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古本屋日誌

2018-05-21 13:40:00

昨日同様今朝も余り暑うはのうて過ごしやすいです。スーパーで豆苗をこうてきて食べた後また水を入れて栽培しているんですが、メス猫がむしゃむしゃ食べています。イネ科のものしか食べないのかとおもてましたがそうではないことがわかりました。メス猫はあかんたれなので外に出てイネ科の草を食べようという時に人が通りかかったり、物音がしたら途端にビクついて落ち着きがなくなり家の中に避難してしまいます。

岡山のあきづ書房が先月取り扱っていたいしいひさいちの「ドーナツボックス1〜4」を購入して楽しく読みました。いしいは売れっ子なのにみなもと太郎同様コミティアに出品している変わった漫画家で私も去年天満橋のOMMでの関西コミティアに参りいしいの同人誌を買いました。このドーナツボックスも相変わらず面白いのですが中でも昭和の重大事件をネタにしたのがなかなか良かった。5.15事件は陸軍の将校によって犬養毅が暗殺されたやつで例の「話せばわかる」「問答無用」が有名ですね。犬養毅は70を越す老体で、それなのに執拗にとどめを刺したことを娘の犬養道子は怒ってました。いしいはこれをパロって犬養毅は実は質実剛健、弁慶もかくやと思われる偉丈夫で「小僧っこどもにやられるわしではない‼︎」と豪語して刀を手にして神出鬼没、青年将校たちを斬りまくるわけです。将校たちは岡山出身の犬養の方言がわからず「標準語で話せばわかる」と助けを求めるのだが、毅は無慈悲にも「問答無用‼︎」ととどめを刺す、という流れです。

こういう実在の人物をネタにしたパロディはいしいの真骨頂だが、もう死んでしまった谷口ジローも「坊ちゃんの時代」の中で漱石が学生たちとビアホールで泥酔して大暴れして逮捕されて豚箱に入るシーンを描いていて私は「そうなんかあ、漱石は酒乱だし、破滅型のところがあるんやな、だから息子をしばき倒したりするのか」と妙に納得してしまったことがありました。


2018-05-20 10:49:00

今朝も過ごしやすい気温でありがたいです。時々ホットカーペットの上や畳ににゃんババが落ちてることがあり、嫌がらせでやってるのかな、ふんしの始末が行き届いていないぞ〜さっさと掃除せんかいなというアピールかなと思うのですが、どうもそうではなくババをトイレでした後つけたまま歩き回っていい頃合いで落としてしまうことがわかりました。

昨日竹本織太夫と中川家の礼二がテレビで対談をしていて織太夫は4つの時から入門して小唄から始めて芸歴も25年になるのだが礼二が「高校生とかになったら色気づいたりいろいろあれやりたいこれやりたいとやめたなったことはないんですか?」と聞いたが織太夫が言うには「それはないです」とのことで、さすがは才能のある人は違うなあと思いました。と言うのも先日住太夫が亡くなって追悼番組がありそこで住太夫が今の織太夫に稽古をつけているシーンもあって、ご存知の通り住太夫はいつもの調子でカミナリを落としとにかく震えるくらい怖いんです、「そんなんでよう浄瑠璃かたってんな‼︎、この馬鹿‼︎」てな感じで私なら即座に帰りますよ。

それはさておき礼二がそう聞くからには礼二本人に覚えがあるんだろうと思うわけです、彼も芸歴25年なんだそうで、そりゃあ辞めたくなる時もあったんやないかなあ。後半で織太夫が同じことを聞くんですが礼二の答えは「小さい頃貧乏でなんやかやこうてもらえず、近所の人を観察してモノマネしていた、普通の人の仕草でみんな意識してないんやけど、言われてみたらそうやなみたいなのを出せるようにしている。自分がおもろい思て、やっても受けない時があってがっかりするんやけど、先輩からやり続けなあかんでゆわれたことがあって繰り返しやってます」。そうだよなあ、それが普通だよなあ、仕事である以上いくら得意な分野のことでもストレスはあるし悩みもある、極論したら「仕事としてやりだしたから苦労ばかりで純粋に楽しんだことはない」となるんだろうが、そんな身もふたもないことは言わないのが奥ゆかしくて良い。落合博満はそのまま言ってますよね。


2018-05-19 11:56:00

今朝は打って変わって涼しく、風も強く秋に季節が変わったかのようです。昨晩の強い雨でうんきが洗い流されたようです。

先日お客様から「四代竹本越路太夫」などの文楽の本をお譲り頂いたんですがこれは越路太夫にインタビューして取材も交えてその生涯を描こうとした野心作で読み応えがあります。越路太夫は此花区の大きな料理屋の長男だそうでなかなか裕福な暮らしむきだったようなんだが太夫の道を歩むことになったについて親の反対はなかったのかが気になったが特にその手の話はなく、むしろ帝塚山の師匠の家の近所に別に家を構えて入門も後押しをしたとあるから、浄瑠璃に入れあげる芸能一家だったのか、その当時の大阪では浄瑠璃がらみの仕事は芸人風情と蔑まれることがなかったかならいずれがなんだろう。浄瑠璃の内容は封建時代の、なかなか感情移入もできかねる話が多いのだがこれに関しても「バカバカしくて困った」「疑問に感じた」類の話は一切なし。そういうもんだろうかなあ。文楽に関しては例えば谷崎潤一郎が「痴呆の芸術」とその魅力を讃えるとともに限界も指摘していることは有名なんだが取り立てて気にしている節はない。

