Welcome

古本屋日誌

2023-06-30 22:23:00

古本屋は買取だ。

 

お客さんのご自宅にお邪魔して、本を拝見して、査定する。

 

さて、そろそろお値段をお伝えして、梱包して帰ろうと思っていると、

 

お客さんが「あんな、ちょっとものは相談なんやけど、ここらへんの本は置いといてもらえるかな」

 

 

「あーこのへんのやつですか、でもこれはかなり値段がいい本なんですよ。もったいないですよ。売りましょう、売りましょう」

 

 

「いやね、この本は(亡くなった)主人がえらい大事にしてた本なんですわ。そのことを今さっき、思い出してね。やっぱり手元にある残しておいてやらんとあかんような気がしますねわ」

 

こういうことはよくあることなのだ。

 

いくら最愛の旦那とはいえ、ひとの趣味は、自分とは関係ないもので、邪魔になる、処分する気になるのは当たり前だ。

 

 

しかし、土壇場になった、ちょっといい子になりたいんだろう。(私は夫の大事な本をカネに替えて、家片付いたわ、とほくそ笑んでるような酷い女ちゃいます)ということなんだと思う。

 

 

それはわからないでもない。

 

仕方なく

 

「さよですか、ほな仕方ありませんわ」と本をまた取り出して、本棚に戻すのだ。

 

 

 

 


2023-06-28 22:20:00

古本屋を経営するにあたって、最大の問題は仕入れだ。

 

 

販売の方は通販が大きな威力を発揮するし、店売りもあるだろうし、大した問題ではない。

 

 

そこで、お客さんから電話を受けて、喜び勇んでご自宅までお伺いするわけなんだが、いかんせん、本の歴史は少なく見積もっても3000年に及ぶ。

 

 

その間世界各国で作られたり、出版されたりした書籍の数々、種類たるや、完全に天文学的なものだろう。

 

 

お客さんの書斎を拝見して、「あーこれね、これこれ、これは〇〇くらいの値段ですな、よーく見る本です」てな感じで商品知識を披露できることはまずない。見たことも聞いたこともない本が大半だ。

 

 

そこで古本屋はどうするのか。

 

 

一つには、そしてこれが1番多いパターンなのだが、自分の店で扱えそうな種類の本だけ抜き出して買う。

 

残りはわからないし、扱えないので、「お客さん、残りはちょっと馴染まない本ですから、買い取れません」と突っぱねて帰ってくるのだ。

 

 

でもこれでは、お客さんも、せっかくいらん物を一掃して部屋の模様替えを予定しているのに、全然本が減らないと悩むだろう。

 

古本屋にしても不勉強ゆえ、値打ちのある本をみすみす見逃すことになってしまう。

 

そこでお客さんには

「あんね、本はね、ぜんぶ持ち帰りますわ。へてな、業者の市に出しますわ。わしの手間賃で15000円はもうて、あと売れた金額の〇割お渡ししますわ。」というのだ。

 

 

なるほど古本組合の交換会に出せば、いろんな専門分野の古本屋がいるから、その人の目から見たら「これは値打ちある本やな」てなことで、高値がつく可能性もある。

 

 

お客さんは部屋が片付いたと喜ぶし、さらにいくらかな収入があったと納得するわけだが、よく考えてみたら、客はそんなに得とはいえまい。

 

だって古本組合の市に出すということは、間に業者が2つも入るということだ。

 

通常の買取ならその古本屋だけだが、市を通すということは買い取った古本やに加えて、市で落札する古本屋も間に入るわけだ。必然的に値段は格段な低くなる。

 

市の古本屋が「この値段で仕入れたら、そこに口賃を上乗せしてメシが食えるな」と判断して買い付けるものでしかない。

 

 


2023-06-27 14:26:00

京阪電車の株主優待の品々がヤフオクにいろいろ並んでいる。

 

その中でも半年間、自由に乗り降りできる定期券は手に入れたい品だ。

 

2020年あたりは、リモートワークが推奨されて、出社する人が減ったせいもあって59000円くらいで落札されていたのを見たことがある。(それでも大半は6万円台だった)

 

今年は、あのくだらないコロナ騒動も終息した上、優待券の発送が6月20日で、使用開始の7月11日まで、さして日数がないということもあって、早めに入札する人が多いだろうから、落札予想金額は75000円あたりではないだろうか。

 

いつも思うのだがTOKAIチケットや甲南チケットといった、金券ショップがたくさん定期券を出しているのは実に不可解だ。

 

京阪電車の株券を6800株以上持っている人に、優待として定期券などが贈られるのだが、それが不要となれば自分でネットに出品したらもっと儲かるのにね。

 

それを金券ショップに売ってしまうと、半分くらいしか儲けがないと思う。

 

しかし、金持ちは出品したり、落札者に送付したりという手間がそもそも煩わしいのだろう。

 

なにせ彼らはブルジョワ階級だからな。

 

 

それはいいとして、買い受けた金券ショップも不思議だよな。ヤフオクに出品したら、手数料として落札価格の1割くらいが差し引かれてしまう。また定期券は大半の出品が送料込みとなっているから、それも持ち出しだ。

 

 

利益を考えたら、店舗で予約を受け付けて(買う人はずっと買うのだから、一回客を掴めば後は、特に営業も必要ない)手渡しした方が儲けは大きいと思うのだが、なぜヤフオクにわざわざ出すんだろう。


2023-06-26 12:50:00

産経新聞はかつては占い記事がたくさん載っていて面白かった。

 

