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古本屋日誌
橘玲の『DD論』にフランスのいじめ対策の話があった。
フランスでも学校でのいじめは大きな問題で、このほど加害者を転校させる措置を導入したという。もちろん暴力沙汰に対しては警察力も導入する。
今までは被害者を転校させる措置は取られていたが、そもそも問題は加害者にあるという考え方によるものだ。
なるほどそうかもしれないが、これは一種の実験で、果たしていい結果が出るかどうかはわからないね。
橘は、学校は一種の監獄で、様々な子どもが無理やり同じ場所に集まり、学ぶことを強いられる。
当然合わない人間もいるわけだから、いじめが発生するのは無理からなところだという。
確かにそうだな。
今ならネットを使う学習ができるのだから、もう集団で学ぶスタイルは廃止した方がいい。
ところで、大江健三郎の『雨の木を聴く女』の献呈サイン本(初版、帯、美品)を手に入れた。大江のサイン本は、亡くなった時に『洪水はわが魂に及び』のを手に入れたことがあるが、それ以来久しぶりだな。
その時は天神橋筋のある古本屋から入手したのだが、そこの主人は初版、帯付きのサイン本をコレクションしていて、俺が頼み込んで譲ってもらったものだ。
車谷長吉が亡くなって、来年で10年になる。
このほど『癲狂院日乗』と題した日記が新書館から出た。また未刊だった『全集』の第4巻を来年刊行するとの予告も出ている。
さて、この本だが、直木賞を取った前後の日記で、後書は高橋順子が書いている。
なんでも車谷が亡くなって、すぐこの日記は見つかっていたし、刊行を予定したものだったのだが、身内や編集者へのあけすけな悪口が問題となって、今日まで出版ができなかったが、問題の人名は仮名にすることで折り合いがついたとのことだ。
それはさておき『赤目四十八滝心中未遂』を書いてから、各社より原稿の注文がひっきりなしに舞い込んでいたが、車谷本人は精神的に辛い状況だったようだ。
電車で知らない人の隣には座れないとか、道が汚れていると途端に毒素が自分の体にまとわりつく感じがして大変だとか、自分の前を見知らぬ他人が歩いているのが怖いとか書いてある。
ちくま新書から歯黒猛夫の『大阪がすごい』が出た。
大阪の魅力をいろんな人に紹介する本で、それなりに学ぶべき点もあった。
大阪府の面積は以前は日本で一番狭かったが、今は香川が最下位になっているが、これは関空が出来たためではないとか、環状線の天王寺駅が阿部野橋の下にある理由とか、船場センタービルが西に向かって低くなる地形に従って建ててあるとか、なかなか興味深い。
また、なかなかよく調べていると思うのは新快速の話だ。
大阪京都間(距離は42.8キロ)を新快速なら29分、時速は89キロ、最高時速は130キロなんだが、JR東日本の東京八王子は、距離が47.4キロで、中央線の中央特快だと時速57キロ、時間は最速で55分かかるとある。
なるほど首都圏は真っ直ぐに線路が引けないからなのか、高速運転には限界があるのだな。
以上、良いところがある本なんだが、不満もある。
俺が大阪の魅力だと感じるのはくだらない阿倍野の再開発地区(単に伝統的な街並みを破壊しただけ)だとか、うめきた地区(どこにでもある繁華街)なんかではない。
街中から郊外電車で手軽に京都、奈良、神戸、和歌山に行けることだ。
東京地区にはない文化財に短時間で接することができるし、岩湧山、生駒や六甲の雄大な自然にもすぐに行くことができる。
琵琶湖で泳ぐのだって短時間で行けるし、有馬温泉もちかい。
野球だって甲子園は、東京のどこの球場であれ、比べることがバカらしくなるくらい素晴らしいものだ。このあたりを強調してもらいたかったよ。
大阪駅前第一ビルの一階にはかつて浪速書林(今もここはあるが通販だけ)とか高尾書店とか植村書店といった古本屋が並んでいたが、時代の流れでなくなってしまった。
植村書店は漫画もおかないし、文庫本も気に入らないとのことで置いていないへんこな店だった。
そういうごりがんなところが、これまた古本好きの学生の心を捉えて、よく相談に来ているのを目にした。
就活なんか面倒だ、好きな本人囲まれて生活していきたいから、古本屋をやりたいというのだが、
「本屋だけはやめときや」「しーたいんやったら、定年になってからやったらええやん」と言われていた。
寝屋川市駅近くに店を構える金箔書房は来月いっぱいで店を閉じるという。
ここの店主は元は上六の天地書房で働いていたと聞いた。
上六の天地書房は今は閉店してしまったが、もとは上町筋に面して、隣がお肉屋さんの細長い店舗とハイハイタウンの一階と二つあった。
そのうちの細長い店の方を任されていて、特徴ある字で、値段を書き込んでいた。
彼は天地書房で10年以上勤めていて、満を持して独立して、成功したのだが、天地書房に勤めていて独立した人は他にもいたけど、今はどうなっているのだろうか。
梅田の東通を抜けたところでも、もと天地書房の番頭みたいな人が独立してやっていたが、今はもう店はない。
集英社から橘玲の『DD論』が出た。
この本によれば、今日、世界が直面するほとんどの課題はどっちもどっちとしかいえない面がある。
かつてのように「正義はこっち‼️」などとおいそれとは言えないという。
ロシアのウクライナ侵略戦争にしても、イスラエルとハマスの戦争もそうだ。
ハマスは、パレスチナ住民を犠牲にしても、イスラエル人抹殺を目標としていて、その戦いを「聖戦」と位置付けている。
もし今後ハマスが、核兵器やら高度なIT兵器を入手したならば、間違いなくイスラエルに向けて使用するだろうから、現在の軍事作戦もやりすぎ感はあるはものの、理解できないとまでは言えないのだ。
なるほど、もっともな話だよな。
それはさておき、この本で改めて学んだのは男女のパートナー選択の戦略の違いだ。
欧米で流行っている出会い系アプリは、近くに住んでいる対象者を画面に表示できるようになっていて、興味をそそられた相手には「いいね」をすることで返事を待てるそうだ。
そこで明らかになったのは、男はとにかくどんどん「いいね」をしていくのだが、女の方は自分に送られた「いいね」を徹底的に吟味してようやく、お眼鏡にかなった男にだけ返すのだということだ。
これはもちろん男は、精子をいくらでも作れるが、女は卵子の数は限られているし、妊娠、出産は長期に渡って、肉体、精神両面に大きな負担となるという男女の遺伝的な違いによるものだ。
今のリベラルな社会では、自分らしく生きることが最優先となっていて、そこに便利な出会い系アプリが現れたわけだから、女が男をはじめの段階で吟味する傾向はますます拍車がかかるのだ。