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古本屋日誌
今日は出荷してから、嫁と京都水族館に出かけた。
夏休みの終わりだし、修学旅行生も社会見学も、遠足もない時期で、ずいぶん空いていた。料金は2400円。
以前はイルカ絡みのショーは行われていなかったが、今回は1日数回、餌やりだとか、運動だとかを客に見せるようになっている。
イルカショーではないものの、飼育員曰く「イルカの体調をチェックするため」にジャンプをさせたり、尾鰭を水面に出して、動かせたりしていた。
俺はそんな言い訳がましいことは要らないから、以前の通りきちんとしたイルカショーをやって欲しいと思っている。
しかし、一方で、イルカを水族館で飼育するのは、知能の高い動物を監禁して虐待していることに他ならない。
餌も死んだ魚ばかりで、自由に生きた新鮮な肴を食べている野生のイルカにとって拷問でしかない、との主張を横断幕に掲げ、チラシを撒いている活動家が、依然来た時はいた。
ビーガンの考えとは異なるようだが、人間と他の動物の差が生物学的にはあまりない事がどんどん明らかになっているわけだから、こういう主張は今後も勢いを増すだろう。
昨日は友人二人と甲子園で横浜戦を見た。
毎回チケットは同僚にとってもらっていて、ありがたいのだが、今回は年間予約席であるバックネット裏の東芝シートのすぐ上、4段70番台の3席(料金は7500円)でとりわけ素晴らしかった。
バットが球を捉える鋭い音が響いてくるのもいいが、左右に飛んでいく打球が一瞬でファールかどうかわかるのもよかった。
われわれのすぐ前の3段目にはずらりと外人が陣取り、真ん中にはスピードガンも備えつけられている。
目ざとい友人の観察によれば、彼らは胸から「レンジャーズ、スカウト」である旨を明記したプレートをぶら下げていて、つまりは、今永の視察にやってきていたのだ。
今永は確かにストレートは速いし、スライダーが魅力的な投手だが、落ちる球は大したことないから、メジャー向きとはいえないような気がするけどな。
『週刊ベースボール』が6月26日号でタイガース特集を組んでいることに気づいた。
早速購入して一読。
なかなか興味深い内容だった。
この号は6月14日の発行であり、つまりは今から2ヶ月以上前のペナントレースを踏まえて書かれているのだ。
評論家各氏が、無い知恵絞ってあれこれ予想するのが楽しいのだ。
中でも高木豊はタイガースの課題について次のように書く。
「私は打線のポイントは六番ではなく三番、すなわちノイジーだと考えます。
ここがつながるか、逆に途切れるか、不振でノイジーを外すことはあるかもしれないが、それでも三番・ノイジーの出来が今後のカギを握ると思います。」
バカだよなあ、全然違うよね。
また高木豊は今後のペナントレースについては「阪神を追いかけるのはDENA、巨人あたりになりそうですが、岡田監督は巨人、というよりも原辰徳監督は嫌だなと思っていることでしょう。それこそ百戦錬磨ですし、いろいろと大胆な手を打ってくる指揮官ですから」
これも評論家を名乗る人間として失格だろう。
この時期でも、戦力からしてカープがライバルになるだろうと考えるのが、ごく普通の考えだったからだ。
またライオンズの監督だった伊原春樹が面白い主張をしている。
伊原は『孫子』を学んだとして、指導者が冒してはならない五つのポイントを書いている。
その五番目「❺愛民『民』(選手)を愛し過ぎること。人情家は危ない。部下に同情し過ぎて肝心なことにも厳しくなれない」だというのだ。
伊原は、まともに勉強したこともない人間だろうから、知識教養に欠けるのは、やむを得ないがこれはいくら何でも馬鹿だよなあ。
『孫子』のいう「愛」は現代の我々が使う意味とは全く違う。
漢籍では「自分より下の者をいたわる」意味でよく使われる。皇室の「愛子」なんかもこの意味だ。これなら伊原の意味に近いかもしれない。
