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古本屋日誌

2023-01-31 14:13:00

人は死ぬ時期がままならない。 

 

平均寿命でなものはあるけど、それは均したらそうなるという話で、自分にあてはまるわけはない。

 

ガンなどである程度わかっているケースもあろうけど、脳梗塞やら心臓麻痺やらで急に意識が無くなったりすることもある。

 

 

一人暮らしをしていたら、発見されるまで時間がかかることもある。倒れたすぐに見つかっていたら、助かるケースもあるだろうけどね。

 

 

枚方や高槻や大阪市内のような中心地ではない郊外の住宅地では、若い人は出て行ってしまうので、残ってるのは、しもたやとか年寄ばかり。

 

 

そして櫛の歯が欠けるように一人死に、二人死にしているうちに、周りは空き家だらけになってしまい、自分が倒れても誰にも看取ってはもらえないことになっていく。

 

 

だから今は新聞屋とか、宅配弁当屋とかいった業者が頼りになってくる。

 

 

いつも挨拶して弁当を楽しみにしている年寄りが出てこない、玄関も開けっ放しとなると、「ごめんください」と中に入って安否を確かめる。

 

これは商売を超えたもので、崩壊する地域コミュニティの補完的な役割を弁当屋とか新聞配達員が強制されているといことだ。

 

彼らの仕事は弁当を配ることだし、新聞を配達することだからだ。

 

 

ここにこれからの古本屋の可能性が見える。

 

古本屋なら月一回、定期的に、あらかじめ決めておいた日に老人宅を訪れて、不要な本の断捨離を手助けするのは極めて自然な行為だ。

 

これは、御用聞きの三河屋が毎日お得意を回ってオーダーを取っていくようなものだ。

 

 

なにせ行けば行くほど、家の中はすっかり片付くのだから、お客さんにとってもありがたいことだろう。

 

 


2023-01-30 10:02:00

今回の芥川賞は仙台のジュンク堂書店の店員を務める佐藤厚志が受賞した。

 

 

その前に候補作となった『象の皮膚』も面白い。

 

 

主人公はやはり仙台の書店に勤務しているのだが、幼い頃からアトピーで、皮膚が痒くてたまらない。

 

肉体的な苦痛もあるが、ささくれて黒ずんだ皮膚を好奇の眼で眺める周りも気になって長らく一人で苦しんでいた。

 

 

物語はそこからの解放をテーマにしているのだが、それはさておき、面白いのは仙台の書店にやってくる迷惑な客の話だ。

 

 

俺の印象では対面販売は、直接面と向かってやりとりをするわけだから、いくらなんでも遠慮がはたらくし、周囲のお客さんや店員の目も気になるだろうから、そんなにひどい話はなかろうと高をくくっていた。

 

 

逆に通販では、顔が見えない気楽さも手伝って、遠慮会釈ない乱暴で失礼な物言いが横行すると思っていた。

 

 

しかし実態はそうでもないようだ。

 

 

バックパッカーのなりで、カウンターにやってきた男が、レシートもないのに、ボロボロの雑誌の返品を迫る。

 

 

QUOカードで購入した本を持ってカウンターにやってきて

「先月号と間違えて買った」から返金してくれと言い張る。返金されたら差額の僅かな金を儲けようという魂胆なのだ。

 

 

 

電話してきて「これから探して欲しい本のタイトルをゆうから、確認のために続けて読み上げてくれ」といい、エロ本のタイトルを次から次へと読み上げる。

 

 

客だけではなく、従業員も無責任な人がいて、ややこしい客に絡まれている時に、助けることもせずに、雲隠れしてしまう。

 

 

さらに例の2011年の東日本大震災が襲いかかり、店の本は散乱し、自宅マンションの電気、ガス、水道といったインフラはストップしてしまう。

 

そのためアトピーは悪化して床に入っても寝られないくらい痒い。

 

10日後、いち早く店が再開すると、ものすごい数の客が押し寄せてきて、レジには大行列ができる。

 

 

レジ待ちの列に並ばず、「ここに金を置いておくから」とパズル雑誌を持ち帰ろうとするジャージの男がいる。

 

 

「お客さま、困ります。列にお並びください」と頼んでも言うことを聞かない。あげく握りしめた小銭を投げつけてきた。

 

あとで床に散らばった小銭を集めたら130円しかなくて、代金の590円には遠く及ばない。

 

