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古本屋日誌

2018-05-31 10:30:00

今朝は曇り空で雨の予報です。暑うはならんので私は雨の方が好きです。

先日亡くなったかこさとしの「科学者の眼」などをお譲り頂きました。かこさとしは子供向けに科学絵本をあれこれものしていますが、「科学者の眼」は40人にも上る学者を取り上げコンパクトにまとめていて人気作で、古書価も3000円くらいします。ただまあ出版年度が古くて伝記の内容がいい加減であることや、わかっていることでも子供相手に説明するのが憚られるようなものは勝手に改変してあってどうかとは思います。例えばアルフレッドノーベルの件では晩年第三の目で全世界の平和に目を向けたとあって、そのきっかけはかつて雇っていた婦人秘書が勧めたからとあります。しかしそうではなく、婦人秘書というのはノーベルが結婚相手が欲しくて新聞で募集した女で、当初は女の方も結婚しょうと思っていたが、結局ノーベルはふられてしまうんですね。また大陸移動説のウェゲナーの件では1932年に提唱した大陸移動説は世間から総スカンを食ったが、第二次大戦後の地球科学の進歩でその正しさが認められたとして唐突に我々は愚かにも科学者の説に反対している、もっとその視点に学ばないといけないんだと激しく大衆批判のようなことを書いています。

まあ子供相手にちゃんと説明するのは面倒だし、バカな子供は理解する能力も資質もありませんから大変なんですが、一応話をしてやることは必要でしょう。津島佑子は教師が役にも立たない小説ばかり読ませるのに反発して怖いもの見たさで戦争ものや実録物にのめり込んで読んだ。大人はこういうことは子供には早すぎる、そういう悲惨なことは知らせたくないと規制をしてしまうが、実は子供は世界に充満する悲惨な事件や凄惨な出来事を知りたがっているんだと書いていますが、それはいくらなんでも言い過ぎで、津島の個人的な趣味を拡大しすぎです。


2018-05-30 13:20:00

今朝は雨でかなり激しく猫も出ようとはしません。しかし昨日の晩帰宅した10時過ぎに雄猫が戸を開けた隙間から脱走して道を隔てたお隣の家に逃げてしまいました。あたりはもちろん真っ暗ですし、猫も真っ黒ですから弱りましたが、近所の黒猫「クロー」がうまい具合に庭にいたようでうちの猫を追い立ててくれましたから、すぐに尻尾をふくらまして戻ってきました。ありがたやー

先日山松ゆうきちの「インドへ馬鹿がやってきた」を入手しました。山松は貸本時代からの漫画家で「くそばばの詩」とか「2年D組」などのあくの強い人物を描いた面白い作品があります。今度のはエッセー風の作品で56になる山松がインドにはまだ漫画がないと聞くから日本の漫画を持ち込んだら人口も多いしかならずブレイクするだろうと考えて自分の作品はもとより友人の平田弘史や臣新蔵やらに協力を求めて例の「血だるま剣法」などを売り込もうとするわけです。確かにインドは現在もカースト制度が厳しくその点部落差別を扱った「血だるま剣法」は受け入れてもらえると考えたようです。山松はインタビューで「インドに行ったら人生観が変わるとかいう人がいるけど、そんなバカなことはない。インドの人だった水洗トイレがあれば使うに決まってる」という。確かにそうだよなあ、便利なものは便利だよなあ。朝日新聞に載ってるインドの田舎のルポにトイレが自宅には作ってなくて(不潔だということのようだ)催してきたら家から1キロ近く離れたトイレまで行かないといけないというのがあっていくらなんでもそりゃあ不便だろうと思いました。

近代化のパワーは全てのものを押し流すものだとは思うが今のインドで通用するのか、なかぬか興味深い本です。


2018-05-29 12:23:00

夜前から蒸し暑く早くも二階の窓を開けて風が入るようにして寝てます。今朝も雄猫は外に出て大量のイネ科の草をはみ、突然家の中に戻ってきたので、車でも来たんかなと思いきや、急に体を震わせてえずきだして、緑の懐中電灯みたいな形の嘔吐をカーペットにされました。外でやって欲しいところです。

京阪電車の萱島駅から少し東に歩いたところ、だんじり小屋のあるところから墓地を経てソースをつけずに食べるだし巻きのような美味しいたこ焼き屋さんからさらに下島町に至る微高地はもともと寝屋川の扇状地でした。西暦の500年くらいまでは萱島駅あたりまで河内湖となっており寝屋川はその中に流れ込んでいてドロリと湖の中に扇状地を作っていて、その時分から既にたかくなっていました。やがて河内湖が干上がり始めましたが、寝屋川の水量は保たれましたので、今までのようにまっすぐ湖に流れ込むルートでなく既に塀のように高くなっている扇状地の北側のへりを右折れして現在の流路となりました。

井上章一が「京都ぎらい 官能編」に書いていますが洛西の祇王寺とか東山の花見小路や高台寺周辺など、いくらでもあるのだがもともと何もないところなのにあたかも昔からそうであるかのように装って観光名所にする技が京都のお得意です。私にはかなりいかがわしい行為に見えるし、このようにやたらに昔を商売にして持ち上げるのは田舎によくある現象です。太宰治の生家やその周辺が一大観光名所となり、些細なことでも全て名所に作り上げて宣伝しているのは周知のことです。大阪も以前はここが仁徳天皇の高津宮の跡でござーいと高津高校のグラウンドにでかい石碑を建てたり、神武天皇が東上してきた時に見つけた「白かた」は今の枚方だから顕彰しょうとかやってました。まあ京都よりずいぶん古くから歴史の表舞台となってましたから、やろうと思えばものすごい規模でできるだろうし、やりようによっては20〜30年であたかもそれらしい名所はできるでしょう。


