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古本屋日誌

2018-12-31 08:30:00

今朝もかなり冷え込んだにもかかわらず、猫は二匹とも外に出たがり、玄関を開けると喜び勇んで飛び出して、コンクリートの打ちっぱなしの冷やっこい地べたをゴロンゴロンしていました。見ているだけで身体が冷えます。

中公文庫から大岡昇平の「レイテ戦記」の新版がインタビューやエッセイを加えて全4巻となり刊行、13万人が死んだフィリッピンの戦闘を余すところなく伝える傑作です。始めに連合艦隊司令長官の古賀を乗せた飛行機が行方不明となり、結局古賀は見つからなかったが、同乗した福留参謀長はゲリラの捕虜となってしまう。ゲリラ側は日本軍の包囲を解除してくれるなら引き渡すと言って来て福留はどうしても必要な人材だからと受け入れて引き渡される。すぐに福留は第二艦隊司令官に復帰するのだがこれについて大岡昇平は「海軍では俘虜になることは大して不名誉ではないらしいのである」と書いている。

戦陣訓では降伏して捕虜になることは禁止されていたのに、なんか高位高官は違うのかとダブルスタンダードを感じてしまう。


2018-12-30 11:36:00

今朝はやはり気温が低うて、なかなか起きられません。メス猫が死んでしまい、残った黒猫たちは嫁の布団に二匹とも揃ってくるまっていて、こちらには一切やって来ません。

しばらく前から話のしすぎで喉が荒れて痛かったんですが、このところ一日中お客さんと話をしているせいもあって、悪化してガラガラ声になってしまい「あれやでー薬局にしっとりしたマスク売ってるよってに、それこうてして寝たらどうや」とか「もうあんまり話せんほうがええで」とかいたわっていただきありがたい。数年前には風邪がひどくなり、ほとんど声が出なくなったこともあり、近所の耳鼻科に出向いて1時間くらい待って診察してもらい「あー、これはようあるんよ、薬飲んで2日も静かにしとったらちゃんと声出るさかい安心してな」との名医の診断でことなきを得ました。

前にスーパーで実演販売の仕事をしていた時、先輩の営業マンが声が出ないのに出社してスーパーにソーセージ販売に行こうとしてました。

いくらなんでもソーセージを無言で焼いて客におもむろに差し出すというのはさまになりませんから「先輩、今日は休んだほうがよろしいで、わしらが代わりにやらしてもらいまっさかい」とゆうのに「気にせんといてな、あのなあささやき声やったら、出せるんや、ささやき声でも十分売れる」とか言って出かけて行きました。

もちろん全く売れませんでした。


2018-12-29 18:50:00

今朝もかなり冷え込んでいて、仕事に行く時間帯は困りました。しかし昨日で仕事納めのところも多く、朝、萱島の駅に向かう人の流れは少なくのんびりしたものでした。

中山美穂の夫であった辻仁成には「ミラクル」という作品があってアルという男の子が街で母親を探しているのを見とがめたキキという女が、アルの心得違いを諭す話です。アルはもう十分ものごころついていそうな年齢なのに未だにサンタクロースを信じているようなおぼこで、父親から「お前のお母さんは遠いところを旅している」と聞かされてそれを信じて街中で母親の面影を探している。キキは「それはね、あなたのお母さんはもう死んでいるということだよ、子どもが大人のつく嘘に気づいてあげないといけない」とさとすが、頑としてアルは聞き入れない。アルは父親が嘘なんかつくわけないと言い張るわけです。

子どもが無垢で汚れがないとかいうのはルソー以来の神話ですね。フランス革命で近代国家ができ家庭が仕事の場ではなくなり、子どもを慈しむ教育の場となってから、小さい大人ではなく、無垢な子どものいうイデオロギーが生まれたわけです。辻仁成は中山美穂と長らくフランスに住んでましたから、それもあってこういうバカバカしいイデオロギーがお好きなようです。


2018-12-28 18:31:00

今朝はかなり冷え込んでいて外出した時、下から寒気が湧き上がってくる。といってもまあこれまでよりかは寒い程度でこれからする仕事の段取りを考えて歩いていると忘れてしまう程度だ。

先日祇園の「おかる」といううどん屋に行ってカレーうどんを食べたが、確かにうまいし、肉もたくさん入っていて、しかもジューシーで値打ちがあるが、大阪で食べる普通のカレーうどんやカレーそばがせいぜい700円くらいであるのに比べてかなり割高で「そりゃあ、うまないとあかんやろ」とも思った。京都は観光地として歴史的に甘やかされている街なので、高めに価格を設定しても、客は非日常を楽しみたいと思っていて、普段と少しちがう高級な食べ物は需要にぴったりで人気が出るのはわかる。

この「おかる」の店内にも壁面にはそれこそ所狭しとたくさんの色紙ご飾ってあって、近所の茶屋の舞妓や芸妓をはじめとして、京都花月も近いから吉本の芸人のものもたくさんあった。こういうのは確かに羨ましい。店に来た自分が好きな客に色紙をお願いして例の「〇〇さんへ」てなやつを書いてもらって一言二言言葉を交わすこともできたらさぞかしうれしかろうし、やりがいも出ようというものだ。

古本屋稼業で私の好きな研究者や作家から注文が入ることも珍しいことではなく、できたらサインや励ましのお言葉を頂戴したいとも密かに思うのだが、本を送るときに「ご高名は日頃から拝聴しております、できればこの色紙にお言葉でもなんなりと賜りたく存じます」とやるのはいかにも不自然でカッコがつかない。

わざと間違った本を送ってクレームの電話やメールが来るのを待って、正しい本をお送りするとともにお詫びの電話を差し上げて謝意を伝えて「ひょっとしてあの、大江健三郎さんではありませんか?」てな感じでそらぞらしくお話を始めて、こちらの目ばかりで「こんな本もあるのですが、よろしかったらご査収ください」てな感じで気に入ってもらってとかいろいろ妄想してます。


2018-12-27 16:50:00

今朝も少し寒かったが、仕事で高槻に出向いたころにはぬくなってきていた。

池上彰は朝日新聞に定期的に「紙面ワッチャー」のようなものを連載しているが、先日例のゴーン逮捕の話が載っていた。池上彰はたくさんの新聞を読み比べて、ある一社だけはどういうソースがあるのか不明ではあるが、確実に日産のゴーンが空港で今日逮捕されるとの情報をつかんで、朝の4時くらいから記者にカメラマンを貼り付けて待ち構えていたことが読み取れるという。

これは朝日新聞なんだが、記事にも「本社の記者とカメラマンが待っている中を」連行されて行ったとの記述があって「これを読んだ他社の記者は歯噛みして悔しがっただろう、朝日の記者のほくそ笑む顔が目に浮かぶようだ」とある。

なるほど確かに社長賞ものだろうが、どこからネタを拾ってくるのかね。


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