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古本屋日誌
ブックオフ心斎橋店の話の続きだ。
今回もレジに持って行って「この本、線引きがあるやん、安くならないかな❓」と聞いてみたが「いや、これはこのまま(880円)です」と断られてしまった。
さらにそのあとも、ブックオフ三ノ宮センター街店でも、講談社学術文庫の『円の誕生』という本があったのだが、これまた線引きがあって、ちょうど補充で棚のそばにいた店員さんに「この本、線引きがあんねんけど、安ならんかな❓」とたんねてみまが、「これはお売りできる状態ではありませんね、すみません」とおっしゃったから、ブックオフの方針で線引きのある本は売らないとなったのかと思ったわけだ。
それは全然構わないのだが、ブックオフコーポレーションの方針か否かを確かめたくなって、アプリから、心斎橋店の事例を出して聞いてみた。
すぐに返事が来たのだが、線引き本を売るか売らないかについては、何ら言及がなかった。
ということは全体では何も決まってないのかも知れないし、これはおれの勝手な推測だが、例の不正経理事件の余波で一時的に返品管理が厳しくなっているだけなのではなかろうか。
ブックオフは、本のチェックが甘く、線引きがしてあるものも、気づかずに値段を付けて並べてあることがしばしばある。
たくさんの本が集まってきて、人手も限られるだろうから、致し方ないとは思う。
欲しい本なんだが、よく見たら線引きがあって、記されている値段では買いたくない時はレジに持って行って「すみません、この本かなり線引きがあるんですけどね」と申し出ると「あーすみません、じゃあ110円にしておきます」てな感じで値引きしてくれた。
ところが最近はそうでもない。
三条店では、2階の大型本コーナーで佐藤健寿の『奇界遺産 2」が2600円で出ていた。
今のところこのシリーズは3まで出ているんだが、2だけは持っていない。
チェックしても問題なさそうだ。早速レジで勘定してもらい、京阪で出町柳まで乗って地上に上がったすぐにあるロッテリアに入って、スマホを充電しながら、読んでみると相変わらず面白い。
ところが扉紙がないのだ。ハードカバーの表紙をめくったすぐのところには赤紫色の遊び紙があるはずなのだが、カッターか何かでスッキリ切り取られている。
仕方ないのでまた三条店に戻ってレシートを添えて申し出て、俺としては半額くらいにきてもらいたいと思っていたら「あーこれはすみませんね。これではお売りできませんので、返金しますわ」となってしまった。
ブックオフの方針として、線引きなどの欠損のある本は見つけたら販売せずに処分するとなっているのかは、聞きそびれてしまった。
その後何回か三条店に出向いたが、この遊び紙のない『奇界遺産』をみることはなかったので、潰しにしたのかと思っていた。
ところがまたしばらくして(返金してもらって二カ月くらい後)出町柳の枡形商店街にある古本屋「エルカミノ」に出向いて本を見ていたら『奇界遺産 2』がある。まだ手に入れてないので、早速手に取ってチェックしてみると、この本も遊び紙がスパッと切り取られていて、値段は2500円だ。
本当のところはわからないが、三条店の本じゃないかと俺は思うのだ。
遊び紙だけが切り取られている『奇界遺産 2』がそんなに都合よく2冊も近所で出てくるとは思えないからだ。
またその少し後でブックオフ心斎橋店の2階で、書名は忘れてしまってのだが、ちくま文庫のある本で、1200円となっていたが、チェックしてみたら、かなり線引きがある。
天王寺公園はJR天王寺駅の西側に広がる都市公園で、明治に開催された内国博覧会の跡地がもとになっている。
現在は有料化されて「天芝」と称される広い芝生地や飲食店、ドッグランなどもある。
しかし、俺の子どもの頃と比べて、完全に別物にされてしまっていて、あまりの変貌ぶりにはあいた口もふさがらないよ。
以前の天王寺公園はまず無料だったし、入り口には鉄製のリボルビングドアが設けられていて、市民はちょっと重たい横に伸びる鉄の棒群を手で「よいしょ」と推して入場する仕組みで、ちょっとした非日常感があったが、今は跡形もない。
公園内はフランス式の庭園となっていて、芝生が敷き詰めてあるが中には入れない。
