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古本屋日誌
産経新聞はかつては占い記事がたくさん載っていて面白かった。
毎日毎日、同時にいろんな占いが紙面に載っているので、よーく読んだら縁起の悪い日はない、今日も大丈夫と元気になるのだ。
秦郁彦は例の南京事件で、20万人が虐殺されたという中国共産党のご意見や、そもそも虐殺などなかったと否定する連中まで、あれこれ意見が飛び交う中、極めて実証的に5.6万の、虐殺はあったことを示した碩学だ。
1932年のお生まれなので齢卒寿でありながら、今回新潮新書から『ウクライナ戦争の軍事分析』を出した。
ロシアによる侵略戦争の行方を示した本だ。
秦郁彦は4つのシナリオを示しているが、シナリオ1はこれまでような消耗戦が続き、3年目に突入する。
シナリオ2と3はウクライナがロシアを追い詰めるもの、シナリオ4はロシアがキーウ占領を目指して攻勢をかけるというものだ。
それはさておき、この本の後書きで秦郁彦は、産経新聞の『正論』欄に2022年の4月に寄稿を求められた話を書いている。
「ウクライナ戦争、ロシア軍の敗因を探る」と題されたものだ。
ところが、ファックスで原稿を送ったのに2週間も連絡がないので、電話したら編集委員のSが「レベルが低いので掲載できない」という。
秦郁彦はこれまで30本くらい産経新聞に論考を掲載しているが、一度も書き直しを求められたことはない。
しかしSは「とにかく、レベルが低いから書き直せ。不服なら全部をボツにする」というのだ。
結局秦の論考はボツになり掲載されなかったのだが、今回この新書に全文が掲載されている。
さてどこが産経新聞、つまり我が国の支配階級の代弁新聞の奇譚に触れたんだろう。
邪推を働かせてみた。
それはおそらく「ウクライナ産ミサイルを導入せよ」の下りだと思うのだ。
「四月十四日には黒海艦隊の旗艦である巡洋艦「モスクワ」が、ウクライナ国産の地対空ミサイル「ネプチューン」によって撃沈された。
台湾侵攻をもくろむ中国は衝撃を受けたようだが、尖閣を、かかえたわが国にとっても他人事ではない。
自衛隊は若干の地対艦ミサイルを装備してはいるが、ネプチューンの追加配備を検討してもらいたい」との内容だ。
秦先生はどうなんだろう、役立たずの自衛隊をおちょくる意図があるのかもしれない。
一方、産経新聞は国防へのおちょくりは嫌なんだろうか。
あるいは自衛隊の装備がウクライナに及ばないと指摘されたと考えて、それがたまらなかったのかな。
でも我が国は、そもそもアメリカの犬であることを選択したわけで、戦争などできるわけもないし、するつもりもない。
一方、ウクライナは侵略者のロシアと8年も戦争を続けてきた。
そりゃあどう考えてもウクライナのミサイルは実戦的であり、練度や気合の入り方、敵愾心、そのどれをとっても自衛隊などお笑いでしかない。
秦先生はおちょくりも、入っていたのかもしれないけれど、軍事的にもごく当たり前のことを述べているのだろうと思う。