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古本屋日誌
バファローズが神宮でスワローズを立て続けに破り、日本一となった。
気分爽快で、積年のスワローズへの煮えたぎる怒りも収まった感じだ。
思えば2008年のシーズン終盤、タイガースは優勝を目前にして、神宮でスワローズと対戦した。5回まで安藤が好投して5ー1でリードした。
しかし無能な岡田は10月8日のジャイアンツ戦で、安藤を先発させるために、さっさと降板させてしまった。
案の定スワローズの反撃を喰らい、痛恨の逆転負けを喰らってしまった。
また2015年のシーズン終盤もタイガースは優勝を争い、スワローズと対戦した。
先発は、その頃は、ちゃんとしていた藤浪で、試合中盤ランナーが出てチャンスとなると、岡田に輪をかけて愚かな和田は、藤浪に代打、新井の弟を送った。
新井など何の才能もないバカだし、藤浪(今の藤浪は絶対に見たくないが、その時はタイガースのエースだった)を下げたら必ず打たれると思ったら、もちろんその通りになった。
また今年のクライマックスシリーズの最終戦でマルテとかが、どんどんエラーして一挙に5点を奪われた時、一塁ベース上で、村上の野郎が大笑いして手を叩いていた。(もちろんエラーする方が悪いのは言うまでもないのだが)
しかしどうだろう、今日の5回村上の野郎は取るべきバントの球を取らず、ノーアウト満塁にしてしまったではないか。
さらにセンターの塩見に至っては捕球できず後逸して、一挙に3点を奪われることになったではないか。
実に気分爽快で、ありがたいことだった。
こういう他人の褌で相撲を取るような心の安定法はどうかとは少し思う。
百万遍で昨日から古本市だ。
京都の古本市の特徴はいい本があることだ。
大阪の天王寺さんや天神さんの古本市ではなかなか見られない珍しい文庫本を見ることができる。
岩波文庫の「聖なるもの」新版(1500円)「高僧伝」全4巻(8000円)「近世風俗志」(バラで300円)「摩訶止観」全2巻、旧版(2500円の店と350円の店があった)
ちくま学芸文庫の「森有正エッセイ集成」全5巻(1万円)「マハーバーラタ」1から3(各3000円)
講談社学術文庫の「今鏡」全3巻(7500円)「増鏡」全3巻(2500円)「法華経の行者日蓮」(2000円)「現代の俳句」(2000円)「百魔、上」(1500円)
中公文庫の「入唐求法巡礼行記」(3000円)「狩野亨吉の生涯」(400円)
角川文庫の「信長公記」帯付(100円)
教養文庫の「死線を越えて」(100円)「幻の総合商社 鈴木商店」(100円)
岩波文庫の「人性論」全4巻、旧版(400円)「加藤楸邨句集」(1500円)「安愚楽鍋」(260円)
朝日文庫の「荘子」全6巻(650円)
新潮文庫の「わが思い出と冒険」(1400円)
講談社文庫の「ビートルズ海賊盤事典」帯付(3500円)
徳間文庫の「1963年のルイジアナママ」(150円)などいい本がたくさんあった。
京都にはたくさん大學があるせいだろうが、値段は安いものも多い。
天気もよく、初日からたくさんの人出、お祭りは木曜日まで続くのだが、その後が寂しい。
今日から百万遍で古本市だ。
川端今出川の臨川書店でも、恒例のバーゲンセール初日が9時からで、早速朝一で出かけてみた。
臨川は国文学の専門書を出している出版社で、必然的に京大や同志社などの文学部の先生方との繋がりが深まり、「要らん本やるから、取りに来てくれ」てな感じで本もたくさん集まってくる。
そこで年に数回、バーゲンセールをやるのだが、今出川通に面した店舗前の狭い歩道上にワゴンや机を並べて売る。
俺は文庫本が欲しいんだが、このところあまりいい本が置いてない。
今出川通りを東に歩き、東大路の交差点を渡ると吉岡書店がこれまた、歩道上に大きなワゴンや本棚、みかん箱なんかを並べてセール中だ。
吉岡の場合は、狭い歩道の片側に大きなワゴン、反対側には本棚とそこから張り出した台と、両側を販売スペースにしているので歩くスペースが限られてしまう。
これは明らかに道路交通法に違反している。