なかなか面白いのは戦後の食糧事情の悪い時代に本当に食えなくなってきて所属する松竹芸能に待遇改善を求めたが拒絶されて占領軍に相談したら労働組合を作り交渉するのが良いと言われて組合結成に至ったというくだりです。なんでも軍政部労働課のオーバクレ少佐という人なんだそうだが一体何が目的だったんだろうか。とにかく軍国主義を倒すためにはなんでも利用したいとの思惑があったんだろうか。組合には師匠の山城少掾は参加せず、兄弟子の綱太夫は加わったのだが、あってはならないことだが例によって松竹芸能から仕事場を奪われたり、御用組合を作られたりといったいざこざがあり、挙句には組合の副委員長だった綱太夫が恩師との繋がりを断つわけにはいかないというデタラメな理由で組合を抜けて御用組合に走るなどということが起こり越路太夫としても困ったことになった。彼としては師匠と弟子の関係と雇い主である松竹芸能との関係は全く別なんだからそれを混同して論じるのは間違いだとの考えがあったのだが、なかなか現実にはそうもいかなかったんでしょう。

こういうリアリストだった越路太夫なのに浄瑠璃という過去の遺物のような芸能との整合性は彼の頭の中ではどのようになっていたのか気になります。


2018-05-18 09:36:00

昨日から非常に蒸し暑くまるで梅雨時のようで、体がほめいて止まず、倉庫の部屋以外窓を開けて風を通しました。例によって雄猫は外に出ましたがご近所の可愛いブルドックが通りかかり、そのいななきに臆して目の前に飛び出して逃げようとしたものだから吠えかかられて意気消沈しています。

先日手塚治虫文化賞を受けた「ゴールデンカムイ」をお譲り頂いたんですが、話は明治の北海道で囚人の背中に金塊(今の貨幣価値に換算して8億だという)のありかを記した彫り物を残した男がいて、それを手掛かりに日露戦争帰りの軍人がアイヌの女と協力して宝探しをするというものです。一番問題なのはお宝のありかを刑務所の中で他の囚人の背中に彫り込む、しかも一人や二人ではなくえらい人数に施すというデタラメな御都合主義です。それをよしとするならば、凶暴なヒグマと戦うシーンもあるんですが、主人公が203高地の歴戦の勇者な上にパートナーがアイヌの女なんだから何とかクマを倒してもさほど不自然ではなく、御都合主義のそしりからは免れている。また漫画ならではの絵の魅力もあり、ヒグマを夜近寄らせないために火を絶やさずに焚いてと支度を着々と整えているのにもかかわらず、突然ヒグマが出現するシーンは見開きに大きくクマの姿が描かれて驚かされる。

というわけでまあそれなりに面白い作品なんだが、ゲーム的な面白さにとどまることも確かで、それでいいのかとの疑問も残ります。


2018-05-17 08:38:00

昨日はえらい暑うてびっくりしました。UCCが新しく出した黒糖入りのミルクコーヒーがなかなかうまくてよく飲んでいます。液体なのに飲んだ瞬間一瞬カラメルの膜が張っているのかな❓という不思議な感触があります。

お客さんから「月刊カドカワ」の1991年の11月号、中島みゆき特集、集英社文庫の桑田佳祐の「ケイスケランド」の帯付きをお譲りいただきました。カドカワの特集号にはあれこれの論考に加えて「伝説の彼方へ」という本人のエッセーや中島みゆきが自身の全曲を解説した文章が収めてあります。中島は1975年のデビューですがまだ二十歳やそこらの小僧っ子があのような歌詞を作れるものなのかと今更ながら天与の才に感動するばかりです。桑田佳祐も聴き込むうちには飽きてしまうこともあるんですが、メロデイラインも歌詞も魅力的であるのは言うを待ちません。例の東京オリンピックの招致で作られた「東京」であっても、破壊されて日々おかしな姿な変貌していく東京へのレクイエムが含まれています。

中島みゆきは新潮文庫から「愛が好きです」というエッセー集を2冊出していますが、1冊目は特に人気が高い。谷川俊太郎との対談が収めてあって話が例の「恨みまーす」に及んで、谷川俊太郎がひつこく何回も「あれは泣きながら作ったんじゃないの❓」とか「泣いてた❓」「泣いてたんでしょ」と食い下がるも中島は「教えてあげない」ですからね。

中島みゆきのコンサートはなかなかチケットが当たらず、当たってもホールの一番の後列だったりしました。すぐ後ろがドアなんですからまあある意味でちょっとレアな席が当たったとも言えると慰めました。

先日遠隔地のお客さんから昔の小説の単行本があるとのことでお送り頂いたんですが、松本清張のものでした。清張のものは価値のある本もあるんですが、大半は量が多いので古書価としては伸びない。お客さんに電話して「すみませんが値段はつけられないんですが、こっちで処分するかあるいはお客さんのところは返送するかどうしましょう?ただしその場合は返送する料金は負担していただきますが」と申しました。「なんぼかかるんや❓」とのことでしたので「今回お送り頂いたん分の送料は着払いで当店がお支払いしましたが1300円くらいでした」まあお客さんにとっては値段はつかないと言われるわ、返送料まで負担しろと言われるわで腹立たしいことでしょう。松本清張は「砂の器」はくだらない作品で評価されすぎていますが、そういうものではなく「小説 東京帝国大学」とか「張込み」とか面白いものがたくさんありますから、それが古書価と直結していないのは残念です。


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