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古本屋日誌
2024-11-27 15:40:00
今東光には『稚児』という短編小説がある。これは叡山の僧が稚児と戯れる様子を様々な儀式も含めて描いたものだ。
元々は1936年の『日本評論』に掲載されたものだが、226事件勃発という世相のなか、かなり削除を余儀なくされている。
その後昭和21年に谷崎潤一郎の序文、鳥海青児のデザインで刊行されたが、これもかなり伏字がある。
さらに昭和48年に『今東光代表作選集』の第5巻に収録されて、これはかなり復元されている。
そして昭和52年に『完本 稚児』と題して和本仕立てで少部数刊行された。
これは『代表作選集』をベースにしているようだが、今のところよくわからない。
今東光は叡山にある秘本を元に書いているのだが、中身は子どもをおもちゃにしているようなもので、今の価値観では受け入れられないだろう。
しかしそれは時代によって価値観など変わるというだけの話で、批判したところで幼稚な戯言でしかない。
謡曲にもある通り、当時は子どもの誘拐、売買は普通であったし、店舗で実際に人身売買が行われていた。
俺が興味深いと思うのは、濡れ場の詳細な描写で僧侶と稚児の間に会話が交わされないことだ。
体位をチェンジする際も話はせず、指を背中の、ある場所に這わせることで、伝えるというのだ。
これは僧侶と稚児の身分差が大きいから、稚児から見たら雲の上みたいな方にお話しするなど畏れ多いからのようだ。
とすれば稚児の意識としては藤子・F・不二雄の『ミノタウルスの皿』みたいな気持ちがあったということだろう。
不気味でもあるが、何か不思議な感動も覚える。