しかし「孫子』はそうではなく、「意味のない事にこだわり過ぎる」という意味だ。「割愛」の「愛」と同じ意味で使っている。
『孫子』は同情を批判したのではなく、庶民大衆をコマとして使う政治家の心構えを述べているわけだ。
だいたい単なる娯楽に過ぎないプロ野球ごときで、国同士が玉を取り合う戦争の話を適応しようというのか間違いだろう。
8月1日付で出た『日刊ゲンダイ』の臨時増刊号「岡田彰布徹底解剖」には新人記者が、『「アレ」で盛り上がる?阪神のお膝下を歩く』という署名記事がある。
尼崎中央3丁目商店街の理事長の話。
「優勝セールの準備❓言い出すと負けるジンクスがあるのでまだやってないです」
甲子園球場近くの素戔嗚神社の関係者の話。
「数年前に佐藤輝明さんが入った時にからの調子がよくて、ファンも″負ける気がしない〟と凄かったじゃないですか。それが夏にガタッと。今は(7月12日のこと)ちょうどそういう時期じゃないですかね」
地元の阪神ファンに聞いた佐藤輝明についての声。
「サトテル❓地元のファンはみんなあきらめてると思いますよ」
「サトテルはもういいんじゃないですか❓僕らはもう十分我慢しましたよ」
予想通りの声だよな。
取材は7月12日(横浜戦でバウワーから森下がホームランを放って勝った試合の日)に行われていて、その頃は、またいつものようにダメになるのではないかと疑っていたわけだ。
今月の23日から2か月間、阪神西宮の百貨店2階に古本屋がオープンする。
阪神百貨店なんだが、そうはいっても電車の高架下に二階建てで設けてあるだけのものなんだけどね。
一階はデパ地下。お菓子の専門店やおかずを売っていて、エスカレーターで上がると催物開場が目の前にあってそこでは古本市を開催しているのだ。
天神橋の矢野書房や寸心堂、神戸のワールドエンズガーデン、京都のマヨルカなど9店の合同店舗だ。
先ごろの下鴨の古本市は灼熱地獄だったが、百貨店は当然のことながら冷房が効いているし、蚊の大群も襲ってはこない。
天国のような快適な空間で、2か月も古本を並べられるとは、夢のようだ。
出店している古本屋を見てみると、やはり文学書を専門に扱っている店が多い。
大阪の矢野書房は、和の文学書だし、寸心堂は洋書が得意で、京都のマヨルカも文学書が専門に思える。
小説は俺は文庫でもなんでも読めたら、それでええやん思うけど、実際にはコンディションや本のスタイルにこだわるお客さんがたくさんいる。
だから文学書中心の古本市は、実際に手に取ってチェックできるから、これからも無くなることはない。
折りしも、地元のタイガースは首位を快走しており、優勝へのマジックナンバーも出ているうえに、2位には7.5ゲームも差を付けている。
今年はパラダイスだ、それに尽きる。
優勝が決まるまで、間違いなく、強いタイガースを楽しむことが出来る。
これまで18年にわたり、タイガースはストレスの元であり続け、決して楽しむものではなかった。
そして間違いなく言えることは来年以降もないだろう。
さて、西宮市民もタイガースには並々ならぬ関心を寄せているだろうから、阪神百貨店での古本市にも、たくさんのタイガース関連本やムック、雑誌が並べられるだろうか❓
現実は、全くそういうことはない。
タイガース関連の本は全然ないし、雑誌も鉄道がらみや古寺巡礼シリーズなどはたくさんあるが、月刊タイガースとか、YEAR BOOKは一冊もないし、2003年、2005年、1985年、1964年、1962年の雑誌も特集号なんかも皆無だ。
井上章一の『阪神タイガースの正体』玉木正之の『タイガースへの鎮魂歌』草野進の『プロ野球批評宣言』集英社文庫の『バースの日記』もない。
球場で本読みもって野球見てる人はいないから、当然なのかもしれない。
しかし18年ぶりの異常事態なのに、西宮の人たちは冷静だな。プロ野球人気の凋落が原因なのかもしれない。