しかし古本屋の場合は(薬局もそうなんだが)昔から慣行として認められているのだ。
京都一の繁華街の河原町でも、あの狭い歩道に張り出してワゴンや台を出すことを認められている。(キクオ、京阪書房、大学堂)
これは以前の古本屋が曜日と時間を決めて大々的にバーゲンセールをやっていた名残だ。
「次のセールはな、来週月曜のな朝9時スタートや❗️」と予告が出て、客は歩道上に置かれた平台やワゴンに殺到していたのだ。娯楽の少ない昔にはそういうことがあったのだ。
昨日は友人と寝屋川の「風の街」で飲んだ。
大阪ドームの日本シリーズ中継をその間もチェックしていたが、吉田のホームランでバファローズが勝った。
バファローズの選手は皆チャンスにも強く溌剌としている。
タイガースの無能で怠惰な連中とはまるで違うよなあ。
タイガースの試合を見ているとイライラさせられる。
他人のやっていることで、自分ではどうしょうもないことなのに心を掻き乱されるのは理不尽だ。
そこでタイガーファンは各人がそれぞれ心を落ち着かせようといろんな方法を考えるわけだ。
一番多いのが「あーやっぱりな、大山にマクガフは打てん。ちょっとは手加減したれよ」というやつだ。非我の力の差を確認して「仕方のないことなんだ」と心を静めるわけだ。
俺は仕事に没頭するね。
お客さんの注文の梱包作業、本のコンディション、価格の改定作業をひたすらやって、バカで無能な選手のことは忘れるようにする。
しかし、バファローズの連覇で、「もうタイガースなんかそもそも要らんやん」と完全にタイガースを見捨てる人もたくさん出てきた。
これは誠にもっともなことだよなあ。
ただ俺はタイガースがいくら無様でも「やはりバファローズは違うよなあ。強いし、プロフェッショナルといえるプレイをしてくれるよなあ」と関心をバファローズに向けることで心の平安が保たれる気がしてきている。
さて、昨日飲んだ友人なんだが、実は神戸在住だ。
彼の叔父が肺炎で入院し、一人暮らしで身よりたよりもなく、友人がわざわざ出向いて身辺整理や掃除をし、その帰りに京阪の寝屋川市駅で落ち合ったわけだ。
おじさんは82で理髪店を経営していたが今やつながりがあるのは、甥っ子一人。
話を聞いたら、自宅には木彫りの人形やたくさんの水彩画があるという。
散髪屋の仕事は年末とかは極めて忙しいほか、土日なんかも立て込む。
しかし全然客が来ない時もあるし、「理髪館」などの廉価のチェーン店も増えて仕事量も減ってきていた。
つまり自由に使える時間がかなりあったわけだ。老後のありあまる時間を創作活動に使う、これは確かに意味あることだろう。
彼は描いた絵を素人コンクールにも応募していて、表彰もされていた。
作品の値打ちはともかく、そういった形で外の人間とのつながりも確保していたわけだ。
定年退職後古本屋を始めた人のことは気になる。
その一つが千林の京街道沿いにある「キーツ&カンパニー」だ。
最寄駅は京阪電車の森小路。
主人は元は高校の英語の教師だったが、55で退職し、自宅を改装して古本屋を始めた。
京街道に面した民家の一階の壁に床から天井まで届く何段もの本棚がセッティングしてあって、たくさんの本がある。
主人の好む英文学の原書が一番奥に、その隣に大阪の本、小林信彦、村上春樹、野坂昭如などの文学書、江戸、東京関連の本、映画や落語関係の本、太田和彦や坪内祐三のエッセイなどもある。そのほかカバンやブリキの看板、オモチャなんかもある。
店主に聞いてみた。
「千林て、年寄りが多い街ですよね、ここは時代小説とかの方が売れるよね」
「まあそやな、こんなもん年金あるからやっていけるわけで、なかったらとてもこないな形ではでけへん。
東京の中野とかな、吉祥寺とかな、中央線沿いなんかな、古本屋もなんぼでもあるし、ええ本揃えてるし、みんな買いにきよるんや。
それに比べたらな、千林はな、なんか劣ってるよな、つまり商売やりにくいわけよ」
「そら、東京はマスコミや大学、出版社を独占してるから、仕事で本をこうてるだけでしょ。
それにしても不思議なのはマスターは買い取りしてへんよね。しゃあーのになんでこんなぎょうさん本あんの❓
なんか秘密のルートあんのかな❓」
「そんなもん教えられるかいな」