスキーの立ち飲みバーは閉店しているし、その横に
できたばかりの高級食パンを売る、喫茶スペースも併設した店も閉店している。
こちらは跡形もなく、更地になっている。
今日は10時から香里園駅近くにブックオフがオープンするので、早速行ってみた。
ブックオフは考えられる限り最高の古本屋だ。
品揃えは他の追随を許さないし、値段も安い、店はどこも広く、明るい。商材も本、マンガ、CD、ゲーム、カード、プラモ、フィギュアと多彩だ。
ただ香里園は京阪沿線ではそこそこ高級住宅街ではあるが、さして本があるとは思えない。
でも新しい店のオープン、それも古本屋というの皆無に等しい。一度経験したいものだと考えていたのだ。
場所は駅の西側で、もと薬局があった、マクドと併設された、モータープールも15台分ある平屋だ。
朝から雨なんだが開店5分前に着いた頃には店の前の駐車スペースに70人くらいが並んでいた。
車で来た人は駐車できないのだが、どうもそういう遠隔地からの人はおらず、近所の人ばかりのようだ。
傘をさしてない親子連れがいる。
「お前はあの庇のところに行って濡れやんようにしときや」と父親が子どもに言う。
「でもそのまま入ってしもたらあかんで、横入りになってまうからな」
「お父ちゃんはどないすんの❓ぬれるで」
「お父ちゃんは帽子あるよってな」
大分近所なんだろう。
「レジの混雑を避けるため、本日はお買い上げは30点までにさせていただきます、ただセット物は1点と数えます」と開店待ちの列を誘導している係員がアナウンスしている。
橘玲は例の「言ってはいけない」シリーズで著名な作家だ。
2010年に出たスティーブンピンカーの「人間の本性を考える」を手がかりに若者向けの啓蒙書をいろいろ出している。
彼の主張は
❶生きていくための仕事として他者と比べて相対的優位にあることに精を出すべきだ。
❷グローバル化で相対優位にある分野も海外からの安い労働者のために奪い合いになっている上に、グローバル企業は儲けを拡大し格差社会となっている。
❸自分の相対優位を確認するには好きなことをしっかりやってみる必要がある。
❹人にはいろんな趣向があるとはいえ、遺伝子の縛りからは逃れられない。つまり、マイナーな趣味だといっても必ず層として同好の士がいる。
❺ネットなども利用して商売のプラットフォームを自分で作っていく姿勢を保てば道は開ける。
橘玲の主張で面白いのは❹だよな。
世間にはとんでもない変態的な趣味のやつがいるけど、それも遺伝子的には意味があって生き残ってきたし、同じような趣味の連中が必ずたくさんいるというわけだ。
まああれだな、普通は橘のように大風呂敷は広げないよな。
俺の店の場合はまともな大学の文系の学生がベースとして学ぶような類の本を主戦力として経営している。
左翼が崩壊して学生が教養として身につけるべき知識は崩壊したから、たしかにこういう本の売れ行きは以前に比べたら落ちる。
しかし全国に1000以上も大学はあるし、東京は依然としてマスコミや出版社を独占しているから需要は減ったとはいえ、まだまだ侮り難いと思っている。