毎日毎日、同時にいろんな占いが紙面に載っているので、よーく読んだら縁起の悪い日はない、今日も大丈夫と元気になるのだ。

 

 

秦郁彦は例の南京事件で、20万人が虐殺されたという中国共産党のご意見や、そもそも虐殺などなかったと否定する連中まで、あれこれ意見が飛び交う中、極めて実証的に5.6万の、虐殺はあったことを示した碩学だ。

 

1932年のお生まれなので齢卒寿でありながら、今回新潮新書から『ウクライナ戦争の軍事分析』を出した。

 

 

ロシアによる侵略戦争の行方を示した本だ。

 

秦郁彦は4つのシナリオを示しているが、シナリオ1はこれまでような消耗戦が続き、3年目に突入する。

 

シナリオ2と3はウクライナがロシアを追い詰めるもの、シナリオ4はロシアがキーウ占領を目指して攻勢をかけるというものだ。

 

 

それはさておき、この本の後書きで秦郁彦は、産経新聞の『正論』欄に2022年の4月に寄稿を求められた話を書いている。

 

 

「ウクライナ戦争、ロシア軍の敗因を探る」と題されたものだ。

 

 

ところが、ファックスで原稿を送ったのに2週間も連絡がないので、電話したら編集委員のSが「レベルが低いので掲載できない」という。

 

秦郁彦はこれまで30本くらい産経新聞に論考を掲載しているが、一度も書き直しを求められたことはない。

 

しかしSは「とにかく、レベルが低いから書き直せ。不服なら全部をボツにする」というのだ。

 

 

結局秦の論考はボツになり掲載されなかったのだが、今回この新書に全文が掲載されている。

 

 

さてどこが産経新聞、つまり我が国の支配階級の代弁新聞の奇譚に触れたんだろう。

 

 

邪推を働かせてみた。

 

それはおそらく「ウクライナ産ミサイルを導入せよ」の下りだと思うのだ。

 

 

「四月十四日には黒海艦隊の旗艦である巡洋艦「モスクワ」が、ウクライナ国産の地対空ミサイル「ネプチューン」によって撃沈された。

 

台湾侵攻をもくろむ中国は衝撃を受けたようだが、尖閣を、かかえたわが国にとっても他人事ではない。

 

自衛隊は若干の地対艦ミサイルを装備してはいるが、ネプチューンの追加配備を検討してもらいたい」との内容だ。

 

秦先生はどうなんだろう、役立たずの自衛隊をおちょくる意図があるのかもしれない。

 

一方、産経新聞は国防へのおちょくりは嫌なんだろうか。

 

 

あるいは自衛隊の装備がウクライナに及ばないと指摘されたと考えて、それがたまらなかったのかな。

 

でも我が国は、そもそもアメリカの犬であることを選択したわけで、戦争などできるわけもないし、するつもりもない。

 

 

一方、ウクライナは侵略者のロシアと8年も戦争を続けてきた。

 

そりゃあどう考えてもウクライナのミサイルは実戦的であり、練度や気合の入り方、敵愾心、そのどれをとっても自衛隊などお笑いでしかない。

 

秦先生はおちょくりも、入っていたのかもしれないけれど、軍事的にもごく当たり前のことを述べているのだろうと思う。

 


2023-06-25 12:48:00

今日、明日の2日間、御池通りの地下、ゼスト地下街で古本市。

 

ここも12店が出品しているのだが、すべて京都の古本屋だ。

 

現在藤井大丸の地下でも古本市が開催されている。

 

昨日、藤井大丸のあるところは東京でいえば、銀座、大阪でいえば心斎橋、つまり一等地なんだと書いた。

 

でも京都の人に言わせるとそんなことは全然ないんだそうだ。

 

 

「俺は京都市内に80年くらい住んでるけどな、藤井大丸にいたことはない。だいたい大丸とか高島屋に行くわけよ。デパ地下やないやろ、あそこは。スーパーが地下に入ったあるんや。」とのことだ。

 

そうなのか。

 

そうだとすれば古本業界という零細産業と藤井大丸というこれまた百貨店業界では大手とはいえないところが、互いに手を携えて細々とやって行こうということなのかもしれない。

 

その話はとりあえず置いておく。

 

今日からのゼストの話だ。

 

レジは現銀しか受け付けられないのは不便だ。

 

確かにたくさんの古本屋が集まっているので、カードやスマホ決済を入れたら後で配分するのが面倒なんだろう。

 

仕方ないかな。

 

 

こうた本の最後のページに出品した古本屋の名前と値段を書いたスリットがはさんである。

 

大阪の古本市では、レジスターに、参加している古本屋ごとに番号が割り振ってあって、レジの人は一々古本屋の名前と値段を読み上げる。

 

 

「厚生、450円」するとレジスター担当の人が「えーと、厚生、厚生と、あ12番やな。ほいっと。はい次」てなことをいいながら、レジに割り振ったその古本屋のボタンを探して、それを押してから金額も入力する。

 

 

これは時間の無駄だ。

 

参加している古本屋がたくさんあると、レジスターのどこにあるのか探すのに手間どっている。押し間違いも発生している。

 

その点、京都の、この古本市はとりあえず、値段だけ読み上げていく。

 

「500.450.350.1200」てな感じで、さっさと合計金額を出して精算する。

 

スリットはささっと抜き取って回収している。

 

古本市が終了してから、古本屋ごとに売上を分配するんだろう。


1 2 3 4 5 6