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古本屋日誌
もう梅雨明けしたそうで、朝から強烈な日差しが降り注いでいる。
月曜日は、土日に出荷していないし、休日に好きな本をオーダーするお客さんが多いこともあって、毎週こなさなければならない作業がたくさんある。
前日の晩にオーダーのあった本を取り出す作業をするとともに、ゆうメールで送れるものは茶封筒に梱包し、宛名書きまで済ませておく。
プリンターで印刷してもいいのだが、インクが高いのでこのところ手書きにしている。
それもあって、この作業に2時間近くかかっている。
そして月曜は朝食を済ませてから、パソコンを立ち上げて、クリックポストやレターパック、ゆうパックに仕分ける。さらにクリックポストはプリンターで宛名も印刷して貼り付ける。これにやはり2時間近く要している。
本当は誰かに月曜の作業はやってもらったほうがいいのだが、なかなかそういう奇特な方はおられない。
今日は10時から枚方の岡東公園で「ひらかたブックバザール」という一日限りの催しがある。
Xで見てみるとかなりたくさんの個人や出版社などが出店するようだ。ただアップしてある画像を見ると、同人誌の類が多いように見えた。
せっかくだから昼前に行ってみた。
枚方市は40万都市なんだが、駅近辺にほぼ古本屋はない。
TSUTAYAの運営する新刊書店がT-SITEにあるが、全面ガラス張りのビルの壁面に、高く本棚が組んであってそこには洋書の類が並んでいる。
これは売り物ではなく、雰囲気を出すための装飾で、その前時代的なセンスには驚くばかりだ。
本は読むためのもので、飾りにするものではない。そういう下品な書店が駅前に蟠踞する街というのは、俺の記憶でもまあないな。
それはそれとして、梅雨明けだという酷暑、陽の光が容赦なく照りつける中、枚方市駅すぐの公園に行ってみると、30くらいの白いテントやキャンプに使うような三角のそれが並んでいる。
他にも子どもに絵本の読み聞かせをするブース、コーヒー、カレーなどを販売するセクションなども設けてあった。
肝心の並んでいる本だが、やはり同人誌風の個人で出しているマンガやミニ本が多くて、俺には合わなかったな。
なんでも当初は4時まで開催することになっていたが、暑すぎるため2時までに短縮したとのことだ。
同人誌や個人誌、自費出版の本は要するに目立ちたい、自己主張したいというポストモダン下の現代社会に極めて普遍的に存在する現象であり、人口が40万もあれば、それなりの商圏を形成できるのだろう。
出版物の裾野がひろがることであり、喜ばしいと思う。
ただこの手の催しは、コミケ的なイベントとして各地で開催されていて、屋内会場で、規模も巨大だ。お客さんも早くから並んで盛況なわけで、敢えて枚方で小規模な催しを開く意味はよくわからない。
今日から藤井大丸の地下で古本市。
朝から行ってみた。京都の7、大阪5、神戸1、奈良1、彦根1、伊勢1、富山2、金沢1、名古屋1、岐阜1、福井1、丹波1の23軒が参加している。冷房の効いた広いスペースでのんびり本を見れるのは素晴らしい。
並んでいる本も古文書や古地図、和本、チラシの類はさすがにないものの、それ以外の雑多なジャンルが網羅されていて江湖の期待にこたえるものだ。
しかも本屋によっては単行本はいわずもがな、文庫版に至るまで、カバーに透明なシートカバーをかけて販売していて、その手間を考えると頭が下がる。
店舗を持たずに通販などでやっている古本屋もかなり参加している。
通販の方が面倒がなくていいのではないか、とも思えるが、お客さんから買い取る本は様々で、通販には馴染まないものもあるだろう。
そうなると古本組合の交換会でさばく手もあるが、高くは売れない可能性もあるのではないか。
それに比べると古本市なら、まずまずの値段で売ることができるのかもしれない。
大都市圏ではない古本屋も参加している。やはり地元では扱いにくい本もあるだろうし、古本市の方がよく売れるのだろう。
文藝春秋から出た垂水秀夫の『日中交渉秘録』には、2019年の香港での民主化運動を分析したくだりがある。
学生などが主導して大規模な集会に発展し、一部の若者は地下鉄の運行を妨害して混乱を引き起こそうとするなど興味深い運動だった。
垂によれば、これは言論の自由、結社の自由の侵害を食い止めようとするムーブメントと日本では報道されていたが、それは違うという。
当時香港には中国本土から金を持った裕福な資本家が流入して、手広く商圏を広げて、元の香港の住民との間に経済格差が生まれていた。
また同時にたくさんの観光客も押し寄せて、我が国でもあったことだが、生活物資を大量買して持ち帰る行為が横行していて、これも顰蹙を買っていた。
つまり2019年の運動は経済格差の拡大に怯える香港大衆の不満から発生したもので、大衆にとっては学生が唱える言論の自由などのスローガンはお題目に過ぎなかったというのだ。
月曜日、久しぶりにブックオフの三条駅ビル店に行ってみた。
ここは京阪電車の三条駅に直結する北側のビルの1階から3階を占めていて、以前は在庫にいい本がたくさんあって、さすがは日本一の古本屋の名に恥じない立派な店舗だと感心していた。
ところがこのところ、なぜか同じ本がたくさん並んでいるし、何年も本棚に売れない本が刺さっている状態なのだ。
新島襄の岩波文庫、『ブッダのことば』、講談社学芸文庫の『日本書紀』『続日本紀』、鎌田浩毅の本はすごく多い。
また中公文庫の『フロイス日本史』のシリーズは何年も売れないまま並んでいる。
俺の印象では大学の一回生が、講義でテキスト指定されて仕方なくこうた本で、試験が終わったら読む必要もないからとブックオフで売ったような感じがするのだ。
つまり、それ以外の普通の人が売りにきてくれないように思えるのだ。
大阪や神戸のブックオフでは、そんなおかしな現象は起こっていないし、むしろ他の古本屋なんか歯牙にもかけない状態で、様々な本を集めているから、余計に三条駅ビル店が不思議なのだ。
ただいろんな棚を見てみると、新しい小説を並べている一角は、最近出た本や興味深いものも並んでいるから、フィクションを好むお客さんは本を売りにきていると思う。
だから、大学関係者が本来売りにきてくれるはずの人文系の良書があまりにも少ないということになる。
退官する人も多いだろうし、何より亡くなってしまう人の数はすごく多い。供給は増えているのだ。
これまではブックオフに流れていた本はどうなってるのだろうか。
三条京阪近くの古本屋に流れている可能性もあるけど、京都の古本屋は専門店化している店も多いから、雑多な本を売るのは面倒な気がするけどな。