そんなとんでもない話が綴られていくのだが、主人公はぐれもせず、目の前の業務に懸命になる。

 

下村湖人の『次郎物語』ではないか、面白いし、心打たれる。

 


2023-01-28 17:17:00

谷岡ヤスジが亡くなって、もう20年以上経つ。

 

56で死んでしまったのはいかにも早すぎるし、その後あのようなマンガはついぞ現れない。

 

その間2014年の10月にソニーデジタルエンターテインメントがAmazonと組んで、『谷岡ヤスジ全集』を24巻で電子書籍とオンデマンドで刊行した。

 

 

この企画は『少年マガジン』編集長だった内田勝と谷岡の夫人が中心になったもので、谷岡の作品がこれで「永久に(品切れなどすることなく)残る」と考えられた。

 

オンデマンドの方は値段は2000円余りと少し張るけど、一冊からオーダーできて、最短翌日には仕上がるとのことだった。

 

俺も谷岡ヤスジを尊敬しているので、直ちに電子版を23点購入した。(一冊だけは、まだ焦って買わなくても大丈夫だろうと考えてオーダーしなかった)

 

 

ところがソニーデジタルの社長交代で、この事業から手を引くことになって、谷岡ヤスジ全集は入手できなくなってしまった。

 

Amazonが倒産でもしない限りは半永久的に読めると思っていたし、紙媒体なら、売れなくなったら品切れや絶版となるけれど、電子書籍ならそんなことはあるまいとたかをくくっていたので、今回の事態には驚いたよ。

 

 


2023-01-27 16:30:00

今日は潮岬沖を低気圧が通過する気圧配置で、等圧線が歪み日本海の湿った空気が大阪にも流れ込む状態になり、朝からみぞれだ。

 

昨日の朝にクロネコヤマトで届く予定だった宅急便は今朝届いた。

 

「これ遅延ですねん」と配達員はもうしわけなそうに言ってたけど、全国的な雪と荒天で、大渋滞になっていたのだから、仕方のないことだ。

 

 

郵便局のホームページには昨日の夕方の更新で、近畿圏をはじめとする各地で荷物の受付停止措置を27金曜日から解除する旨書いてあった。

 

 

朝には萱島郵便局からお電話で「今日からは受付できますので」とのことだった。

 

 

それにしてもこんな寒い中配達業務や配送業務についているたくさんの労働者は本当にたいしたものだ。

 

 

我が国の屋台骨を根底から支えている人たちであり、また、みんなから憧れと尊敬の眼差しを受けている人たちでもある。

 

 

先日2001年の映画なんだが『ビューティフルマインド』を見た。

 

 

ラッセルクロウ扮する天才経済学者の伝記だ。

 

その中でアダムスミスの「みんなが自分のことを考えて邁進することで、全体が幸せになる」が出てくる。

 

いわゆる「神の見えざる手」のことで、資本主義社会で皆が自己の利益をひたすら追求すれば、神の摂理によって国民全体が豊かになっていくのだというやつだ。

 

 

ところが、ラッセルクロウ扮する主人公はそうではなく「みんなが自分のことに加えて、全体のことも考えに入れることで、全てがうまくいくようになるのだ」と考える。

 

この発想が均衡理論につながり、晩年、ノーベル物理学賞に結実することになる。

 


2023-01-26 16:24:00

今日は寒さも緩み、湯沸かし器は午前10時現在、問題ない。

 

 

ただ9時過ぎに近所の萱島郵便局から電話があった。

 

「すみません、雪の影響でゆうメールもクリックポストも引き受け出来ない状態です。いつ復旧するかもわかりません、申し訳ありません」とのことだった。

 

 

電話は出来ない話しか出なかったのだが、ホームページで確認してみたら、ゆうパック、ゆうメール、クリックポストはダメだが、レターパックとスマートレターは大丈夫だと判明した。

 

要するに荷物はダメだが、手紙ならいけるということなのだ。

 

クロネコヤマトも、昨日朝に届く予定の60サイズの宅急便があって、LINEでクロネコから朝届けますと連絡があったのだが、届かなかった。

 

その後晩の7時くらいにクロネコから電話があって「すみません、雪でまだ荷物が届かないんですわ。いつ届くかもわかりません。」との話だった。

 

これはもう仕方のないことで、郵便局の人たちにしてもクロネコのみなさんにしても災難としかいいようがないことだ。


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