2018-05-28 12:41:00

今朝は曇りでほめいています。うちの猫は皆内弁慶で、来客があると怖れて隠れてしまい、その後は私が外出する際も何を警戒するのか出てきません、ただ1時間くらい経ったらもう忘れてしまい出てくるようになります。

宮崎哲弥がちくま新書で「仏教論争」を出しました、佐々木閑との対談本「ごまかさない仏教」に続けての論争本で、新書では勿体無いボリュームです。因果応報の発想つまり縁起という考え方ですが、原因があって結果に結びつく、その因果の連鎖を般若心経は全て否定しているのではないか、無我が釈迦の思想だとすると輪廻していく主体は誰なのか、また無我だとすると犯罪行為の責任はとえないのではないか、未来から時間が流れてきて現在に至り、やがて過去へと過ぎ去っていく仏教の時間概念などなかなか興味深い話が満載です。

宮崎哲弥は久留米の出身で考えたら他にもホリエモンとか孫正義とか面白い人物を輩出しています。ホリエモンは著書の中で「今あるいろんな仕事の中で無駄なのは新聞配達だな、あれはいちいち人が必死こいて配ってるけどネット配信の方が簡単だし、スピーディだしいいことづくめなのになあ」という。まあそうかもしれない。紙の新聞を朝一で広げてコーヒーを嗜みもってゆっくり読み進めるというのはなかなか楽しいもんですが「あれほど無駄なことはない」と言われたらそうなのかもしれない。でもまあ農本主義は郷愁を感じますよね。今も小学校に立っている金次郎もいいし、掛川にある報徳社の建物も味があるし、金村が出た報徳学園もいいんじゃないのかとかね。私の親は電車で長浜に向かう車窓から風景を眺めて田んぼや畑が続いてたら喜び、モータープールや工場に変わってたら嘆いてました。自分が土建屋なのにアホちゃうかおもてましたがわからないわけでもありません。

日野啓三が「砂丘が動くように」を書いて1986年の谷崎賞を取りましたが、私はこれにショックを受けました。東京の日々移りゆく姿、スクラップアンドビルドですね、それを新しい都会の可能性だとして持ち上げた作品でそういう考えもあるのかと虚をつかれたわけです。日野啓三の考えを敷衍すれば今オリンピックだと称して進行している都市の破壊をいやあれは破壊ではなく新しい可能性の模索なんだとかいって擁護できるわけです。しかし例えばもう東京にはむかしの新宿ゴールデン街のいかがわしい魅力は失われているでしょう、そんなんで日本を代表する都会といえるのかいう話になります。大阪の日本橋駅の北西側にしぶとく残るいかがわしい雰囲気をたたえた街並みこそかつての新宿でしたけどね。


2018-05-27 10:41:00

今朝は気温が高うて、暑なる予感がします。朝夕は凌ぎやすい現状が続いてくれればいいんですが、そうもいかないでしょうね。昨日せんちばのドアノブがまわらなくなり、やむなくドライバーで錠前を解体してシリンダーにサラダ油を塗り込んで回りやすくしてから組み立てる作業を30分くらいかけてやりその間猫はうるさくかもてきそうなんで外に出しました。メス猫は車などが通るたんびに家の中にご丁寧に避難してきましたが、雄猫は出たままなので心配で探しに行くとお隣との間の狭い通路にいて近づいて行くと家の中に逃れました。

以前嫁と帰宅したら玄関の鍵を開けたのに扉がうんともすんとも動かなかったことがあり、初めは棒のようなものが支えてそうなるのかと隙間から覗き込んで見たものの、見当たらず、仕方がないので石で窓を割って入ろうかとも思ったがざんないのでやめて業者を呼んで開けてもらった。二つある扉の鍵の片方がなぜかかかっていたのが原因で、どうも猫が外に出ようとして背伸びして鍵のあるあたりをいろてるうちに逆に施錠してしもたのが原因のようでした。

先日評判の「不死身の特攻兵」を手に入れました。鴻上尚史の作品で、特攻を命じられたが爆弾をつけた不安定な状態で弾幕を張り、グラマンなどが迎撃してくる状態では命中は記せない、だから普通に爆撃して戻ってくるとして何度も特攻に出た兵隊の話だ。まあ確かに特攻などというのは命中率も低く、必ず死んでしまうからおかしな方法だし、熟練のパイロットなら通常の爆撃の方が敵に損害を何度も与えられるしいいに決まっていますね。「特攻 空母バンカーヒルと二機ののカミカゼ」は傑作ですが、戦艦大和も沈み全く制海権も制空権もない中で大和を沈めた敵機動部隊の旗艦であるバンカーヒルに密かに忍び寄り、レーダーや対空砲火、迎撃もものともせず体当たりを敢行した話ですが、米兵の間ではその奇跡的な攻撃を「戦艦大和の呪い」とよんだとある。確かにそういう猛者が特攻で命を散らすのはどうかと思う。


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