動物園に続く沿道の北側には巨大なドーム型の温室を備えた植物園の建物が長々と続いていた。
これは明治の博覧会時に設置された施設で、戦災にもあわず、珍しい植物を楽しむことが出来たのに、今は破壊されて何にもない。
黒田家の門のすぐ南側には公会堂の跡地の石段が残っていて、そこからはるかに西を眺めると広い公園の芝生の先に黒々とした天王寺ステーションビルが聳えているのが見えた。
しかしこの石段も今はない。
またステーションビルも名前が「天王寺ミオ」と変えられたのみならず、外観も白っぽくなり、また減歩されて少し低くなっている。
動物園に続く坂の入り口、北側には丸い二階建ての図書館があったのだが、これもいつのまにか破壊されてしまい跡形もない。
このようになんでもかんでも破壊して、どうでもいいくだらないモノを作るのが大阪の連中の趣味であって、もうこれは治すことはできないだろう。
今東光には『稚児』という短編小説がある。これは叡山の僧が稚児と戯れる様子を様々な儀式も含めて描いたものだ。
元々は1936年の『日本評論』に掲載されたものだが、226事件勃発という世相のなか、かなり削除を余儀なくされている。
その後昭和21年に谷崎潤一郎の序文、鳥海青児のデザインで刊行されたが、これもかなり伏字がある。
さらに昭和48年に『今東光代表作選集』の第5巻に収録されて、これはかなり復元されている。
そして昭和52年に『完本 稚児』と題して和本仕立てで少部数刊行された。
これは『代表作選集』をベースにしているようだが、今のところよくわからない。
今東光は叡山にある秘本を元に書いているのだが、中身は子どもをおもちゃにしているようなもので、今の価値観では受け入れられないだろう。
しかしそれは時代によって価値観など変わるというだけの話で、批判したところで幼稚な戯言でしかない。
謡曲にもある通り、当時は子どもの誘拐、売買は普通であったし、店舗で実際に人身売買が行われていた。
俺が興味深いと思うのは、濡れ場の詳細な描写で僧侶と稚児の間に会話が交わされないことだ。
体位をチェンジする際も話はせず、指を背中の、ある場所に這わせることで、伝えるというのだ。
これは僧侶と稚児の身分差が大きいから、稚児から見たら雲の上みたいな方にお話しするなど畏れ多いからのようだ。
とすれば稚児の意識としては藤子・F・不二雄の『ミノタウルスの皿』みたいな気持ちがあったということだろう。
不気味でもあるが、何か不思議な感動も覚える。
先だって一部のブックオフの店舗で店員が架空の買取処理を行うなどの不正行為を働いたとの報道があった。
ブックオフグループは決算の発表を延期して、内部調査を行い、不正行為があった店舗を特定したという。その後細かい手口なんかについても公表されていた。
Yahooのニュースには意見を書き込むコーナーがあって、ブックオフの不正行為報道にも様々な書き込みが見られた。特に「店舗に持ち込んでも買取金額があまりにも安い」とか「この本は買い取れませんが、こちらで処分することは出来ます、と言っているが実は廃棄せずに店で売っているのではないか」などという書き込みがあった。
ブックオフの肩を持つわけではないが、あんなターミナルのいい立地に大きな店舗を構えて、たくさんの店員も雇っているわけだから買取金額が安いのは当たり前だと思っている。
書き込みの中には「もうブックオフに本は売らない」というのもあったが、要らない本は処分しなければ、場塞ぎになるわけで、そういうお客さんも結局は便利なブックオフに売るのではないかと思うのだ。
何せ自宅まで来てくれるし、ほとんどどんな本でも買い取ってくれるから便利だ。
ただこのところ気になるのはブックオフ心斎橋店や三条店の品揃えだ。
三条店なんか講談社学術文庫の『日本書紀』や『続日本紀』なんかがいっぱい並んでいる。大学の教科書だったのか、同じ本が棚を占領している。
心斎橋店についても以前のような様々な本が並ぶ状態ではない。
これはどうしたことなんだろう。
古本屋の実感としてこのところ仕入れは楽になっていて、今までは春の移動が盛んになる時にしかいい本が集まらなかったのに、このところはいつでも手に入る。
それにもかかわらず、棚が寂しいというのは解せない。